#06「脳筋でも犯人探しがしたい!」前編
【レベルアップしました。現在レベル5】
試験に落ちた翌日…俺は疲労から寝坊をしてしまった。
朝のホームルームが始まるまで残り30分。
「ちっ、なんで土曜日も学校あるんだよ!」
ここの学校では日曜日以外は学校が普通にあるのだ。
だから今までの感覚で行くと体内時計が正常に働かないのだ。
俺は急いで朝食を済ませ学校に向かった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
予鈴まで残り2分…なんとか間に合った…
カバンをロッカーに入れて一段落ついてると予鈴が鳴った為、俺は席に着く。
「やっぱ、土曜日も学校だと体内時計狂うよね」
すると隣から風花さんが話しかけてきた。
「今までは土曜日の部活で試合ある時以外は一日中ダラダラしてたからな…」
などと世間話を交わしてると先生がやって来たので俺らはお喋りを辞める。
「今日の予定はな…」
しかし風花さん…知り合ったばかりなのにやけに話しかけてくれるな…ま、嬉しいんだけど…
「…よし、朝のホームルーム終了。日直礼かけろ」
「起立、気をつけ、これで朝のホームルームを終わります、礼、着席」
朝のホームルームが終わったらしく俺らはそれぞれの場所へと向かう。
俺は朝話せなかった防人の元へと向かって歩いていた。
直後、俺の進路を1人の見知らぬ女子が塞いでくる。
「いや、すんません、そこどけてもらっていいですか?」
「無理に決まってんじゃない!このストーカー野郎!」
「は?」
なんかよく分からない罪を着せられてるぞ。
「ストーカーってどーゆー意味で…」
「あんたが風花のストーカーって事は知ってんのよ!さぁ白状しなさい!」
なんかコイツ気の強いやつだなと思いつつ、俺は呆れたので強引にでも通ろうとすると…
「喰らえ!水流魔法!」女が生成した魔法陣から水が放出される。
「うぉっと!危ねーな!」
「アンタが大人しく白状しないのが悪いのよ!大体ね、風花のストーカーなんてあんたみたいな童顔に決まってるじゃない!」
いや、待って、俺確かに童貞だけど酷すぎない?そんな童顔か?俺。
「その人は違うよ〜」
深く落ち込んでると1人の救世主が現れた。
「風花さん!」
「どーゆーこと風花?コイツが例のストーカー野郎じゃないの?」
「少なくとも昇くんはそんなことする人じゃないよ〜」
なんか風花さんが味方についてくれてる?つーかなんだストーカーって…
「私はてっきりコイツ(昇)が風花にだる絡みしてるのかと思って…」
だる絡みってホームルームの時のことか…いや、あれ話しかけてきたのそっちだし…この女…目ついてんのか?
「ほら、水月、昇君に謝って…」
「すんませ〜ん」
コイツ水月って言うんだ…つかこの女まともに謝れないとか義務教育受けてねーのか?ま、それより風花さんがストーカー被害受けてんなら助けてあげねーと…
「謝罪はいいんです、それよりストーカーってどーゆーことですか?良かったら手伝います。」
「えっとねぇ、最近…」
「ちょっと風花!何でもかんでも人に話しすぎ!」
「いや、この子は信用出来るからいいのよ〜そんなに強く当たんないの〜」
「…」
水月?だかは黙ってしまった。なんか風花さん色々大変だな…
「ごめんね…うちの水月が話遮っちゃって…えっと、最近私、ストーカー被害を受けてるの」
「具体的には?」
「私の寮に手紙が送られたり、帰りに誰かがついてきたり、色々ね…」
「誰かはわかんないんですか?」
「毎回後ろを振り向くと姿が消えてるの、だから多分闇属性の子だと思うの…でも隠れる魔法なんて聞いたことないし…」
確か魔法の勉強の時に闇属性が使える魔法は束縛魔法と猛毒魔法の2つって言ってた気がする。
陰影魔法なんて聞いた事ねぇぞ。
でも多分自身を影で隠したりできるんだろうな?
