shounen
午前1時それは街から人の声が聞こえなくなる時間で誰かが動画を見てたりゲームをしてたり、誰かが寝てる時間。俺はそんな夜にとある部屋に倒れ込んでいた。立ち上がろうとしても身動きが取れなかった。寝てるだけの人。瞼を開こうとしても開けなかった。ただ、なにか冷たい液体のようなものがTシャツに染み込んでいく感覚はあった。それが上から降って来てる。液体が染みてるTシャツに風が当たって寒い。だんだん体から力が抜けてきて、脳が動かなくなってきた。何もできないくて眠いからもうこのまま寝よう。そんな夢を俺は見てた。
9月25日月曜日。天気は晴れていてまだ8月の暑さが残っていいる。外では、セミがうるさく鳴いて、教室では扇風機とクーラが着いていた。そろそろ秋というのにまだ気温は上がったままだ。クラスでは4日後に行われる文化祭の話題で盛り上がってた。
俺はxxx。県立天海高校に通う高校二年生だ。俺には嫌いなやつがいる。それは高空薊だ。あいつはクラスの中で誰よりも信頼されている優秀なやつで仲間がたくさんいて誰かから頼まれた仕事をちゃんとやってくれるやつでいいやつではあった。だが俺はあいつが嫌いだ。いじめられたとか羨ましいからといった理由じゃない。俺と薊は同じで反対だからだ。
「なぁ、薊。今日も文化祭の出し物の準備する?」
話しかけて来たのはクラスメイトで薊と仲のいい夢主神紅蓮と反魂香線火だ。二人は前の学年でクラスが一緒だった。
「うん、するよ。なんせ今年も出し物がすごかったら表彰されるからね」
「さすが薊、気合が入ってるね」
「そのために完璧に準備しないとね。な、xxx」
「そ、そうだね。俺も残るよ」
あと、こうやって急に話しかけてくるところも嫌いだ。今日も学校に残って文化祭の出し物の準備をする。ちなみにうちのクラスの出し物はメイドカフェだ。デザインはクラスメイトの橘樹郡彼方絵家彩華がやってくれた。そのためのパーツを俺たちは放課後残ってやってる。正直帰りたいが昨年の文化祭で誰か一人が先に進めないとあとの人が困ることがわかった。そして俺の正義が許さなかった。だから俺は薊たちに付き合って作業をしている。俺は薊と一緒に壁の貼付けをした。まず壁に貼ってあるプリント類を取っていく。それが終わればもう貼りつけていく
「ドアから貼るけど間違っても窓には貼らないでね。」
「了解」
そう薊言って切ったパーツを貼っていった。この時、177cmの身長で良かったと思った。ドアの上が届かなかったら背伸びしてやらないといけなかった。渡されたパーツを貼っていった。それを4回繰り返しやる。途中ずれがあったので貼り直した。
「貼り終わったね。じゃあ次は壁だね」
「そうだね」
「壁は上の窓も隠すために貼るからね」
「知ってる。確かどこかの委員長さんが夢を潰さないために貼って欲しいって言ってたな」
「そうそう。じゃあ頑張って貼っていくぞ」
薊は笑顔で真面目にやっていた。楽しんだろうか?あいつが楽しいなら俺も楽しむしかない。明日は教室の一部にいつも見える蛍光灯の光が当たらないのだろうなと思うと数日間悲しいような気がする。30分やっただろうか。やっと貼り終えた。
「そろそろ帰らないとね」
「そうだね、この前みたいに見回りのおっちゃんに怒られないようにしないとね」
「じゃあ今日はここまでだな。でも今日で結構進んだんじゃない?」
「そうだね。このままのペースだったら結構早く準備終わりそうだね」
「そうね。じゃあ見周りの人が来る前に帰ろうか」
今日はこれで終わりだ。時計を見るともう5時近くだった。やっと家に帰れる。そう思い、リュックを背負い廊下を出て門を目指し歩きそのまま学校を出た。外は雀色時になってた。なんとなくだが早く12月の暗くなる前の夕方の景色を見たい。あの景色は、まるで冷たい心を陽のように心を温めてくれる景色だ。また、見たいな。
