番外編SS: 再会
「こちらで少しお待ちください」
一礼して、案内役と名乗った少年は部屋を出て行った。
残された5人は互いに目を見かわした。
「――元気そうだな、皆」
まずビッグが口を開いた。リアラがぱっと顔を輝かせ、セイレーンがあでやかな微笑を浮かべる。アオイは相変わらずの無表情でうなずいた。
「ひさしぶりだ」
「嬉しい……本当に嬉しいです。また皆さんと会えるなんて」
「私は信じていたわ。私が無事なのだから、あなた方もきっと生きているだろうって」
全員を見渡して、セイレーンが続ける。
「だから近くのサーカス団にすぐに入団した。サーカスに関わっていれば、皆のうわさが耳に入らないことはないだろうと思ったから」
「そうだな。私も同じことを考えた。結果、こうして再会できたというわけだ」
「正直……あなたのことは、少し心配だったけれど」
セイレーンはアオイに目を向けた。
「もしかしたら、後を追っていってしまうのじゃないかとおもって」
「そうか」
そう言って、アオイはさびしげに目を伏せた。肌の色も仕草も、以前よりずっと人間らしい。
「たしかにユエのことは忘れられない。これからも忘れることはないだろう。だけど、僕は――」
「アオイ」
「アオイさん……」
「はいはい。暗くなるんで、もうその話は終わりにしてくださいネ」
ビッグとリアラの後で、コウが無遠慮に割り込んだ。アオイは軽くコウを睨んだ。
「相変わらずのようだな」
「人間、そう簡単には変わりませんヨ」
「……コウ」
「イテッ!」
ゴツッという固い音とともに、コウは頭を抱えてしゃがみこんだ。
今も手にしていた死神の鎌を引き寄せ、アオイは短く息を吐いた。
「カナには会いにいかないのか」
「……なんデスカ、藪から棒に」
「こんなところでのんびりしている場合じゃないだろう」
「そうですよ、コウさん! 早くカナさんに会ってあげてください! 『約束』したんでしょう!?」
「リアラちゃんまで……え、ちょっと、イタイイタイ」
リアラがしゃがんでいるコウの頭をぽかぽかとたたく。コウはさすがに焦った顔で他の3人を見た。
「止めてくれないんデスカ!?」
「私もリアラと同意見だ。彼女に会いたくはないのか?」
「なんであんたがたにそんなこと言われなきゃいけないかがわかりマセン」
「そんなの! “仲間”だからに決まってます!!」
リアラが力いっぱい断言した。それを見たビッグが破顔する。
そしてセイレーンが腕組みしつつコウを見下ろした。
「まったく。あなたをみつけるのに一番手間取ったのよ。そちらからのアクションがまるでなかったから。そのせいで私達がどれだけ駆け回ったか、わかっている?」
「別にそんなこと、たのんでませんし。第一しょうがないじゃないデスカ。僕は自分がいた地名さえ記憶になかったんですカラ」
「あっ……」
リアラの手が止まる。が、アオイがさらりと言い返した。
「方法はいくらでもある。お前のことだ……本当は僕達とは会わずに1人でここを、カナを捜したかったんだろう」
コウはむっとした表情になり、ぷいとそっぽを向いた。
「ほっといてクダサイ」
「……皆、変わっていないようで……変わったわね」
セイレーンがくすりと笑った。――その時。
ガチャリ、とドアノブの音がした。
「来ましたね。6人目」
リアラが嬉しそうに笑った。視線が集まる中、おずおずと扉が開く。
そして。
END




