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真龍幻夢譚  作者: 魔音金
襲来者
3/23

神護は何時ものように学校の支度をしていると突然部屋のドアがノックされる。


「……はい」

神護は突然のノックに一瞬驚いたもののすぐにドアの前にいる人物の存在を確かめるように返事をする。

するとドアがそっと開かれ、雫が顔を覗かせた。


「失礼~って、あれ? お兄ちゃん起きてたんだ、珍しく早いね。せっかく朝練今日オフだから起こしに来たのに」


「ああ、ちょっと変な夢を見てな」


「……やらしい」

言うと雫は神護のことを蔑むような目で見る。


「ばかっ、ちげぇよ! そんなんじゃないって」


「どうだか……。 そんなことよりお母さんがご飯だって」


「おけ、わかった今行く――——っ!! 雫危ない!」


「え?」

二つ返事をし、雫と共に部屋を後にしようとしたとき、何かを察知した神護は咄嗟に雫を抱きとめ小さくなる。次の瞬間眩い光が辺り一面を覆った。


「ぃっ……雫大丈夫か? くそっ! なんだった……ん……だ……」

光が収まったのを確認すると顔を上げる。そして眼前に広がる光景に絶句しそして恐怖を覚える。

目の前に広がっているのは一面の瓦礫の海だった。


「……なんだ、よ? これ……」

言葉が見つからない。何も理解(わか)らない。把握できない。

何が起こった、誰がこんなことを、どうやって——?

神護の頭の中には疑問が荒波のようにどんどん押し寄せてくる。


「いっ! ……突然どうしたの? お兄ちゃん?」


「雫! 大丈夫か?」


「う、うん。大丈夫。何があったの……って、え? なにこれ――」

雫も神護同様辺りの惨状を目にするや否や驚愕と恐怖の顔に表情を変えた。

そして日常では決して見ないものを見つけてしまい嘔吐を催した。しばらくは我慢をしていたがやはり耐え切れなくなったのかそのまま隅に向かって吐いた。

神護は何事かと思い雫が見ていた方向へと目をやる。するとそこには臓物が飛び出た死体がいくつも山積みになっていた。

流石にあれを見たら誰だって吐いてしまう。仕方がない。

そう神護は思うものの自身は不快感は覚えるものの嘔吐感が込みあがるほどの物ではないと感じてしまっている。まるで見慣れているかのように……

神護はそれらを視界から外すと雫の方へ歩み寄り、背中を擦った。


「……大丈夫か?」


「……うん、大丈うぶっ!」

雫は気丈に振る舞おうとするがやはり嘔吐感が勝ってしまうようで、神護は安心させるように震えている雫の背中をゆっくり、ゆっくり撫でる。


(……あの死体の顔見たことない人だな。ここら辺の人じゃないのか?)


しばらく経ち、雫の吐き気が治まったころ幾つかの人影がこちらへ向かって歩いてきた。


「神護! よかったー無事で……」


「……剣魔、それに亜美に夏星」


「よかった無事だったんですね……」


「雫ちゃんも大丈夫?」


「うん。大丈夫だよ夏星お姉ちゃん」

三人は神護達を見つけると駆け足で寄り二人の安否を確認した。




再開できたのを全員で安心し、今の現状を剣魔たちに聞いた。

3人とも詳しいことは分からないが、例の光でこの辺の一帯が吹き飛ばされたという。幸いに自分たちは飛ばされずに済んだらしい。

よかった――


(なるほど……あの死体の人達の顔を見たことがなかったのは別のとこらから飛ばされてきたからか。でもあの積まれ方は……)