9月26日火曜日。天気は晴れ。今日も蝉の声がうるさい。今日も放課後は文化祭の出し物の準備をする。めんどくさいがしょうがない。
「今日は、デコレーションだね。」
「じゃあ、カーテンと窓に手分けして飾るかするか」
廊下と教室の窓に剥がせるシールを貼っていった。三角のフラグがいくつか連なったシールを窓の端に貼った。
「なんか悲しくない?特に真ん中辺り」
「そうだね。そう思わない?薊」
「うん、でもデザインしてくれた二人のイメージがこれだから」
『う〜ん』
たしかになんだか空いてる空間が悲しいと思う。でもデザイン通りにやってほしいと絵家さんたちと実行委員に言われてるからどうしようもない。
「どうしようか」
「ねぇ薊、紅蓮思ったんだけど明日実行委員とデザインしてた二人で会議しない」
「それは、装飾の?」
「うん、今から話そうにも誰も連絡持ってないだろうし先生頼ろうとも思ったけど先生たち忙しいし。なら、明日会議したほうがいいかなって」
「そうだね、線火の言う通り会議しないとこの件解決しない気がする」
「そうだよね、そうしないと解決しないもんね。そう思うでしょxxx」
「うん、そうだね」
確かに戦火の意見は正しし紅蓮が肯定するのもわかる。ただ明日も残らないといけない。また、我慢するしかない。いつものことだ。
「じゃあ、黒板の周りの装飾しよっか」
先週の金曜日に3人で折り紙で作った輪飾りをスピーカー辺りに2つ点け、クラスのみんなが作ってくれた花のボンボンを黒板の周りに貼ったら完成だ。
「よし完成」
「できたね。こっちは完璧だね」
「そうだな」
「今日の作業はここまでかな」
「そうだね、もうそろそろで5時だしね」
「じゃあ帰ろっか」
『おう』
リュックを背負い学校を出た。明日は実行委員とデザインしてくれた二人と俺たちで会議だ。明日は聴けたらいいのにな。
9月27日水曜日。天気は雨。今日は蝉の声より雨の泣き声と誰かの怒りを表した家のような雷の音が聞こえた。特に昼時はひどかった。授業中一部の生徒が雷の落ちる音に驚いて騒いで教科担当担当の先生が授業が進まなくて怒鳴ってた。雷が落ちてもこっちに被害は行かないんだからと思いながら俺は授業を受けてた。こういう時、薊は笑いながら見てるのだろうか。それとも真面目な顔をしてるのか。今どんな表情をしてるのだろう。嫌いな奴だけど気になる。
放課後、昼休みの中に実行委員とデザインしてくれた二人に事情を話しておき、放課後会議が始まった。いつもならクラスの出し物の装飾とかしてる時間に会議をやるのというのはなんだか不思議なものだ。
「じゃあ、始めようか。えっと議題は窓の装飾なんだけどなんだかあの空間が悲しい気がするんんだ」
「そう?全然いい気がするけど…」
「確かに、空間あるのなんか変な気がする」
「え、樹眼わかるの」
「樹眼は、空間が開いてるのは気になるからね。机の感覚とか3マス以上空いてるのなんか違和感感じるし広いところにいると落ち着かない」
「そうなんだ〜」
今発言してるのは実行委員の納得してるのが星鯨鹿武刀と夜神樹眼だ。
「デザイン組はなにか意見ないの?」
「私からはないかな。彼方はなにかある?」
「僕からもない。ただ質問していい?」
「なに」
「なにかこの空間を埋める案とかあるの?」
「ある?」
薊と紅蓮は首を振った。もちろん俺も思いつかない。
「じゃあ、みんなで考えるか」
「ちょ、ちょっと待ってなんで埋めるの決定した感じで話進んでるの」
「あ、確かに流れで全然気づかなかった」
「え、だってなんかそんな感じがしたから」
「理由になってないじゃん」
「紅蓮、鹿武刀の言う通りそれは理由になってない」
「はぁ〜そう?薊司会交代」
不満とか思い通りに行かないと紅蓮はイライラしてこうなる。ここで薊が文句を言うと空気が重くなるので言えないのだ。
