#08「脳筋でも犯人探しがしたい!」後編
【レベルアップしました。現在レベル7】
昨日、俺は風花さんたちとともに楽しい休日を過ごした。
現実世界では受験期間なので誰を遊びに誘っても来てくれなかったから久しぶりにめちゃくちゃはしゃいだし楽しかった。
そんな楽しい日々も過ぎ、今日からまた学校だ…
そしてこの学校には風花さんに付きまとう正体不明のストーカーがいるらしい。
今はそいつを捕まえるために学校に行ってるようなもんだ。
今日で全て終わらせる…風花さんを縛る全てを終わらせる。
なんて考えていたら普通に学校に着いた。
寮制だから学校までの距離めっちゃ近いんだよな…
玄関に上がった俺がふと自分の下駄箱を開けると上履きに画鋲がたんまりと刺さっていた。
「は?」
なにこれ、こんなよくあるテンプレの虐めする奴いるんだ…とはいえ、この画鋲が邪魔だ。
「どーすっかな…この画鋲…」
とりあえず抜くか…とはいえ、どーやって抜こう?教室にある釘抜きで取るのが一番無難だが、これ教室まで持ってくの?目立たない?
まぁ、靴を無駄にするよかマシか
てなわけで教室に着いたが…正直めちゃくちゃ隠すの大変だった…
まさか素足でここまで来るなんて…おかげで3回転びかけたぞ…
「それどーしたの?」
俺が椅子に腰をやると1人の男がブツブツと言いながら駆け寄ってきた。
「防人〜聞いてくれよ!朝下駄箱開けたらこーなっててさ!」
「ヤバ…先生には言ったの?」
「いやまだ」
「良かったら先生に言いに行くの手伝うよ?」
いや、そこはお前が言ってくれるんじゃないのかよ!
「まぁいいや、とりま釘抜取ってくるわ」
「うん、行ってら〜」
俺は席を外し教卓の裏にある引き出しに向かう。
なんか妙な視線を感じる…
ヒソヒソ言いながらこちらに目をやるような…
声のする方に目をやると怪しそうな三人組がこちらに向かってヒソヒソ話しながら不敵な笑みを浮かべていた。
いや分かりやす!絶対こいつらじゃん…
えと…名前はなんだっけ?覚えてないけど多分こいつらがやったと思う…けど、どーしてだろ?こいつらと話したこともないのに…なんかしたっけ?
後でアイツらに話しかけてみるか…それはそうと早く画鋲抜かないとホームルーム始まっちゃう!
俺は目を逸らし急いで教卓の裏の引き出しから釘抜きを二本とると防人に手伝って貰いながらなんとかホームルームが始まる前に画鋲抜きを終わらせた。
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ホームルームを終え、俺らは歴史の授業で板書の文字をノートにとっていた。
それはそうと、なぜか今日はノートが書きにくい、なぜかノートに文字を書くとシャーペンがガクッと落ちる。
俺は気になりノートをどけ机を詳しく見てみると大きな穴があった。
上履きに続いて今度は机もかよ!あーもーあったまきた!絶対見つけて一発ぶん殴ってやる!
バキッ!
俺が力を込めながらシャーペンをグリグリとやると芯が折れた…なぜかムカついてたまたま作っていたねり消しを教卓へぶん投げて教師のメガネにHIT、その後先生にめちゃくちゃ怒られた。
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「いやー、さっきは助かったよ!お詫びになんか奢るわ」
「いや別に大丈夫だよ!僕が手伝ってあげたかっただけだし!」
昼休憩、俺は防人と一緒に校庭のベンチに座り今朝の話をしていた。
「それはそうと虐めの事、先生に報告したの?」
「それがさ…犯人は分かんなかったけど机に穴あけられてた」
「え!?上履きに続いて机までやられたの!?」
「早急に先生に言った方良いって!」
「でもさ!こーゆーのって自分で解決したいじゃん?」
「風花さんの件もあるんだから、そんなに抱え込んだらメンタル崩壊しますよ!?」
「大丈夫だろ!なんとかなるって!」
「それ絶対になんとかならないやつね!?」
キーンコーンカーンコーン
昼休憩の終わりを告げるチャイムが鳴り出した。
「さて、じゃ教室戻るか!」
「そうだね。」
そうだよな、風花さんの件も片付けないとな、全く大変だぜ…ま、引き受けたのは俺なんだけどね!
