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「エルちゃん、お酒飲んでみない?」
「……少しだけなら」
ヤーサは魔力操作が得意である。
そのため魔力を一部分に集め体の機能を促進、強化することができ、エルでもお酒を飲んでみることができると思いお酒に誘ってみた。
酔ったエルがどんなものか見てみたいという下心も少なからずはあった。
「その、経験すくないので笑わないでくださいよ?」
「大丈夫だよ」
結果論から言えば大丈夫ではなかった。
「えへへー、やーさきゅーん」
「ちょっと待って! そこばっか執拗に弄らないで」
「やーさくんおっぱいー」
「男はおっぱいはでません!」
エルは絡み酒が酷かった。
アルコールの影響かヤーサの活性化の影響かはわからないが普段よりも魔力の循環が良く動きが機敏である。
エルがヤーサの服をめくりあげある一部分を執拗に攻めだしたためヤーサはたまらなくなってエルを振りほどこうとする。
「ってあれ!? 体の自由が利かない!?」
しかしうまく体が動かず振りほどくことができなかった。
酔い回っているわけでもないのに魔力の制御がうまくいかずになにもできない。
「ふっふー、わらくひがろれだけやーさくんにおんなじころをされれるとおもっれるのれすかー。やーさくんあいてにはちょうをあわせりゅことにゃんてかんらんれすーーー
」
「ええっ、エルちゃんのあの下手くそな魔力操作で!?」
「あいのちかられすー」
ろれつの回らない声で愛の力などと言うエルはとてもかわいかった。
とても可愛かったのだが……。
次の言葉でヤーサはそれどころではなくなった。
「えっろー、たひかー、やーさくんがわらくひにいるもつかってるまりょくをいちぶぶんにあちゅめてびんかんにするほうほーはこんなかんじれしらっけ」
「!?」
このままでは変な性癖に目覚めてしまう。
あまり男としてそこで感じるようなりたくはないヤーサは必至な抵抗を試みるが無駄な努力となった。
結局寝るまでペロペロいじいじされ続けた。
「……」
「えっと、ヤーサ君、おはようございます?」
「おはようエルちゃん。どこまで覚えてる?」
にこにこ顔でヤーサが尋ねる。
その質問に対し顔が真っ赤になったことが全部覚えていることの証拠であろう。
「その、ごちそうさまでした?」
「へぇー」
ヤーサの笑みが一層深くなる。
なかなかに怖かったので先手必勝とばかりにエルは昨日酔っていた時にやっていたようにヤーサの自由を奪おうと動いた。
しかし、ヤーサには効かなかった。
「なんでっ!」
「俺が弱点をそのまま残して置くと思う? さて、お仕置きだよ。今日ばかりは気分的に手加減はできないかなぁ」
この後めちゃくちゃ――――