「はいはい一旦外の空気吸ってきな」
「うん、行ってくる」
紅蓮は教室を出た。こういう仕事を任されるのは嫌ではあるはずだがいつも我慢してる。
「まず多数決取ろうか」
結果は、装飾することが決まった。
「じゃあ窓の空間をどう埋めるかだけどなにか案あったりする?」
『う〜ん』
「ねぇ、クラスで使える窓ってどれくらいあったっけ?」
「12個だよ、樹眼。たしかそのうちの4個は廊下、あとの8個は教室だよ。」
「ふ〜ん12個も考えないといけないわけだ」
「ねぇ、こんなのはどう?ゾーンを3つに分けてテーマが違うっていうのは」
「それはいいかもだけどテーマを3つ考えないと。」
「それなら1つだけ考えてある。1つはメイド喫茶だからメニューのイラストを貼ったらどうかな。」
「それいいかも。じゃあオムライスとコーヒーとジュースとパンケーキのイラストが必要だね」
「そうね」
「2つ目のゾーンはメイド服のイラストなんてどう?」
「それは、いいアイディアだ」
「ただ、厳選しないといけないけど」
なんだか盛り上がってきた。ドアが開く音がした。紅蓮が帰ってきたのだろう。
「ただいま、進んだ?」
「結構進んだよ」
落ち着いたようで何よりだった。黒板に今まで出した案と多数決をメモしていたものを紅蓮は見たらしい。
「おぉ〜なるほどいい案だね。特にこのメニューのやついいと思う。で、今どんな感じ?」
「3つ目もゾーンをどうしようかなって」
「なら、来る人にわかりやすく大きく英語でCAFEとかMaidって貼っったらどう?」
『おぉ〜それだ』
「これ以外思いつく人いる?」
「もうないかな」
「決定だね。じゃあさっそく作っていこうか」
ドアからノック音が聞こえた。誰かと思い見てみると巡回のおじちゃんだった。
「君たちもう5時すぎてるよ。早く学校出ないと先生たちに怒られちゃうぞ。さっさと支度済ませて帰りな」
話してて気づかなかったが5時を過ぎてた。
「今日はここまでだね。明日から作業するしかないね」
「明日は5・6時間目使えるからそこでみんなに説明して明後日の文化祭のために準備をできるだけ早く済まそう」
『おう』
「じゃあ早く門出ようか」
みんな荷物を持って走って教室を出てった。まだ外は雨が降っていたが、昼よりは落ち着いてた。雷は治まった。明日は晴れてくれればいい。うまくみんなのテンションが上がればいいと思っている。
9月28日、木曜日。天気は雨。道を歩くたびじめじめして、気分がよくなくなる。早く
涼しくなって欲しい。今日は文化祭の出し物の最終準備の日だ。昨日の会議で言ってたものを完成できるのだろうか俺は不安だ。そんなことを思いながら5時間目が始まった。
「みんな急遽なんだけどこの中で絵を描くのが上手い人、塗り絵がうまい人いたら書いてほしいイラストが12個あるんだけどこの中で絵がうまい人いたりしない?」
彩華と彼方と可馬が手を挙げた。
「ありがとう助かる」
「じゃあ、前決めた黒板班は黒板の装飾お願い。ドアの装飾班は後で装飾用の道具渡すからドアの装飾お願い、手の開いてる人たちは机を並び替えお願い」
『はーい』
「じゃあ始めていって」
いつもより人が多いから騒がしい。俺はドアの装飾担当だが、まさかの薊と一緒だった。だいたい一緒になる。嫌だが、これが運命なのだ。
「xxxはいつも嫌そうだね」
「装飾は嫌いじゃない。嫌なのは他のことにある。」
「知ってるよ」
「明日はみんなが楽しく着てくれたらいいけどね。頑張ろっか」
「そうだな」
俺は薊が嫌いだ。個言うときでも笑顔でいられるこいつが嫌いだ。早く終わらせて机班の手伝いでもしよう。
「イラスト班は、終わりそう?」
「絵は完成したけど…色塗りがまだ。」
「今日、残れる人がいるのであれば、残ってイラスト班の手伝いをしてあげてほしい。」
「じゃあ俺たち残るよ。」
