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最後のその時まで  作者: 宙兵
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「年が……年が、明けたよ、エルちゃん」

「私頑張りましたの!」

「待って……待ってエルちゃん。受け入れないで」


 魔力が少なくなり命の灯が尽きようとしている。

 無理矢理ヤーサの魔力を流そうとするが入った瞬間に抜けていく。

 いくらヤーサの魔力が化け物じみていても長くはもたずいずれヤーサも危ない状態になる。

 すぐに不思議な抵抗を感じ流せなくなった。


「なんで!? なんで抵抗するのエルちゃん!!」

「だってこんなことしていたらヤーサ君も危ないですもの」


 最後の灯とでもいうべきかエルの魔力制御はここにきて天才とまで言われているヤーサを超えるほどに完璧であった。


「ううっ」

「ヤーサ君、最後のお願いですの」

「最後だなんて言わないでよぉ」

「口づけしてほしいですの」


 ヤーサは泣きながらエルに口づけをする。

 そして泣きながら空を見上げる。

 一面の星空があの時と同じように輝いていてとても綺麗なのだが涙でにじんでよくわからない。


「最後なんて言った後にまたお願いするのもあれですけどあの時言ってくれた『つ』から始まるロマンティックな愛の言葉をまたいってくれませんか」

「……エルちゃん、月が綺麗ですね」

「ヤーサ君、私死んでもいいわ。






 ――ありがとうですの」


 それが最後の言葉となった。

 エルの体が光り輝き魔力の粒子へと変わり空へと舞い上がる。

 『思い出』も魔力に代わり家の方からも光が天へと昇っていることが分かる。

 幻想的。

 ヤーサに走馬燈のようにエルとの思い出が駆け巡った。









 ――侵入したテラスでぎこちなくも手を振り返してくれたエル。

 あれがすべての始まりだった。


 ――あなた、私を誰なんだと思っているんですの!


 初の会話はとげとげしかった時代である。

 あの時代のエルちゃんも可愛かった。


 ――私……結局なにをすればいいの? 


 壁に突き当たっていたエルちゃん。


 ――その、あの、ありがとうございました。


 初めてデレを見せてくれた時は可愛かったな。

 

 ――行く手を阻み怯えた顔を向けたエルちゃん 


 あの時は悪いことをしたな。でも怯えた顔も可愛かった。


 ――ヤーサ君、私も大好きです。


 すべてを打ち明けそのまま告白までしてしまったあの時にもらった返事、すさまじくうれしかった。


 ――また一緒に星を見ましょう


 帰り道一緒に見た星空、綺麗だった。

 エルちゃんの方がもっと綺麗で可愛かったけど。


 ――パパは無き虫さんですの


 ここらへんからだったな、涙がやたら出るようになっちゃたのは。

 エルちゃんにはかっこ悪いところしか見せてないや。


 ――ありがとうですの


 これは俺が言わなくちゃだめだったよエルちゃん。

 俺に、最高に素敵な毎日をありがとう……。 




 泣いていたヤーサを光の粒が包んだ。


 ――ヤーサ君、最後までありがとうございました。ヤーサ君はかっこ悪くなんてありませんわ。世界で一番かっこよくて、私だけの王子様でした。


 最後の奇跡と言っていいだろうか、エルの言葉が聞こえた。

 

  


あけましておめでとうございます

ここまでお読みくださりありがとうございました。

これで一応完結です


あと一話ありますがここから先は作者のGのようなものです。

しんみりと終えたい方はここで終わらせてください

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