神護は後方に積まれている死体の方に目をやった。あまり長視していたいものではないが死体の積まれ方に違和感を覚えた神護は探るようにまじまじと見る。


「父さん、母さん! どこだー」

そんな神護の考えはお構いなしに剣魔は両親たちを探すためあたりの瓦礫を漁る。女子の3人も同じように両手で一つ一つ瓦礫をどかしていく。

 神護も自分の疑念は一度隅に置き両親たちを探そうとしたとき、瓦礫の一部が盛り上がっていることに気付いた。


「お父さん!お母さん!」

 盛り上がりに気付いた雫が駆け寄ろうとしたが、神護は腕を掴みそれを止めた。


「お兄ちゃん何するの? あそこにお父さんとお母さんが……」

 雫の目には涙が浮かんでいた。きっとうれし涙だろう。

雫が言いたいことはわかっている。しかしあそこに二人はいない…… そう確信していた。


 そしていつになく険しい顔で言った

「雫ちょっと危ないから下がっていてくれ」

 雫は不思議そうな顔で神護を見る。言葉の意味がいまいち理解できないようだ。けれど普段見せない神護の表情を見て困惑しながらも言うことを聞いてくれた。


「神護、気付いているか?」

 剣魔の表情もいつものと裏腹にいつになく真剣な顔になっている。


「ああ、気付いているさ……構えておけよ剣魔」

二人は咄嗟の状況に対応しやすい構えを取り瓦礫の盛り上がりに注意を払う。瞬間、二つの影が飛び出してきた。

「しまっ!」

 警戒していたが反応が遅れてしまい神護たちは殴り飛ばされてしまった。


「きゃあ!」


「お兄ちゃん!剣魔お兄ちゃん!」


「神護!」


 夏星たちは吹き飛ばされ壁に叩きつけられた神護たちの方を見た。急に吹き飛んでいったことに戸惑いが隠せない。

だが、神護たちは分かっている。神護は起き上がると現れた二人に対して怒号を上げる。


「なんだテメェら!」

 神護が叫んだ方向には見知らぬ二人がたっていた。

 一人は白髪に近い髪の色をしており、もう一人は黒と表現するのが一番近い髪の男たちだった

 ふたりの姿は人間に近いがどこか異様な雰囲気を漂わせ誰かに近い感じがした。


「神護、こいつらあいつたちに感じが似てないか?」


 そう言われて気づく。確かに、こいつらはあのふたりに感じがよく似ている。

アダムスとイブートに――


 するとオレンジの髪の男が口を開いた

「俺たちの攻撃を食らって生きているなんて、お前たちただの人間じゃないな? さてはアダムスとイブートの差金か?」



(やっぱりこいつらあいつらと関係があるのか…… もしかしたらこいつらがふたりが言っていた敵かも知れないな。 まずは情報を聞き出すか……)


「先にこっちの質問に答えろよ! お前たちは何者だ?」


「なんだ聞いてないのか?

 俺の名前はオメテル。そしてこっちがテスカトだ!」


「じゃあオメテルさん」


「オメテルでいいよ!」


「じゃあオメテルこれをやったのはお前たちか?」


「ん?ああ。そうだ。俺たちがやった」


神護は込み上げてきた怒りを押さえつける。

剣魔もさっきから黙っているが表情は怒りが満ち満ちており、拳を強く握っている。


「なら家の中にいた人たちはどうした?」

神護は自分ではもうわかっていた。

この惨状だ、両親たちがどうなっているのか明らかだ。けれどそれでも訊かずにはいられなかった。


「ああ、その人たちならいるよちょっと待ってね。テスカト! そっちにも二人いただろ? そっち出してくれ」

テスカトは頷き少し歩き元剣魔の家があったあたりの瓦礫に手を突っ込んだ。


神護は一瞬オメテルの言葉から二人はまだ生きているのではないかと思ってしまった。

が、そんなのは神護の願いでしかなかった……現実は酷いものだった。

二人が瓦礫から出してきたのは全身の骨が普通では曲がらない方向に曲がっている神護の両親

そして、血だらけになった剣魔の両親だった…


「お父さん!お母さん! いやあああああ~!」

初めてじゃないかと思った。

これでもかというほどの悲鳴を雫があげたのは……

と同時に神護は、いや、神護たちは二人に殴りかかっていた


「オメテルゥーー!!!」


「テスカトォーー!!!」

神護たちは雄叫びのような声で叫んだ—

次話くらいからバトルを入れていこうと思います



感想、アドバイス等があるとうれしいです

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