@ 未来の死
この物語はとある占い師の結果で生き延びたいと願った一人の少女の物語である。
なんて前振りをしたところで未来が早々変わるとは思えない私こと魔王は、光の聖地と言われるハイン皇国で散歩をしていたときのことを思い出していた。
今日もいい天気だ!人間たちは無駄にわらわらいるし、いずれはこの国も私のものになるのかな?なんて言ってみたりして…!
「お前さん…死ぬよ」
…なんだか知らないが、市場を歩いていたらフードを被ったおばさん(声からして)に言われてしまった。
「そう遠くない未来に、お前は殺される、それはどんなことがあっても変わらない未来だよ」
そう言うとおばさんは早々にどこかへ行ってしまって、俺はなんのことかわからずに魔王城に帰ると、俺の腹心を務めるレイニーが息を切らしながらこちらへ走ってきた。
「魔王様!大変ですたいへ!んです!」
「レイニーよ、何を言ってるのか後半がよくわらかないが、大変なんだろう?なにがあったのかちゃんと話してくれ」
レイニーはまだぜぇぜぇと息を整わせずに畳み掛けるように焦っている事態を説明してきた。
それによるとどうやら、私が散歩していたハイン皇国が勇者を召喚して私を倒すとかなんとか、それを聞いて笑いをこらえる方が辛かったが、とりあえず腹心を安心させねばなと、魔王の威厳を放ちつつ答えてやった。
「私は神の攻撃をも凌ぐ実力だと知っておろう?それなのにたかだか勇者一人に何を恐れる?」
「ま、魔王様とはいえ不死身ではございませんでしょう!?」
ん?この言い方なにかひっかかりを感じるが…
「勇者は…!何をしても死なないそうです!」
「……」
私は、レイニーを連れて会議室へ向かい、そこへはさすがというべきか、レイニーが私が帰る前にと招集された部下の数々が揃っていた。
皆が一人で大国を責め滅ぼせるほどの実力を持っていて、私も全員が一斉に裏切ってきたら苦戦を強いられるような、そんな者たち、そして信頼のおける者たちで心強くもある。
「みんな…」
全員が主であり、魔族を統べる王である私を固唾を飲んでみている。
「たすけてーー!!!」
そして全員がうおおおと、雄叫びをあげた
「魔王様!なんて不憫な!?」
「あぁ!おいたわしや魔王様」
「ま、まおうたん…はぁはぁ」
「人間目!勇者などと殺人兵器を持ち出してくるとは!」
全員が瞳をうるわせ、魔王コールを初めて、今日その日はまるで最後の晩餐ともいえる気分で私は全員から言葉をもらった…おまえら…まだ諦めるなよ!