「いつもありがとう」
「あと3人ほしい」
「じゃあ、あたし残るよ。」
残ってくれると言ってくれたのは真壊之百合だった。
「ありがとうじゃあ明日・明後日をみんな楽しもう」
『おー』
放課後俺たちはイラスト班の手伝いをした。俺と紅蓮、戦火、彼方、彩華、百合の6人でイラストの色塗りを手分けしてやった。
「メイド服のここって何色で塗るの」
「マッキーの黒かな」
「なるほどありがとう」
「ねぇ、これ濃い茶色の方がいいよね」
「うん、そうだねそこはできる限りコーヒーってわかりやすくしたいから濃い茶色で塗って」
「了解であります」
時間は刻々と進んでいった。それぞれ塗り絵をして30分が経ってやっと塗り終わった。
「じゃああとは貼るだけだね」
「そうだね、じゃあメニュー組は黒板の近くの窓に貼って。メイド服は後ろの席の近くの窓に。文字は廊下の窓ね。じゃあ手分けして貼ろうか」
首をうなずかせたあと、手分けして貼っていった。
「やっと終わったー」
「じゃあ今日は解散して明日頑張りましょ」
明日は文化祭1日目だ。俺たちのクラスは頑張って表彰を目指す。そのために気合を入れていこう。今日はゆっくり寝て明日に備えようと思う。
9月29日金曜日。天気は晴れだ。今日が晴れてくれたのは本当に良かった。文化祭初日が雨だったら最悪な思い出として残るところだった。
「今日は文化祭初日だ。張り切っていこう。じゃあ円陣組むから真ん中に集まって」
クラス全員が教室の真ん中に集まった。
「今日一日を明るく染め上げるぞ!」
『おー!』
「じゃあ、シフト通りにみんな来てね。解散」
俺は午後からだからまだ時間がある。適当にいろんなクラスを周ろうと思う。
「薊、シフトいつ?」
「昼からだけど…」
「じゃあシフトの時間まで一緒に店周ろうぜ。」
「そうだなじゃあ3人で一緒に回るか。」
「戦火、まずどこ周るんだよ。」
「そうだな、3年のクレープ屋なんてどうよ美味しそうじゃない?」
「じゃあ行こうか」
薊、嫌そうだな。なんであいつ一人になろうと思わないのか俺にはわかんない。まぁ、俺にはどうしようもないから知らないが。薊は紅蓮と戦火共に色んなところに連れて行かれた。途中、シフトの時間が近いことに気が付きその場を逃げて急いで教室の方に向かった。教室に着くと裏で制服に着替えて表に出た。といってもメイド服だが。
「ギリギリ間に合った?」
「着替え終わってたら」
「あらら」
「結構人来てるんだね。」
「うん、食べ物取り扱ってるクラス少ないからね。」
「すいませーん」
「はい」
こういう時の薊は楽しそうだ。ちなみに俺も薊と一緒のシフトの時間に入っだ。嫌なものだ。あいつの感情を見るのはもう懲り懲りなのに一緒になりやすい。少女漫画のヒロインだったら恋愛に発展して付き合ってハッピーエンドだった。BLでも同じことが言えるが俺にはあいつに気が一切ない。そもそも俺は恋をしたことがあったかすらわからない。
「1日目、みんなお疲れ様。明日は今日よりもたくさん来る。だから今日は明日のためにゆっくり休んで元気よく学校に行こう。じゃあ今日は解散」
今日1日ずっと歩きぱなしで疲れた。もし今日歩数計を持ってたなら7000歩以上は歩いたと思う。これが明日も続くと思うとゾッとする。
9月30日土曜日。天気は晴れ。今日は昨日よりも気温が高く学校から熱中症の注意喚起の呼びかけが出てた。
「今日は昨日よりも人が多く来るし気温が高い。できる限り水分補給しながら動いてくれ。じゃあ今日も円陣組むぞ」
昨日と一緒で真ん中に集まってクラス全員と肩を組んで円を作る。
「今日が終わればあとは片付けだけだ。今日も頑張るぞ」
『おー!』
今日も昼からだ。また薊と一緒の時間だ。
「高空くん今日私も昼からだから一緒に周らない?」
真壊之さんが薊に話しかけてきた。なんだか珍しい組み合わせだなと思った。
