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・ PIERROT ・  作者: 高砂イサミ
第24章
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審判 -4-


「――ねえ、ちょっと! さっきから思ってたけど、あんた団長室の場所なんて知らないんじゃないの!?」

 『右腕』の廊下を走りながら、少し後ろからカナが怒鳴った。セイジは足を止めずに2人を振り返った。

「あそこまで言ったからには、サトル、お前つかんでるんだろ? 団長室への道」

「もちろんです。……このまま控え室の方へ。舞台へ続く通路の途中に、入口があります」

「よし!」

 途中で4人の邪魔する者は、もはや誰もいなかった。それどころか、日中にも関わらず妙に人影が少ない。

 セイジも不思議には思ったが、今はかまっていられない。壊れた壁の修理中らしい数名の職人を横目に控え室を駆け抜け、通路へ出た。

「ここです……ここが入口になっているはず」

 サトルが示したのは通路の両側、頑丈そうな柵で封鎖された2ヶ所の階段だった。

 セイジもこの場所は何回か通ったはずだが、まったく目に入っていなかった。

「封鎖されている柵を同時に押すことで、中に入ることができるようです」

「2手に別れろってことか? ……両方とも『運命の間』に繋がってるんだろうな?」

「セイジ、あなたはカナと一緒に東側の通路を行ってください。私は西側を進みます」

 サトルがやんわりと指示してきた。セイジには、異論を唱える理由はなかった。

「ああ。分かった」

「またセイジと一緒? 別にいいけど……」

 カナが不審げな顔をしたが、サトルはもう西側の柵の前まで行っている。

 そこでサトルはふり向いた。

「セイジ……ありがとうございました。あなたのおかげで、またアンに会うことができた……」

「は? な、なんだよ急に?」

「いえ。それでは、中でまたお会いしましょう」

 サトルは柵に手をかけ、「いつでもどうぞ」という風にセイジ達を見た。と――不意にアンティークが声を上げた。

『セイジ、あたしはサトルと行くよ。それじゃダメかな?』

「え、またか? 別にいいけど……2人ずつでちょうどいいし」

 ところが、アンティークを渡しに行こうとすると、サトルの方で首を振った。

「アン、あなたはセイジ達と――」

『セイジとカナちゃんなら大丈夫だよ。ね、セイジ? ……ちゃんとカナちゃんを守ってあげてね?』

 それを聞いたカナが、心外そうに腕組みをした。

「別にあんたに守られなくても、自分の身は自分で守る」

「ほんっとかわいくねーなお前は」

「うるさい」

『ほら。だからサトル――一緒に行かせて?』

 しばしの沈黙の後、サトルは小さく息を吐いて、アンティークを受け取った。

「それでは、よろしくお願いします」

『うん。……セイジ、頑張ってね』

「お前らも気をつけて行けよ」

 セイジとカナも東側の柵の前に立った。セイジは柵に手をかけ、サトルを見る。サトルがうなずいた。

「よし、サトル。押すぞ!」

 柵は見た目よりもだいぶ重かった。それでも問題なくめいっぱいまで開いて、地下に通じる階段を晒した。

「この先に、ユエが……」

「まだ俺らの前に出てこないから、いる可能性は高いよな。……怖いか?」

 カナは緊張の面持ちをしている。それでも、まっすぐにセイジを見返してきた。

「そんなこと言ってられないでしょ」

「上等だ。んじゃ、サトル! アンティーク! 『運命の間』で会おうな!」

 カナと共に長い階段を駆け下りていく。

 背後では、柵が閉まったらしく、「ガチャン」と重たい音がした。



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