03
スーパーに寄って夕食の食材を選び、少し重くなってしまった袋を片手に遅くなった夜道を歩く。
まだ慣れない仕事に苦戦していたらすっかり暗くなってしまった。
明日は昼からだし夕食は得意なオムライスにしてゆっくりしよう、と思って買った卵のプラスチックのパックが袋の中でガシャガシャ鳴った。
遅くまで仕事をするのには慣れているとは言え、やはり1人で歩く夜道は少し怖いものがある。
さっさと帰ってのんびりしよう。
そう思い、角を曲がった時だった。
ドンッ、グシャッ
角を曲がったら壁に当たって尻餅をついた。
いや、違う。
人とぶつかったんだ。
「う、うわっすんません!!
大丈夫ですか!?」
顔は逆光で見えないけれど、焦っている青年。
学ランを着ているから、高校生かな?
慌てる彼の髪は、暗い夜でも映える綺麗な金色だった。
「大丈夫です。
すみませんこちらこそ」
「いや、俺がちゃんと前見てなかったんで…
怪我とかないですか?」
「あ、はい。
私は別に…」
あれ?
何か忘れているような…
「ああっ!!卵ー!!」
ぶつかった拍子に放してしまった買物袋は地面に落ち、中の卵は当然…
「ああ……」
全てぐしゃぐしゃに割れてしまっていた。
「すすすすんません!!
弁償します!!」
「いや、大丈夫です。
これも使えなくもないし…」
「いやいやいや!!」
まさか年下の男の子に安売りの卵を弁償させるだなんて、申し訳なさすぎる。
「俺の気が済まないんで…
何でも言ってください。
出来る限りの事します」
「あー…じゃあ、」
もし良かったら、