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・ PIERROT ・  作者: 高砂イサミ
第1章
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ピエロゲーム -4-


「ややっ! あんた、『セイジ』くんだねっ!」

 梯子を登りきり、そろそろと開いたドアの向こうは、先ほどまでいた控え室だった。

 今はやけにフレンドリーなバニーが1人いるばかりで、他に団員の姿はない。まだ幸運は続いている。

「あたしらバニーはステージでお手伝いするだけで団員じゃないから、ゲームには不参加なの。あたしはルウ。よろしくね!」

「え、あ、どうも……」

 やたらと露出度が高い女性に笑顔で握手を求められれば、セイジも悪い気はしない。

 アンティークからいやーな感じの視線を向けられているのは、この際無視。

「それにしても災難だね! 何しちゃったのかなセイジくんは?」

「俺もわかんねーんだよ」

「もう館中が大騒ぎだよ~。もうこれルールとか関係なく、たとえセイジくんが逃げる気がなくても、命を狙われ続けると思うよ。みんなお祭り気分だからね~」

「祭りって……」

「せっかくお近づきになれたのに、残念☆」

「っておい、もう『残念』か」

「ま、だから襲い掛かってくる奴は目一杯戦って大丈夫ってこと! んじゃ、頑張ってねっ!」

 バニーというより気まぐれな猫のようだった。

 ひらひらと手を振りながら部屋を出ていくのを見送って、セイジはどっと疲れを覚えた。

「たとえ生き延びてゲームが終わっても、俺、このサーカス団でやっていく自信なくしたかも……」

『だ、大丈夫? セイジ……』

 がっくりとうなだれていたセイジだが、アンティークに向けた目は、ごく冷静だった。

「けどとにかく、敵ばっかじゃないってのはわかったな」

『……そうだね』

「さて、団長はどこにいるかな。……まずどっかに、サーカス館の地図とかねーのかな」

『昨日来たばっかりで、この中のことって全然わからないもんね』

「そっちの方とか、確かまだ行ったことなかったよな?」

 控え室の南に伸びる通路。セイジはまずそちらへ足を向けた。


 後から思えば、それは――“血”に導かれたかのように。



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