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第14話 ドナグ VS カムレン(下)

「来い……全員まとめてかかってこい!」


全身の筋肉を膨張させたカムレンが、関節を鳴らしながら狂気じみた笑みを浮かべる。


「三分以内に俺を倒せたら――お前たちの勝ちだ!」


言い終わると同時に――


拳が地面へ叩きつけられた。


轟ッ!!


衝撃波が炸裂し、先ほど以上の範囲で闘技台が粉砕される。


「『大地よ隆起せよ――土壁!』」


シュトが即座に土壁を展開。


しかし――


わずか一瞬で粉砕され、余波がそのまま全員を吹き飛ばした。


「みんな無事か!」


ドナグが歯を食いしばって叫ぶ。


だが、その一瞬の隙を――カムレンは見逃さない。


姿が、消えた。


「来るぞ!」


シュトの低い警告。


次の瞬間――


空気が弾けた。


カムレンはすでにドナグの眼前にいた。


拳が、迷いなく振り下ろされる。


轟!!


闘技台の中心が完全に崩壊。


ドナグは咄嗟に《炎踏》で後退するも、衝撃で数歩滑らされる。


「速すぎる……!」


カムレンはさらに踏み込む。


地面が爆ぜる。


「『裂地衝!』」


残像すら引き裂く直線突進。


命中の寸前――


「『凍結――氷縛!』」


リンの声が響いた。


カムレンの足元が瞬時に凍結。


動きがわずかに鈍る。


「今だ!」


「『展開せよ――水霧!』」


レイラが魔法陣を展開。


濃密な水霧が一気に広がり、視界を奪う。


「小細工が――」


「『重量よ支配せよ――重力増幅域!』」


シュトの術式が重なる。


空気が沈む。


カムレンの動きが明らかに重くなる。


「チッ……!」


その一瞬――


「行くぞ!」


ドナグが踏み込む。


「『燃え上がれ――炎踏!』」


爆発的な推進。


霧を切り裂き、一気に間合いを詰める。


「『貫け――紅蓮槍!』」


紅の槍が胸元へ一直線に突き出される。


カムレンは強引に体を捻り、拳で迎撃。


轟!!


爆炎が霧の中で炸裂。


空間が炎に呑まれ、水霧が一瞬で蒸発する。


カムレンが一歩後退。


足元の氷が砕ける。


彼は腕を見下ろした。


そこには、確かな焼傷。


短い沈黙の後――


カムレンは笑った。


「……なるほどな」


四人を見渡す。


「個じゃない。連携で時間を稼ぐつもりか」


肩を回す。


筋肉が不自然に軋む音。


「いいだろう。少し本気を出してやる」


次の瞬間――


再び消失。


「『爆進踏!』」


わずか一瞬で――


レイラの目の前へ。


「『震圧連打!』」


拳が重なる。


残像が生まれるほどの速度。


「まずい!」


防御が間に合わない。


シュトが強引に土壁を展開するが――


連打により、即座に粉砕。


それでも攻撃は止まらない。


その時――


「『燃え上がれ――炎踏・改!』」


ドナグが強引に割り込む。


推進力で軌道をねじ曲げる。


カムレンは攻撃を中断せざるを得なかった。


「大丈夫か、レイラ!」


「う、うん……!」


レイラが体勢を立て直す。


カムレンが再び踏み込む。


「『崩山拳!』」


拳が振り下ろされる。


轟!!


シュトの土壁――即崩壊。


だが、その瞬間――


「これでいい」


土壁は囮。


破壊の瞬間に、重力増幅が発動。


カムレンの動きが封じられる。


「クソが……!」


「ナイスだ、先輩!」


ドナグが踏み込む。


炎踏で加速。


「焔環斬!」


火炎の斬撃が直撃。


カムレンが数歩よろめく。


「……あと一分か」


低く呟く。


違法道具の残り時間。


「なら――こうするしかねぇな」


自らの体を叩く。


筋肉が異様に膨張。


呼吸が乱れる。


震える肉体。


「……『過負荷暴走』」


「様子がおかしい……!」


次の瞬間――


消えた。


再出現。


全員の間合い。


そして――


全員が一撃ずつ叩き込まれる。


速さが、さらに上がっている。


「なんだと……!」


ドナグが目を見開く。


だが気づく。


――技を使っていない。


純粋な暴力だけ。


カムレンはリンへ突進。


しかしリンは冷静だった。


氷を瞬時に生成し、防御と回避を同時に行う。


「今のうちに抑えろ!」


氷縛。


水霧。


再展開。


「ふざけるなぁ!」


カムレンが力任せに突破。


再び消失。


今度はドナグへ。


連打。


「副作用、来てるな」


「黙れ!」


ドナグが炎踏で距離を取る。


カムレンが追う。


だが――


ドナグは笑った。


瞬間、視界から消える。


カムレンがわずかに動揺。


その背後――


シュトの術式が完成していた。


重力増幅、発動。


動きが鈍る。


さらに――


リンとレイラの制御が重なる。


三重拘束。


完全停止。


「これで終わりだ!」


前方にドナグが現れる。


炎踏で加速。


紅蓮槍、生成。


「『貫け――紅蓮槍!』」


一直線に突き出される。


カムレンは――動かない。


筋肉が急速に萎縮。


力が抜ける。


三分――終了。


槍が貫通。


そのまま倒れ込む。


「……約束通り、俺の負けだ」


天井を見上げ、苦笑する。


「学生にここまでやられるとはな……」


ドナグは静かに魔法を解いた。


「ドリュト学院を甘く見るなよ」


そのまま一行は去っていく。


残されたのは――


倒れたままのカムレンだけだった。

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