表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/15

第13話 ドナグ VS カムレン(上)

ロボットが一時的にその場を離れると、ドナグたちはその隙を突いて廃工場の内部へと踏み込んだ。


「ここ、地形がやたら複雑だな。」


「本当に工場なの?」


ドナグとレイラは周囲を警戒しながら進んでいく。

入り組んだ通路と部屋が続き、方向感覚を狂わせるような構造だった。


その時――


「くそっ! こいつらどうやって入ってきた!」


「これ以上進ませるな。これは“あの方”の命令だ。」


通路の奥から現れたのは、以前ヴィナ・シュンを誘拐した三人のフードの男たちだった。


三人は同時に魔法の詠唱を始める。


「『呼びかけに応じよ、燃え盛る意志よ――』」


「『流れる風よ、旋となりて集え。眼前の敵を巻き上げよ――』」


「『大地よ応えよ、その形を裂け――』」


しかし――


「目障りだ。『大地よ! 燃え上がれ――地火!』」


「私も行きます……『貫け、氷槍』」


「悪いけど急いでるんだ。『切り裂け、水刃』」


三人の詠唱が終わるより早く、ドナグたちの魔法が放たれた。


轟――!


火柱、氷槍、水刃。


三つの魔法が同時に炸裂する。


フードの男たちは為す術もなく吹き飛ばされ、その場に倒れ込んだ。


「先へ行こう、みんな。」


ドナグの一言で、一行はさらに奥へと進む。


やがて辿り着いたのは、広い部屋だった。


「ここは……」


室内にはほとんど物が置かれていない。


ただ一つ――

中央に巨大な格闘用リングが設置されていた。


「ようこそ! お待ちしておりましたよ!」


リングの中央に、一人の男が立っていた。


「何者だ!」


「ケイス・カムレン。」


男は優雅に一礼する。


「カムレンと呼んでくれて構いません。」


ドナグは鋭く睨みつけた。


「ヴィナ・シュンはどこだ!」


「ヴィナ・シュン? ああ、あの連れてきた学生か。」


カムレンは興味深そうに笑う。


「ふむ……面白い。まさかドルート学院の学生が、わざわざここまで来るとは。」


そこへアルヴィン・シュトが一歩前に出る。


「我々学生会の役目は二つ。学生の救出と、違法魔道具の調査だ。」


「なるほど……実に感動的な台詞だ。」


カムレンは肩を回し、首を鳴らす。


「だが――だからといって通すつもりはない。」


彼はリング中央へ歩き出した。


拳を握る。


「さあ。」


ニヤリと笑う。


「一人、上がって来い。タイマンだ。」


「俺が行く。」


ドナグは迷わずリングへ上がった。


「ほう?」


カムレンが眉を上げる。


「言っておくが、不公平だと思うなら仲間が加勢してもいいぞ?」


「黙れ!」


ドナグの手に魔法陣が展開する。


「『貫け――紅蓮槍!』」


赤い炎の槍が一直線に放たれる。


しかしカムレンは軽く身を傾けただけだった。


炎が横を掠めていく。


「それが君の技か?」


ドナグは鼻で笑う。


「これだけじゃない。」


魔法陣が再び輝く。


「『大地よ! 燃え上がれ――地火!』」


リングの床が爆裂する。


複数の火柱が噴き上がり、カムレンを飲み込んだ。


「ほう……」


炎が消える。


カムレンが歩み出てきた。


身体には焼け焦げた跡が残っている。


だが表情は余裕そのものだった。


「悪くない。」


ドナグの目が見開かれる。


「な……」


「詠唱は確かに短縮されている。」


カムレンは肩の灰を払った。


「だが威力が足りないな。」


ドナグは息を整える。


「もう一度だ……『貫け――紅蓮槍!』」


今度は距離を詰めて突き出す。


しかしカムレンは拳で迎え撃った。


拳と紅蓮槍が衝突する。


炎が弾ける。


「ははは! いいじゃないか!」


カムレンが笑う。


「『震圧拳!』」


拳がリングに叩きつけられる。


轟!!


衝撃波が床を砕く。


ドナグは咄嗟に後退する。


「なんてパワーだ……!」


カムレンは首を鳴らした。


「魔法使いは距離を取るものだろ?」


次の瞬間。


地面が爆ぜた。


「『裂地衝!』」


砲弾のような速度で突進する。


一瞬で距離が消える。


拳がドナグの顔面へ。


「速すぎる――!」


拳が頬を掠めた。


背後の壁が粉砕される。


煙が舞う。


カムレンは舌を鳴らした。


「ははは! よく避けたな!」


ドナグは拳を握る。


「逃げてるわけじゃない。」


魔法陣が再び展開。


「『貫け――紅蓮槍!』」


炎の槍が至近距離で放たれる。


だがカムレンは避けない。


むしろ踏み込む。


「望むところだ!」


拳が叩き込まれる。


爆炎が工場を飲み込んだ。


光が消える。


紅蓮槍の傷が確かに残っている。


しかし――


カムレンは笑った。


「そうこなくちゃな!」


彼は一瞬で距離を詰める。


ドナグを掴み、拳を振り上げた。


「『纏え――焔刃!』」


ドナグの腕に炎の刃が宿る。


カムレンが一歩退く。


だが次の瞬間――


アッパーカット。


「ぐっ……!」


ドナグの身体が宙に浮く。


空中。


足元に魔法陣。


「燃え上がれ――『炎踏・改!』」


炎が噴き出す。


手と足から同時に噴射する推進。


回転しながら蹴りが炸裂した。


轟!!


カムレンが初めて後退する。


「やっぱりな……」


カムレンは口元の血を舐めた。


「特にお前だ。」


「『裂地衝!』」


再び高速突進。


ドナグは両手を広げる。


「『爆ぜろ――爆炎域!』」


床が連続爆発する。


火柱が突進を阻む。


その隙を突き――


ドナグが踏み込む。


「『火焔の環――焔環斬!』」


炎の輪の斬撃がカムレンを切り裂いた。


カムレンは数歩よろめく。


「いいねぇ……」


血を流しながら笑う。


「ここまでやるとは。」


彼はポケットからカプセルを取り出した。


「次は――科学の力を見せてやる。」


「それは……違法魔道具!」


シュトが叫ぶ。


カムレンはカプセルを握り潰した。


バキン!


次の瞬間――


筋肉が膨れ上がる。


服が破ける。


リングが沈む。


変化が終わった時。


カムレンの身体は怪物のように膨れ上がっていた。


拳が振り下ろされる。


轟!!


衝撃波がドナグを吹き飛ばす。


「なんて破壊力だ……」


カムレンは狂気の笑みを浮かべた。


「さあ――」


彼は指を鳴らす。


「全員まとめて来い。」


「お前ら全員、相手してやるよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