「なるほど…協力するよ!絶対に犯人捕まえるぞ!」
「ありがと〜昇君がいると心強いわ〜」
「ところで水月さん?だっけか、は大丈夫なんですか?」
「この子、私にちょっと怒られて不貞腐れてるだけだから、そのうち治るわ〜」
「そろそろ、授業始まりますね、じゃ、ここら辺で」
「うん、また後で〜」
ここで俺らの会話は途絶えた。
あとで水月に謝っとこ…
今日の全ての授業を終えた放課後、俺らは4人で教室に集まっていた。
4人というのは俺、風花さん、水月、そして防人。
なんにも、防人に手伝って欲しいと言うとすんなり受け入れてくれたのだ…助かる。
「じゃあ、いつもは風花さんと水月さんの2人で帰ってて2人が別れた途端につけてくるんですね?」
俺の言葉に風花さんがコクコクと頷く。
次いで聞いた話によると1度だけ、風花さんの寮まで水月がついていった次の日に水月宛に長文の手紙が送られてきたという…しかも手紙の中には、『次同じような真似をしたら風花を襲うからな』と書かれていたそうで、流石に風花さんからお願いして水月について来てもらうのをやめてもらったらしい。
「今回の作戦をまとめると、風花さんと水月さんが別れた途端に尾行してくる犯人の後ろを追えばいいんですね?」
「風花の為にもよろしく頼んだよ!昇!防人!」
「はい!」「うい!」
俺らが頷くと水月が肩をポンポンとしてくる。
なんか風花さんを助けたい!って熱意が伝わったのか気づいたら水月とは打ち明けてた。
作戦開始!
俺と防人は風花さん達からかなり離れた距離で歩いていた。
それにしても水月は風花さんのこと本当に好きなんだろうな…俺が風花さんの魅力を語った途端に分かってるじゃーんと言わんばかりに語りかけてきたからな…
10分ぐらいした後…ちょうど分かれ道で風花さんと水月は別れた。
ここからが本番だ…俺らは更に風花さんと距離をとって歩き始めた。
歩き始めてからすぐに例のストーカーが現れた。
その例のストーカーは風花さんに近づこうと、かなり早歩きで歩いている。
フードを被ってるせいかなかなか後ろ姿では特定しにくいがここは一気に距離をつめる!
「行くぞ!防人!」
「う、うん!」
俺らはこっそりとストーカーと距離をつめるように歩き出す。
バレる心配もあり少し怖いがだんだんと距離をつめていく…
あと50m…40…30…
そこで突然ストーカーが影の中に消えた。
どーゆー事だ?急に影に包まれて消えた…
背後から謎の気配を感じた俺が後ろを向くと謎の男が立っていた。
フードの男!?さっきのストーカーだ!
「てめぇ、なんでストーカーなんかしてんだ?」
昇が質問を投げる。
「お前らか…さっきからなんか跡をつけられてると思ったら…」
「なにが跡をつけられてるだ…ストーカーしてんのはそっちだろ!」
「ったく、うっせーな…、束縛魔法」
昇の言葉に腹が立ったのか突如としてストーカーが呪文を唱えてくる。
ストーカーが呪文を唱えると俺の周りに1本の縄が出現する。
束縛魔法の対処法…それは縛られる前に斬る!
「召喚m…」
昇が唱えた頃にはもう遅かった…縄で横向きにグルグル巻きにされていた。
「ちっくしょ…せめて顔だけでも…見せろ!…」
「べぇ」
フードを被っていて顔は上手く見えないがこちらに向かって舌を出している。
防人も同様にグルグル巻きにされていた。
「お前ら…このことは黙っとけよ…ま、アイツら襲われていいんなら担任にでも言うんだな…」
嘲笑うように去っていくストーカーを昇達は、ただ眺めることしか出来なかった…