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魔法陣とは




「粗茶ですが……」

「ああ」


レイヤーさんは遠藤さんをさっさと担ぎ、堂々と通りに捨てると、戻ってきて「さあ戻せ」とのたまいた。

俺はと言うとその様子を呆然と見つめながら、はわわわと25歳男性とは思いがたい声を出しながら、気がつくとお茶を入れていた。

大家さんから貰った百貨店のいいお茶があってよかった。


かたん、とちゃぶ台に置いたはいいものの、レイヤーさんは壁に持たれたまま、こちらを凝視している。怖すぎる眼力が。


「……あの、座りますか?」

「悪いがゆっくりしてられない。部下が今も戦闘中であろう。早く帰らねばな」

「えっと……すみません、さっきから期待されてるのは分かってるんですけど……、帰し方が分からなくて」

「は」

「てか、そもそも俺が本当に召喚したんですかね、そんなことできると思います? あなた様の見た目を見るに、頭おかしい現実か完成度高すぎるレイヤーさんかどちらかだとは思うんですけど……」


ひとり、ちゃぶ台に置いたちょっといいお茶を啜る。

ああ、ほっとする。ちょっといいお茶勿体なくて薄めに入れたけどそれでも美味しい。あの人気づかないよね……て、めっちゃ見てる、めっちゃこっちみてるぅぅ。

1人だけ和んですみません! いやでも、俺ちゃんと勧めたから!


「な、なんですか?」

「それは、一体なんの冗談だ」

「へ?」

「返し方が分からない? 召喚してない? そんなわけが無いだろう」

「えええ、なんでですか……、どういう設定なのかまたはどんな世界から起こしなのか知りませんが、この地球上には魔法とか魔術とかそういうの存在してませんから」

「魔術がない? そんな馬鹿な」

「俺たちからしたら魔法とか魔術がそんな馬鹿なですけど」



レイヤーさんはものすごく変なものを見るような目で俺を見た。

それから眉間にものすごい皺を寄せて宣った。


「では、なぜ、貴様から凄まじい魔力を感じる?」

「はいぃ?」

「先程の下品な男からは確かにかけらも感じなかったが貴様は違う。我が魔法師団に入れる程の魔力を持っているだろう?」

「え!まじですか!魔法師団!?そういう設定なんですか?!」


かっこいい!

と年甲斐もなくワクワクしているとレイヤーさんはさらに顔を歪めた。


「ふざけるな。ではその足元の魔法陣はいったいなんだというのだ。見たことの無い術式だが、これで私を呼んだのでは無いのか!?」

「魔法陣!?」


レイヤーさんに続いて下を向く。

相変わらずの赤いペンキ。飛び散ったりかすれたり、その上にツボやら人形やらが飛び散っている。

引っ越してきてから1週間。

このペンキは擦っても消えなかった。まあペンキならしょうがない、慣れれば素敵なアートだと放置して1週間。


「ま、魔法陣?!!」


これが!?

レイヤーさんは顔色がとても悪い。

その整った顔から目を逸らして床を見る。魔法陣にはとても見えない散らばり具合であるが、これ、本当に魔法陣なの?

魔法陣ってもっとこう……円とか六芒星とか……。

だいぶ思ってたのと違う……。





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