04
「すみません荷物まで持ってもらっちゃって」
「いやいや、寧ろこんなんで本間にえぇんですか?」
私が金髪の彼に頼んだのは、家の近くまで送ってもらう事だった。
いやだって、帰り道怖いし…
それに、金髪だけど見た感じ悪い子ではなさそうだし。
「本間すんませんでした」
「こちらこそごめんなさい。
お互い様だからもう謝らないでくださいよ」
隣を歩く彼をチラリと見てみる。
さっきは逆光で分からなかったけど、中々カッコいい子だ。
「高校生…だよね?
家の人とか遅くなって心配しない?」
「大丈夫ですよ。
俺部活やってて遅くなるのとか多いんで」
「部活?」
「あー、バスケです。
今日も練習帰りなんで気にせんでえぇですよ」
バスケかあ。
高校の授業以来だなあ。
あの頃は若かった。
今はあそこまで動ける気がしない。
「あ、名前聞いても良いかな?」
「そういや、言うてへんかったですね。
福山健斗っていいます。
千広高校の2年ですわ」
福山…健斗…?
どこかで聞いた事あるような…
「千広高校?
私もあそこ出身だよ」
「え、そうなんスか!?」
「うん。
大学入学前に東京に引っ越したけど、生まれは大阪だよ」
「関西の人なんスね!
えっと…」
「あ、鈴木優亜です。
一応社会人で…」
「ッ…!!」
福山君が足を止める。
溢れそうなくらい大きく見開かれた目は、驚きに満ち溢れていた。
「福山君?」
「ユア姉…ッ!!」
え。
脳裏に浮かんだのは、何故か黒い髪の小さな少年。