虚ろの死神 -1-
舞台で演じている間だけ 僕は、僕でいられる
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くらい、くらい、やみのなか
五感をぜんぶ、うばわれて
ただ、おもうのはあなたのこと
こんなところにとじこめなくても
ぼくはあなたをうらぎらなかったのに
ひとのこころをとらなくても
ぼくのこころはあなたのものだったのに
くるおしいほどいとしいあなたが
じごくのそこへおちるなら
よろこんでおちよう
ぼくもじごくに――
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『死者の間』の最奥で、アンティークはじっとセイジを待っていた。横のアオイも、アンティークを椅子に座らせたきり、ぴくりとも動かずたたずんでいる。
はたしてどちらが、より“人形”だろうか。
『……ねぇ、死神さん。あなたは何故ユエの言いなりなの? あんな風に、行動全部、ユエに指示されて……あなたの意思はどこにあるの?』
彼のことは前から気になっていたので、アンティークは思い切って訪ねてみた。アオイは微動だにしないまま、口だけを開いた。
「『アオイ』はユエが人格を得るために連れてきた。だから『アオイ』に人格はない」
『! あなたが、「人格」……!?』
「『アオイ』はそういう運命の下に生まれてきたとユエが言っていた」
『ユエ……ひどいことを……』
「――もうすぐリストNo,44『セイジ』が来る」
アオイが、動いた。
鎌の切っ先をアンティークののど元に運ぶ。
「バラバラになる覚悟はできたか?」
『……覚悟なんてしない。セイジは……きっと助けてくれるもの』
少しだけ声が震えた。それでもアンティークは続けた。
『カナちゃんだって、サトルだって。みんなで助けてくれる。信じてるもの……』
「……」
アオイは答えなかった。また人形のように動きが止まっている。
首に鎌を突きつけられたまま、アンティークは祈った。
――セイジ……早く、来て……
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