「全然いいよ。というか俺なんかでいいの?」
「いいのいいの、じゃあ早速だけど図書室のところ行こう」
彼女は目をキラキラさせて言ってきた。今日は色んな意味で疲れるだろう。真壊之は、よく彩華と遺書にいるイメージのほうが高くよく二人でアニメ・ゲームなどの話で盛り上がってるイメージがある。そしてあまり人と話すイメージがない。そんな人が薊と一緒に歩くなんて空からゼリービンズが降る位珍しいことなんだ。
「珍しいね。絵家さんと喧嘩でもしたの?」
「ううん、ただ高空くんがたまたま一緒の時間だったのと1度話してみたかったんだよね」
「へ〜」
「ねぇ、高空くんって人と話すのが好きなの?」
「話すことが好きというかただ色んな人から話しかけられやすいだけだよ。」
「いつもみんなとどんな話ししてるの?」
「テレビとかニュースとか愚痴とかかな」
「え、高空くんでも愚痴こぼすんだ。」
「そりゃ、人間だもん」
「そうだよね」
「そいえば、そろそろ行かないとじゃない?」
「そうだね」
俺たちは教室に向かった。お互い制服に着替えて来てくれるお客さんの対応をひたすらした。本当に昨日よりも客が多かった。予定してたよりも多いからもしかしたらメニューの食べ物が早くなくなるかもしれない。文化祭が終わるまでは残っててほしいがそんな願いは届かなかったまま2日目の文化祭が終わった。
「2日目お疲れ様。明日は、片付けがあるけど午前中で終わるから明日も頑張ろう。解散」
2日間寝不足だ。家に帰ったら仮眠でも取ろうかな。
「ねぇ、高空くん。明日放課後ちょっと時間もらっていい?」
「いいよ」
「ありがとう。おつかれ」
今日はなんだか不思議なことが起こっている気がする。まるで夢の中にいるような気分だ。もし今日のことが、夢でしたと言われたら信じると思う。
10月1日日曜日。天気晴れのち曇。今日から10月だ。今朝は真壊之の誘いが気になってよく眠れなかった。今日は文化祭の出し物の片付けだ。前の年もそうだがやはりサボる奴が出てくる。教室にいる人を見る限り3分の1はいなかった。
「人があんまりいないが頑張って片づけよう」
もう鹿武刀の声も聞けないのかと思うと寂しいものだ。来年で俺たちは最後の文化祭なのかと考えると楽しみが1つ消えてしまう。この学校に残れる時間は砂時計の砂が落ちていくように少なくなっていくのだ。そんな事を考えながら掃除をしていた。
「今日までみんなよく頑張った。この3日間頑張った君たちを誇っていいと思う。今日と明日はゆっくる家で寝て、疲れを取ろう。そして元気よく授業に臨もう。今日まで本当におつかれ様」
やっと掃除が終わった。さぁ家に帰って昼飯でも食べるとするか。と思っていた。
「ちょっと、約束忘れてない」
「あっ、普通に忘れてた」
「じゃあ、ちょっと教室で待っててくれない。」
「うん」
真壊之は、何やらリュックを漁って何かを出そうとしてた。この空気感まるで教室で告白される少女漫画の一コマみたいだった。薊はただ待ってた。なんだか緊張が走る。
「はい、これあげる。前返し忘れったの思い出して昨日持ってくるの忘れちゃったから今日返そうと思って」
そう言って渡されたのはどこにいってたか分からずずっと探してたシャーペンだった。変な妄想を広げてたさっきまでの自分が恥ずかしい。
「あ、ありがとう」
「じゃあ今日はお疲れ。また来週ね」
そう言って手を振りながら笑顔で帰っていった。もう家に帰ろう。
10月2日月曜日。天気は晴れのち曇。今日は学校がない。1日を使って何をしよう。何も思いつかない。人生は長いようで短い。1日中映画を見るのは見たいものを選ぶし、アニメもドラマも1日では見きれないだろう。外を散歩してもいつも通りの景色が広がってるだけだし、どこか遠くに行く気も今はない。そんなことをベットの上で考えてた。
「あ、図書館に行こう」
