俺はめちゃくちゃ嫌われているらしい
「ユニークスキルが…無い…?」
「そうですね。あなたにはありません」
と精霊は妙にハッキリと言った。
うーん。ここまでハッキリと言われると信じるしか無いか…
「ちなみに、これは補足ですが、偶に運命を変えるようなスキルもありますが、運命が変わったとしてもプリズムの精力が放出された跡は同じです」
「なるほど、この世界のことはだいたいわかった。では次に存亡がかかっているという部分について教えてくれ。どういう経緯で俺になったのか、そして俺は何をすれば良いのか」
「わかりました。まず経緯について教えます。まず、この世界を作った理由なんですが、私の娘が『前の世界を支配して母さんが死んだ時に一緒に埋める』って言っていきなり支配を始めようとしたので、皆さんの生きる場所を一時的に守るためにそっくりな世界を作りましたが、精力というものを作ってしまいました」
精霊にも埋葬ってあるんだ…
「いや、急いで作ったならこのくらい仕方ないと思う(?)し、別にいい。続きを聞かせてくれ」
「わかりました。続けます。私の娘はあれで大きな力を使ったので、私が作った世界まで支配する力はありません。しかし、世界で一番強いスキルのどれかを持つ者を乗っ取ったようで、その乗っ取った者を精力の強さを見ながら皆さんの記憶を探していました。ちなみに、私が記憶をあさった人間のみ前の世界の記憶を持ち合わせています。念力で切り替えられます」
「完全にランダムに探すわけにはいかないだろう。どんなふうに探していたんだ?」
「スキルが無い人を探していました。周りのスキルが非常に強い場合に、ごく稀にスキルが無い人ができます。20人目くらいで見つかりました」
「その強いスキルを持つ人間が誰だかわからないのか?」
「私の方法ではある空間の中に強いスキルを持つ人がいることしかわかりません」
いや、世界を作ってる奴とはとても思えない言葉だな。
「なるほど、そしてなぜ俺になったのだ?」
「あなたの記憶の中に私の娘が乗り移った体がありました。おそらくこの世界を救うには娘を制御する必要があると思いましたので」
「なる…ほど?まあいい。それで、俺は何をすればいいんだ?」
「簡単に言うと、この世界を精力のない、スキルのない世界にすることです」
「具体的にはどうするんだ?」
「この世界を私の娘を使って制御してください。そうすれば私が別の世界に皆さんを転移させます」
「わかりにくいが、まあいい。いろいろ教えてくれてありがとう」
「いえ、当然のツトメです。私に聞きたいことがあれば、そこの機械で呼び出せます。頑張ってください」
こうして、図らずして俺の世界救出が始まったのだ。
とはいえ、初っ端から何すればいいかなんてわからない。まずは学校にでも行ってみよう。
まあ学校に着くまでに何かあったわけではなく、学校に着いた。
なんか話し声が聞こえるぞ。
「ホント郁井さんすごいね。今回も今のところ全部のテスト満点らしいよ」
「ホントだよね。あの見た目でとんでもなく勉強できて、体力テストも男子を上回って学校1ってとんでも無いよね…ってうわ(笑)幼馴染だからってだけで気安く話しかける世間知らずが来た(笑)」
「マジであいつムカつくわー。学年全員から嫌われてるのにやめないってキモすぎな。って頭抱えてマジでオモロイんだが」
ダメだ。マジで話が追いつかない。亜湊が完璧美少女ってだけで意味わからん。その設定だけで本当に頭痛がする。いや、あいつらが変なこと言ってる可能性もあるし、気にせず教室に入ろう。
と思って扉を開けた瞬間
「うわ」
「お前らすげーな。何重奏だ?」
と俺は自分でも意味のわからない返しをしてしまった。
すると、地味な女子が目の前に来て、
「椹川くん、そのくらいにしといたほうが…」
と言った。
どうやらこれ俺の毎度のくだりっぽい。
ちょっと前世の記憶を遡ってみると、俺はめちゃくちゃ嫌われているらしい。
それも女王様に等しい亜湊にウザ絡みするからと言う理由だけで。
俺に話しかけてくるのは金塚泰斗と芦名彩華の2人だけらしい。
さっきの女子は芦名彩華の方だ。
どちらも俺が助けたらしい。この世界の俺もまともでよかった…
って全然まともだとは思われてないけれど。
せっかくだし亜湊が来たらわざとウザ絡みして周りの反応を確かめよう。
「おはようございます」
「おはようございます!」
「えっ君たちホントすごいね。さっきのよりさらに厚みが増してる!合唱部に入ったほうがいいんじゃない?」
こうするとみんな黙った。
俺生物兵器になったっぽい。カッコ良すぎる。
「まーいい。亜湊なんでそんなスカート短いんだ?校則違反だろ」
「おめえはよぉ!」
なんか野郎共が数人寄ってきた(笑)
これらを足で払った上で、
「で?なんでそんな服装なん?」
「なんであなたに話さないといけないの?」
「別に教師に言って置くだけだぞ」
「先生には言ったから先生に聞いて。そして私に話しかけてこないで」
「わかった」
そして職員控室に行って
「郁井さんってなんで今スカートあんなに短いんですか?」
と聞いてみた。すると返ってきた答えが
「郁井さんはお前と違って全部真面目にやってるんだ。お前はスカートが短いなんていちゃもんばかりつけて、そんなこと言いたいならせめて真面目にやれ!」
精霊さん、既に帰りたいんですけど…