解放 -2-
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●『左腕の棟』爆発について
なんかすごかったみたいですね。壁とか吹き飛んじゃったりして?
私も音だけ聞きました。
何があったか知ってる人いますか?
>Re:『左腕の棟』爆発について
なんか『セイジ』の仕業だって噂がある
なにやってんだあいつ。
>Re:『左腕の棟』爆発について
俺、実は見てました……
『セイジ』が首のないミイラと戦ってたんです。
それが最後に爆発しました。
それにしてもあのバケモノ、一体なんだったんだろ(恐
>Re:『左腕の棟』爆発について
ていうかあそこの部屋って立入禁止じゃなかったっけ?
団長以外入っちゃいけなくて、
破るとピエロゲーム対象者にされるって話だけど……(((゜△゜)))
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「ヒヒッ…ヒははははは!! やった、やったぁ~!!」
ヨシタカが足をばたつかせて喜んでいる。“A”もまた、わずかばかり救われた気分で画面に見入った。
「『身体』を構成する3人の札が壊された……残るは、コウとアオイの2枚のみ」
「あーいい気分だ☆ もう今すぐユエの顔を見に行ってやりたいよ☆ ウヒヒッ☆」
椅子の上で大きく身体を揺らしながら、ヨシタカは上機嫌に“A”を見た。
「セイジくんてば気が早いよねぇ~。あの部屋についてはここでネタばれる予定が、自分で先に見つけちゃったよ。せっかく呼び出したけど、あとはアンタの懺悔を聞かせるくらいかな? ……ま、それくらいのことができなきゃ、ユエには立ち向かえないってことなのかな~☆」
“A”はうなずいた。
「この話をお伝えすれば……私の役目は終わりです」
「もう抜けるのかい? まだ本番はこれからじゃないか☆」
「これ以上私にできることは、見守ることしかありません。このサーカス団の行く末を……あるいは、終焉を」
「ふ~ん? 欲がないねぇ?」
ヨシタカはくすくすと笑っている。
“A”は笑う気にはなれず、ただ、静かに目を伏せた。
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3枚の札が消えた後、セイジは強制的に休まされていた。少しずつ動けるようになってきているが、サトルもカナも、頑として聞いてくれない。
「なあ、もういいだろ。早くヨシタカのとこに行かないと……」
「もう少し休んだ方がいい。まじないの消耗って半端じゃないはずだし」
「つーか、さっきからお前ら、何言ってるんだ? 俺別にまじない師とかじゃないんだけど?」
言うと――2人が揃って、目を剥いた。
「まさか……自覚がないのですか」
「だから何が」
「……あんたに、まじない師の才能があるってことだよ」
横からカナが口をはさんで、今度はセイジがきょとんと目を開く。
「は? 俺が……なんだって?」
「『玩具の間』でララと戦った時。あんたセイレーンの『水のお守り』使って、水を降らせたでしょ」
「ああ。それが?」
「あれは本当なら、“火”に反応するだけのもの。だから普通はあんなことできない。道具に元々込められてる力以外の使い方ができるのは、自分がまじないの力を持ってる人間だけだ」
「カナの言うとおりです。先ほどにしても、あれはナイフに備わった力ではない。セイジ自身の力がクロウナイフを強化していました」
まったく実感のわかないセイジは、腰のクロウナイフを見た。
「……。そうなのか?」
「本当に自覚がないんですね……気をつけてください、慣れないうちからあまり頻繁に力を放出すると、体に毒ですよ」
1つ、息を吐いて。サトルはセイジに手を差しだした。
「そろそろいいでしょう。立てますか」
セイジはサトルの肩を借りて立ち上がった。カナも、必要ならすぐ手を貸せる位置にいる。
「けっこう時間くっちまったな。急ごう」
「あんたのせいでしょ。サトルもサトルで、なんで止めないんだか――」
カナの目つきが怖かった。歩き出しながら、セイジは首をすくめた。
「しょうがないだろ、あれは成り行きで……」
「……あの人形は大丈夫なの」
「ん? ……アンティークか? あれから気配は変わらないけど」
「わかってる? あんたはユエのまじないをぶち壊したんだ。絶対にユエも気づいてる。それで人形の方に報復されるとか、考えなかったわけ?」
「あ……!!」
セイジだけでなく、サトルからもぎょっとした空気が伝わってきた。
そんな男2人を、カナがきっと睨みつけた。
「ほんと、しっかりしてよ……今まだ無事なら、とりあえず大丈夫なんだろうけど。あんまりユエを刺激しない方がいいんじゃない」
「しかし……逆に言えば、それでもユエは、セイジ自身に手出しをしてきませんね」
サトルとカナの視線がセイジに向く。サトルはさらに、続けた。
「何か理由があって、『ユエはセイジを殺せない』――そう考えるのは早計でしょうか」
「……」
セイジはまず、猛省のため息を吐いた。そうして2人に苦笑して見せる。
「俺のことは後でもいいだろ。アンティークは無事だ。今はそれでいい。……次、行くぞ」
サトルとカナは、黙ってうなずいた。
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