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・ PIERROT ・  作者: 高砂イサミ
第18章
74/117

解放 -2-



=======================================


 ●『左腕の棟』爆発について


 なんかすごかったみたいですね。壁とか吹き飛んじゃったりして?

 私も音だけ聞きました。

 何があったか知ってる人いますか?



 >Re:『左腕の棟』爆発について


  なんか『セイジ』の仕業だって噂がある

  なにやってんだあいつ。



 >Re:『左腕の棟』爆発について


  俺、実は見てました……

  『セイジ』が首のないミイラと戦ってたんです。

  それが最後に爆発しました。

  それにしてもあのバケモノ、一体なんだったんだろ(恐



 >Re:『左腕の棟』爆発について


  ていうかあそこの部屋って立入禁止じゃなかったっけ?

  団長以外入っちゃいけなくて、

  破るとピエロゲーム対象者にされるって話だけど……(((゜△゜)))


=======================================



「ヒヒッ…ヒははははは!! やった、やったぁ~!!」

 ヨシタカが足をばたつかせて喜んでいる。“A”もまた、わずかばかり救われた気分で画面に見入った。

「『身体』を構成する3人の札が壊された……残るは、コウとアオイの2枚のみ」

「あーいい気分だ☆ もう今すぐユエの顔を見に行ってやりたいよ☆ ウヒヒッ☆」

 椅子の上で大きく身体を揺らしながら、ヨシタカは上機嫌に“A”を見た。

「セイジくんてば気が早いよねぇ~。あの部屋についてはここでネタばれる予定が、自分で先に見つけちゃったよ。せっかく呼び出したけど、あとはアンタの懺悔を聞かせるくらいかな? ……ま、それくらいのことができなきゃ、ユエには立ち向かえないってことなのかな~☆」

 “A”はうなずいた。

「この話をお伝えすれば……私の役目は終わりです」

「もう抜けるのかい? まだ本番はこれからじゃないか☆」

「これ以上私にできることは、見守ることしかありません。このサーカス団の行く末を……あるいは、終焉を」

「ふ~ん? 欲がないねぇ?」

 ヨシタカはくすくすと笑っている。

 “A”は笑う気にはなれず、ただ、静かに目を伏せた。



         ++++++



 3枚の札が消えた後、セイジは強制的に休まされていた。少しずつ動けるようになってきているが、サトルもカナも、頑として聞いてくれない。

「なあ、もういいだろ。早くヨシタカのとこに行かないと……」

「もう少し休んだ方がいい。まじないの消耗って半端じゃないはずだし」

「つーか、さっきからお前ら、何言ってるんだ? 俺別にまじない師とかじゃないんだけど?」

 言うと――2人が揃って、目を剥いた。

「まさか……自覚がないのですか」

「だから何が」

「……あんたに、まじない師の才能があるってことだよ」

 横からカナが口をはさんで、今度はセイジがきょとんと目を開く。

「は? 俺が……なんだって?」

「『玩具の間』でララと戦った時。あんたセイレーンの『水のお守り』使って、水を降らせたでしょ」

「ああ。それが?」

「あれは本当なら、“火”に反応するだけのもの。だから普通はあんなことできない。道具に元々込められてる力以外の使い方ができるのは、自分がまじないの力を持ってる人間だけだ」

「カナの言うとおりです。先ほどにしても、あれはナイフに備わった力ではない。セイジ自身の力がクロウナイフを強化していました」

 まったく実感のわかないセイジは、腰のクロウナイフを見た。

「……。そうなのか?」

「本当に自覚がないんですね……気をつけてください、慣れないうちからあまり頻繁に力を放出すると、体に毒ですよ」

 1つ、息を吐いて。サトルはセイジに手を差しだした。

「そろそろいいでしょう。立てますか」

 セイジはサトルの肩を借りて立ち上がった。カナも、必要ならすぐ手を貸せる位置にいる。

「けっこう時間くっちまったな。急ごう」

「あんたのせいでしょ。サトルもサトルで、なんで止めないんだか――」

 カナの目つきが怖かった。歩き出しながら、セイジは首をすくめた。

「しょうがないだろ、あれは成り行きで……」

「……あの人形は大丈夫なの」

「ん? ……アンティークか? あれから気配は変わらないけど」

「わかってる? あんたはユエのまじないをぶち壊したんだ。絶対にユエも気づいてる。それで人形の方に報復されるとか、考えなかったわけ?」

「あ……!!」

 セイジだけでなく、サトルからもぎょっとした空気が伝わってきた。

 そんな男2人を、カナがきっと睨みつけた。

「ほんと、しっかりしてよ……今まだ無事なら、とりあえず大丈夫なんだろうけど。あんまりユエを刺激しない方がいいんじゃない」

「しかし……逆に言えば、それでもユエは、セイジ自身に手出しをしてきませんね」

 サトルとカナの視線がセイジに向く。サトルはさらに、続けた。

「何か理由があって、『ユエはセイジを殺せない』――そう考えるのは早計でしょうか」

「……」

 セイジはまず、猛省のため息を吐いた。そうして2人に苦笑して見せる。

「俺のことは後でもいいだろ。アンティークは無事だ。今はそれでいい。……次、行くぞ」

 サトルとカナは、黙ってうなずいた。



         ++++++



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