最近行ってなかったのと家にある漫画は何周もしたので図書館で新しい漫画を探そうと思った。バックを持って家を出た。結局自分の読みたい漫画はなかった。帰りコンビニでアメリカンドックを買って帰った。
10月3日火曜日。天気は曇。昨日よりも涼しく雨が降りそうな雲だった。文化祭明けのクラスはいつも通りテンションだ。授業中寝てる奴がいたり、隠れてスマホ触ってる奴がいたりだ
「薊、ごめん今日掃除当番変わってくれない?」
「いいよ。どうせ暇だから」
「サンキュー。よし今日放課後カラオケ行けるぜ」
毎度思う。なんで引き受けるのだろう。これと言ったメリットがない気がする。なんで嫌って言えないのだろう。放課後、アイツは教室に残って淡々と掃除を済ませた。
10月4日水曜日。天気は曇。紅葉はまだ京都では見えないらしい。今日見た夢が1日中頭から離れなかった。内容は俺が俺と同じ顔の奴に崖から背中を押されて水の中に入って海月に生まれ変わった。そんなファンタジーが入った夢だった。薊は相変わらず断らず頼まれた仕事をこなしていた。見ていて腹が立った。
10月5日木曜日。天気曇のち晴れ。総合の時間で進路の話が出た。進路は決まっておらず夏休み行った大学のオープンキャンパスは自分には合ってないと感じ、他の大学の資料を読んでも何がいいのか分からなかった。そう考えているとだんだん未来が真っ暗に見えてきた。
「ねぇ、xxx今日例の場所に行かない?」
「いいよ」
例の場所とは、廃墟のビルのことだ。放課後俺たち二人は、例の場所に行った。
「どうしたの?」
「ねぇ、変なこと聞いていい?」
「いいけど」
「xxxは最近なにか楽しいことあった?」
「はぁ?」
「なんかいつも楽しそうじゃないから」
「じゃあ俺は楽しくないんじゃないか。そもそも君に関係ないだろ」
「そうだね。ごめんね急に呼び出して」
アイツは悲しそうな笑顔でこっちを見た。やはりアイツのことが嫌いだ。
10月6日金曜日。天気は晴れ。昨日の表情は嘘のように薊は笑顔だった。昨日薊はなんで俺にあんな質問をしてきたんだろう。なんでこんなことを気にしてるのだろう。別に気にすることでもないのに。
「高空くん聞いてる?」
「えっ、すいませんぼーとしちゃってて。で、何でしたっけ」
「教科書のP143の8行目を詠んで」
アイツは席を立って教科書を詠んだ。金曜日だから疲れてるのだろう。学校帰り久しぶりに海から見える夕焼けを見に行こうと思った。10月の海は涼しく景色も綺麗だった。
10月7日土曜日。天気は曇。今日は、絵を描こうと思った。中学の美術の時使ってたスケッチブックがまだ有ったのでなにか描こうとしたが、何も思いつかなかった。絵を描くのは別に得意というわけじゃないがただ気分でいつも書いてる。本当はもっとうまく描きたい。そのために家の近くの専門学校や大学を探したがなかなか自分には合いそうなところが見つからなかった。
「なに描こうかな?」
適当に筆を動かしてみたが何もアイディアが浮かばなかった。結局何も思い浮かばないまま1日が終わった。
10月8日日曜日。天気は曇。今日は曇の海で模写をした。秋でも海に来る人は多かった。サーフィンをする人、砂遊びをする子供、散歩する人、ランニングする人などがいた。なんとなく描いてて思ったが1日中外にいるのも悪いものじゃないなと思った。その日の夕焼けはいつもより輝いて見えた。
10月9日月曜日。天気は雨。薊は先週よりも元気がなさそうだった。といってもクラスの大半がテンションが下がっていた。多分気圧が高いせいだろう。とある先生が言っていた。この年頃の人は気圧に弱いから学校に遅刻とかしやすいらしい。そのせいで授業中俺も寝てしまった。