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放課後…俺は少し1階の廊下をうろちょろした後、
自身の教室がある2階に上がった。
もちろん、誰が俺のイジメをやってるか確かめる為、
俺は自身の教室の前に立ち、ゆっくり深呼吸した後にドアをガラガラと開けた。
「やべっ!?」
そこに居たのは今朝、俺の事をヒソヒソと笑っていた3人の内の2人で、2人は慌てて逃げようとする。
もちろん2人が居たのは俺の机の周りで手にはカッターを持っていた。
「やっぱお前たちか」
「違っ!?これは命令で!」
命令?そーいえば1人居ないな。
「命令って誰から?」
やや怒り気味で2人に話しかける。
「いや、言えないっ、いえ!言いますから!」
俺が召喚魔法で召喚した剣を突きつけると2人にはビビってコソコソと話始めた。
「大丈夫かな?あの人に怒られない?」
「大丈夫だ!バレてもあの人には敵わないでしょ」
なんか2人がヒソヒソと話している。よく聞こえないけど
「なに話してる?早く言え」
「はい!」
俺は剣を更に片方の男の方に近づけると男は焦りながら話し出した。
「えと、あなたのことをこうしろって命令したのは…嫉酷さんで…」
いや、顔は知っているがそんな名前だったとは…
剣を降ろし俺は片方の男に問いかける。
「その嫉酷…だっけか?そいつは今どこにいる?」
「いや、僕たちはちゃんと聞かれたことは答えたんでこれ以上は…はい!話しますから!」
俺が再び剣を片方の男の首に突き出すとやや焦り気味で話し始めた。
「嫉酷さんは、今というか最近、放課後に予定があるからといつも先に1人で帰っちゃうんですよ。そこで1つ気になることがあって…」
「気になること?」
俺が首を傾げると2人の男は互いに見つめあってからコクっと頷き、少し心配気味に話し始めた。
「嫉酷さんが放課後、あまりにも僕たちに関わってくれないから1度だけ尾行してみたんですよ。」
「そしたら何故か、女子寮がある方の帰り道へ向かっていて…なんか知ってませんか?本当に困ってるんですよ。」
放課後、女子寮…まさか!!
「ありがと!これで虐めの件チャラにしてやる!またな!」
「え、あ、いやだから何か知ってたら…って行っちゃった。」
俺は颯爽と教室を抜けると急いで女子寮がある方の道へと向かった。
流石に馬鹿な俺でもわかる。多分、風花さんをストーカーしてる犯人と俺を虐めてるグループの主犯格は同一人物だ!!
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しばらくしてから俺は女子寮の道を歩いているとフードを被った人が誰かをつけてるのを見て駆けつける。
「やっと見つけたぜ…風花さんをストーカーしてたフード男…いや、嫉酷!!」
「なんで知ってんのぉ?」
「まぁ俺天才だし!つか分かりやすいんだよ!お前!」
ま、本当はあの虐めっ子たちがヒントくれただけなんだけどね…
「んー、そんなバレやすいことしてたかなぁ…まぁいいやチクリたきゃチクれば?」
嫉酷は昇のいる方を振り向き、睨みつけた。
負けじと昇も嫉酷を睨みつける。
「俺がチクる?有り得ねぇ、だって俺は俺の手でお前ぶっ潰吸って決めてるもん。」
拳を握りメキメキという音が辺りに響く。
俺が今やるべきことは一つ、このストーカー男を風花さんに近づけさせないように時間稼ぎする事。
「威勢だけはいい、雑魚だな。でも、俺は急いでったからまたな。」
「逃げんのか?だからいつまでもストーカーしなきゃ風花さんに近づけないんじゃねぇの?」
昇は逃げようとする嫉酷に右手で来いよとサインをし挑発する。
「はぁ〜、忘れたのか?お前、俺に手も足も出なかったろ?」
「あの時はな?今は違う。ちゃんとてめぇに勝てるぐらいには強くなってっから」
嫉酷の頭に怒りのマークが浮かび上がる。
「あっそ、でも邪魔だから消えろ、束縛魔法!!」
昇の周りを1本の縄が囲う。
「よっ!」
しかし昇はジャンプで縄を軽々と乗り越えた。
「風花さんから教わったもんな!束縛魔法はしばられる前に斬るか飛び越えろってな!」
「はぁ、また風花たんの話かよ…俺の…なのに…」
大きいため息をついた後にブツブツと喋り出す嫉酷。
「あ?聞こえねぇよ、もっとはっきり言えや!ストーカー変態男!」
「俺のなのに…俺の風花たんなのに!!」
「はぁ?お前のじゃ…」
「黙れ!束縛魔法!!」
沢山の縄が昇の手や足、首などを囲う。
「召喚魔法!」
昇はすぐさま魔法陣から剣を出現させ素早い剣裁きで縄を全て切り落とした。
「どうだ?強くなったろ?」
昇は嫉酷のいる方へ剣を指し挑発する。
風花の安全をかけた戦いが今始まった。