真邊家の番犬
ここまで、いろんな出来事がありましたが、
今回、犬を... 新しく家族を迎えた。
大子が、持ち物の在庫がきれたので買い物に出たところ
閉店されたお店の前にリードでつながれた柴犬がおり、交番や保護施設に相談。
が、飼い主が現れず
かわいそうに思った大子が、引き取ることを決意した。
そして今、真邊家に番犬がいる。
名前は、まる。犬種は柴犬で、毛色は茶色
まるはとても賢く、おすわりから芸までなんでもできる子だった。
誰の言うことも聞くが、知らない人間には見向きもしない。
一番驚いた事は、突然吠え出したかと思うと、走り出して
ついていったら...
門の外に家を覗いている人がいて、片手にはナイフを持っていた。
咄嗟に守ろうとしたボディーガードが抑え、警察に引き渡すと
どうやら近くでひったくりがあったらしい。
突然の事で、みな戸惑っていたが
まるは冷静に対応していた。まるで番犬のように。
この日をきっかけに、まるは真邊家の番犬となった。
早朝、大子がまるの散歩で出た時のこと。
ほんとに、驚くほどしつけもしっかりしていて
教えることがないくらいちゃんとしている。
ちなみに...まるはオスで、性格は優しい。
施設の人に説明されていたが、優しいというか...できすぎてて
大子も困惑中...
大「お前、家の番犬になったんだぞ?
ほんとにすごいな。僕も頑張らないとな...」
まる「く~ん?」
まるにできる事が多くて、自分はまだまだ...
何故か対抗心を密かに燃やす大子であった。
次の日
朝、大子が学校へ登校する時
まるは、ピーンと背筋を伸ばして
一回「わん!」と鳴く。
まるでいってらっしゃいって言ってるみたいで
毎朝お見送りをしてくれる。
そんな姿が、健気でかわいくて
大子は帰りに、まるの好きなジャーキーを買って帰ろうと思った。
今日の天気は晴れ、いつも通りの日々がはじまる。
大子の耳鳴りは、もういつものこと。
だから、もう慣れた。
...
というわけではなく...学校でも鳴る。
予知は、女子生徒のいじめを阻止。(からかわれていたのを助けた)
そして、帰宅途中の車内でも鳴る。
予知は、おばあさんが横断歩道で転ぶ。
事故を防ぎ、おばあさんを助ける。
家では...一日2回は耳鳴りする。
使用人の怪我。(包丁などを扱っていたり、物置小屋の荷物)
これは、前にもあった。
っとまぁ...こんな感じで、耳鳴り予知は消えるどころか
増えてる気がする。
大「はぁ...耳鳴り予知、案外疲れる。
いや、結構疲れる
役に立てるのは嬉しいけど、コントロールが。
一応、大事には至ってないし、防いでるけど
どこまで持つか。」
コン コン (ドアのノック音)
橘「坊っちゃん、車の用意ができました。
参りましょう」
大「今行くよ。」
そう、この日は
大子の定期健診の日。
1ヶ月に3回は健診に行っている。
耳鳴りの原因も今だわからないままだが、
小さい頃から身体が弱かったからこそ
今も定期的に病院へ足を運んでる。
結果はいつも問題なし。
疲れやすいが、体力も前よりかはついている...らしい。
家に帰ると、
まるが嬉しそうにしっぽをふりながら
また、わん!と鳴いた。
大「ただいま、毎日いつも番犬ありがとうな!お前の好きなジャーキー買って来たぞ。」
橘「坊っちゃん、お先にお着替えなさってからのほうがよろしいかと。」
大「そう、だな。汚れたら大変だし。」
部屋に戻って私服に着替えると、嬉しそうにまるのもとへ向かった。
大子は、嬉しそうにまるへジャーキーをあげると、
まるもまた、嬉しそうに尻尾を振って
そして、その楽しそうな瞬間を橘が、写真におさめる。
これは、小さい頃から撮っているようで
大子の成長記録らしい。
ちなみに、この事を大子本人は知らない。
いつバレてもおかしくないが、大子は気づいているのか?
頭が良いのは確かだが、それとは別だ。
橘は、真顔で大子の成長記録を日に日に増やして行くのだった。
橘「坊っちゃん、大きくなられて...」
?...?...?
大「これ...僕の子供の頃の写真?」
あっ...
バレた。
このあと、橘は大子に呼び出され
部屋で一時間以上事情聴取されたのだった。
※この物語の登場人物やストーリーはフィクションです。