10月10日火曜日。天気は雨。朝テレビで見たが今週はずっと雨らしい。『読書の秋もしくは芸術の秋にはこれくらいの天気のほうが集中できるだろ。それに最近雨がふらなくて作物があまり育たなかったから農家は助かったんじゃないか?』なんて美術の先生が言っていた。確かに最近雨が降った数は昨年よりも少なかった。ただこの天気で学校には行きたくなかったなとは思う。帰り雨が激しくなるらしく激しい雨で電車が遅延しそうなのと靴が濡れそうだ。ちなみに今日の薊はなんだか上な空になっていた。何かあったのだろう。なので昨日よりも授業では答えられなかった。
10月11日水曜日。天気は雨。この雨がまるでアイツの心を表してるかのようだった。最近アイツの感情がわからなくなっている。何をしたいのか、どこを目指せばいいのかがわからない。アイツの心はまるで雨雲と一緒の灰色みたいだった。感情が霞んでいて、未来も感情もわからない。こんなことは今までなかった。いや、そもそも俺はいつから高空薊を気にしだしただろう。そんなことをずっと考えてしまう。そんな事を考えてると紅蓮と戦火が話しかけてきた。
「薊、最近元気ないな。何かあったのか」
「えっ、そうかな?俺はいつも通り元気だと思うんだけど。」
「いや、最近はなんていうかいつもの薊じゃないよ。だって、いつもなら授業で答えられるはずなのにここ最近は答えられないし」
「あと、あれなんだっけ…えっとーあ、いつも授業中とか寝てないのに最近寝るようになった気がする」
「それはそう」
「え、でもそんなに寝てないと思うけど」
「まぁ、なんか辛いこととかあったりしたら俺らに言えよ。いつでも聞くからさ」
優しいな。
10月12日木曜日。天気は雨時々雷。
「ねぇ、進路決まった?」
五時間目の終わり笑顔で戦火が聞いてきた。
「まだ、決まってないんだよね。アハハ」
「そっか。薊何でもなれそうだもんね。だから結構悩むよね」
「そいう戦火は決まってるの?」
「うん、俺は吉祥天大学行こうと思ってるよ。ずっと、歴史関連に興味あったんだよね。特に戦争とかしてる時代とか。」
「そうなんだ。でも前々から戦車の話とかしてたもんね」
チャイムが鳴った。行きたい場所が決まってる戦火が羨ましい。俺もなりたいものは決まっていたし学びたいものも決まっていた。だからそいう人達が行く大学を調べて見学に行った。けど行くたびにだんだんわからなくなって、合ってないと思っていった。月日が過ぎていくうちに未来が真っ暗に感じていった。今の俺はなりたいものになるのが怖いのかもしれないし本当にそれになりたいのかよく分からなかった。なんだか今日は雨に打たれたい気分だった。
10月13日金曜日。天気は雨。今日は13日の金曜日だ。早めのハロウィンでジェイソンの格好をしてる人とか探せばいるんだろうな。そいえば、昔読んだ漫画で主人公が赤い絵の具のかわりに指を切って血で色を塗ってたのを歴史の時間に戦争の話をしていたので思い出した。タイトルは覚えてないけど話の内容がリアルで面白かったのだけ覚えてる。なんでこんな事考えてるんだろう。今週はずっと関係ないことばかり考えてしまう。なんだかどうでも良くなってきた。早く家に帰りたいな。ただずっと薊が元気がないのが気になったので試しに理由を聞いてみた。
「薊、気分はどうだい」
「普通だけど」
「そうは見えないな。だっていつもの君はそんな表情をしないだろ。いつもならうすぉ着いてでも笑顔を作る」
「そんなことないよ。ほらいつもみたいに笑って…」
「いや、笑ってないね。それに君は悩みを抱えぱなしにしてる」
「そうなのかもね」
「ねぇ、今君が悩んでる理由当ててあげようか。君はなにか悩んでるけど答えがわからないんだよ。」
「いや、そんなわけないよ。」
「じゃあ君は今楽しいのかい?」
「楽しいよ」
「じゃあどう楽しいの?」
「どうって」
「本当は何も楽しくないんだろ。」
「じゃあxxxは楽しいの」
そんな捨て台詞を言って出ていった。
