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真龍幻夢譚  作者: 魔音金
襲来者
10/23



「ぎゃあああああ」

神護の叫び声は多分あたり一面響いていることだろう。パニクッていてまともな判断なんてままならない。

それもそのはず。いきなり上空4千メートル(推定)に放り出されて、真下には全長100メートルはあるであろう蛇のような不思議生物が湖の中心で大きな口を開けて待っていた。


「おいおい、まじかよ!」

神護は空中で体勢を立て直し大蛇に向かって龍術を酷使しようとする。

けれども巧く龍力を練ることができずに龍術を発動することができない。


「オワタ……」

神護はそのまま大蛇に飲み込まれようかとしたその時、光の球が大蛇目掛けて飛んできた。

球は大蛇に当たるとともに爆散し、大蛇の頭を吹き飛ばす。

その爆風で吹き飛ばされた神護は岸へと落ちる。


「何が――?」


「ねえ、あんた。大丈夫?」


「あ、ああ……」

振り向きつつ返答し、神護はそこに立っていた女性の姿を見て刹那、言葉を失った。


「——綺麗だ」

けれど次の瞬間には不意にその言葉が口からこぼれていた。

ハッと我に返った神護は慌てて口を塞ぐ。


「……何?」


「……あっ! いえ、なんでもないです」

幸いにも神護の言葉は届いていなかったようで胸を撫で下ろした。

普通に考えてみると初対面の女性に『綺麗だ』なんてどこのナンパ野郎だって話だ。

けれど彼女の容姿はその言葉に文句のないほど合っていた。

純白の髪、透き通るような肌に端麗な顔。男子なら一瞬で釘付けになるであろうプロポーション。

どこかの制服のような服装は彼女のラインをくっきりと顕にしている。


「……ふうん、まあいいわ。ところであなた何していたの?」


「何とは?」

まじまじと見すぎたのだろうか、彼女は体のラインを隠すように身をよじり所々手で隠すような所作をする。

そして怪訝な視線を神護に向けてくる。


「普通こんなところに何の用もなし人なんて来ないわよ」


言われて神護はあたりを見回す。

確かにあたり一面木々が生い茂っており森の深くであろうことが窺える。

こんなところに理由もなしに来る必要なんてないだろう。


「まあ色々あってね……」

神護は笑顔で誤魔化しながら目の前の少女に説明する。


「まあいいわ。それよりあれはどういうこと?」


「は?」


「とぼけないで! さっきの『サーペント』のことよ! 私が狙っていたのに横取りしたでしょ?」

どうやら彼女はさっきの海蛇、(もとい『サーペント』と呼ばれるものを神護が倒してしまったことに立腹のようだ。


「べ、別に横取りしたわけじゃない!

食われそうになったから殺しただけで……正当防衛だ。ていうか君が狙っていたなんてわかるわけないだろ!」


「でも横取りをしたことは事実でしょう?」


「そんな理不尽な……。別に蛇一匹くらいいいじゃないか!」

そう言った瞬間背筋がゾッとした。

彼女の雰囲気がさっきまでとは比べ物にならないくらい強張っていた。


「私の修行を邪魔して詫びる気配もなく挙句の果てに別にいいじゃないかですって?

ふざけてるんじゃないわよ。今すぐ死んで詫びて頂戴!」

言うと彼女は手に白い球体を作り出した。

神護はそれが神力を帯びていることにすぐに気づき距離を取ろうとする。


「ちょっと待ってくれ、俺あんたのこと知らないし、……まあ邪魔したのは悪かったけど何もそこまでしなくても」

じわじわと距離を開けながら、もしかしたらの可能性にかけ、神護は手をぶんぶんと左右に振って攻撃をやめるように施した。


(あの球体には神力が込められている……。食らうと面倒だな)


「問答無用!!」

だか普通に取り合ってもらえなかった。

彼女は自分は巻き込まれないようにとワンステップ後ろに下がり球体を神護目掛けて投げてきた。


「くそっ!」

神護は後方に飛び下がりながら同じような白い球体を作り彼女が投げた球体にぶつけた。


「っ!! どうしてあなたが―—」

彼女は何かを言おうとしたようだがぶつかり合った球体が爆発を起こしその爆風でかき消された。

神護は咄嗟に魔力でバリアを張り爆発による自身への被害を最小限に抑えた。

があたりの木などは半分以上吹き飛ばされ湖の水もほとんどなくなってしまった。


「あちゃーやりすぎたかな?」

神護は頭をぼりぼりと掻いた。

自分の作った球体の威力が少し強すぎてしまったかなと思ってしまった。

相殺するだけのはずが誤って威力を強くしたために周囲の被害が少しばかり酷くなってしまっている。


「まあ)ってしまってたら仕方ない」

神護はテヘペロと舌を出した。

すると目の前の土が急に盛り上がり、そこからガバッとさっきの彼女が出てきた。

彼女は立ち上がり何事もなかったかのように土を払うととズンズンとこちらに近づいてきた。


「なんであんたが『光』の属性をつかえるのよ? あんたいったい何者?」


「よかったな無事で……てか聞くときはまず自分から名乗れよ!」


「まあ正論だわね。

私の名前はキュベレ・ライトロード。 誇り高きライトロード家の次期当主(候補)よ!」


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