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虚ろの死神 -6-
アオイははっと我にかえった。
誰もいない。かたわらに置いていた人形も、もういない。
――人形を壊すことができなかった。
心臓をつかまれるような恐怖に駆られ、アオイは膝をついた。
「『アオイ』は、ユエの役に立たなければいけない……役に立たなければ、“いらない”……!」
今さらながらに、赤髪の女の“予言”がよみがえってきた。
――あなたはあなたの大切な人に、捨てられることになるわ――
「……いやだ……!」
小さく、悲鳴のような声を上げ。
アオイはその目に炎を灯した。