10月14日土曜日。天気は雨。今日はずっと一人部屋にこもっていようと思った。ゲームをシイたり動画を見たりして時間を過ごしていた。飽きてベットの上でぼーっとしながら寝てると一昨日の戦火の言葉が蘇ってきた。
「はぁ〜、いいな戦火は、行きたい大学が決まっていて。それなのに俺は何も決まってない。もう決めないといけない時期なんだけど…」
俺のなりたいものは芸術を作る仕事だ。昔から両親が月1で連れて行ってくれる美術館で見た絵画に惚れ込み、そういう絵が書きたくて美術っぽい習い事を幼少期から始めた。だから芸術関係の学校に行きたいと親に言ったが親は、俺のなりたいものを否定はしてないがなってほしくなさそうな返事をしていた。お金関係や人間関係が心配なのはわかっていた。それに、入ったあと卒業しても売れるかなんてわからないそんな世界だ。これを担任に相談しても良い返事が帰ってこない。だいたい『そんなお絵かきよりもちゃんとしたことを学ぶいなさい』と笑いながら言う。そして薊はそんな俺を嘲笑ってる気がして好きじゃないし殺したくなる。なんだか昨日の罪悪感が俺を蝕んできた。だが俺は何も悪くない。アイツもおのじようなことしてきたの俺もしたまでだ。今思い出すとアイツの行動言動にだんだんイライラしてきた。今までの恨みを晴らしてやりたくなってきた。俺はアイツの連絡先を知っていたので薊に連絡した。
「なぁ、明日の午前1時、例の場所で君を待っている。警察にバレないように来なよ」
そう言って俺は深夜の12時に一人例の場所へ向かった。親は寝てたのでバレる心配もなかった。家を出る前に新聞紙で包んだ包丁をリュックに入れ向かった。
10月15日日曜日。晴れのち雨。
俺は高空薊を深夜1時近くに雨の中俺等だけが知るあの秘密基地に呼び出した。
「こんばんわ、急に呼び出してごめんなさいね」
「いいよ。ただこんな夜中に秘密基地に呼び出してどうしたの?もしかして家出?」
「いや、家出じゃないよ。ただ電話とかじゃなくて高空と二人っきりで話したいだけ。」
「それなら学校で話せばいいんじゃ…」
「今じゃなきゃだめなんだ…今じゃなきゃ」
そう、今じゃなきゃだめなんだ。俺が□□□□□に言っとかないと後悔する。俺が顔を上げると高空は笑顔で俺の話しを聞こうとしてた。
「話すよ。俺は、お前が嫌いだ。俺と似ていて、人前で嘘ばっか吐いてるお前が大嫌いだ。お前のその笑顔が特に嫌いだ。腹が立つ」
「そっか、じゃあなんで毎日一緒にいてくれるの?」
「なんでだろうな。嫌いなんだけどな、ただずっといて苦じゃないんだ。気持ちが落ち着く。」
「腹が立つのに?」
「あぁ」
「じゃあ、俺はお前に嫌われながら友達を演じてやるよ。」
「はぁ、普通友達やめるだろう。」
急にこっちに向かってきてハグをしてきた。
「お前には、俺が嫌いに見られても、俺は俺のことが嫌いなお前が好きだ。今は嫌いでもいい。けど時間か、xxxのその感情が好きに変わらせる。俺にはお前しかいないんだ。」
あいつのハグは温かかった。今まで感じてこなかったものを今与えられた気がする。でも、もう遅かった。俺はあいつを力強く押して距離を取った。
「気持ちはありがたいがもう遅いよ。今日でお前ともお別れだ。じゃあね」
俺は、ポケットに入ってたナイフを手のひらに持ちながら高空にナイフを向けながら走りあいつを刺し殺した。刺してる感覚はとても痛く、気持ちが悪かった。まるで土に変な形の釘を差してるみたいだ。なぜかわからないがあいつは、走ってくる俺を止めようとせず棒立ちになって刺してくるのを待ってるようだった。そして刺した時あいつは涙を零し笑顔で俺に「あ…りが…とう」と言った。これじゃあ、殺した意味がない。そう思いながら俺も死んでた。俺もあいつに殺されたのだ。いや、俺が俺を殺した。本当は…俺が高空薊17歳高校2年生だ。死因は自殺。