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地獄の刑期の長さはちょっと引く。一回自分の罪で計算してみよう(絶望)

「よっしゃ、俺らの出番だな!」


 スピード自慢の宮島がワーッと走り出て来たが、そこで急ブレーキをかける。


「てか弁天様、そもそも敵って、隊長が火と雷で全部倒してるじゃんか」


「スマン、残しとくつもりが、流石にちょっとノリ過ぎた」


 俺が謝ると、弁天様が香川に言う。


「問題ないのじゃ。ほれうどんマン、さっさと回復してやれ」


「え、俺ですか? あ、そうか、御仏(みほとけ)のスキルが…」


 香川の頭上に『遍照(へんじょう)』と表示されると、倒れたお偉いさんや護衛に白い光が降り注いだ。


 するとたちまちタンコブや絆創膏(ばんそうこう)が消え、悪党どもは不思議そうに身を起こすのだ。


「すげーぇぇぇっっ!!! さすがお大師様のくれたスキルだあああっっ!!!」


 また感動して炎に包まれる香川をよそに難波が手を上げた。


「え、ちょい待ってや弁天様。って事はこれ、ウチらが心いくまで何回でも練習出来るいうことなん?」


「そういう事じゃの。ボコられて回復してまた痛い目に遭う無限ループ。地獄と同じシステムなのじゃ」


『えええええっっ!!?』


 幼女女神の無慈悲な言葉に、悪党どもは真っ青になった。


 ゲヘヘ、グヘヘヘ…と指をボキバキ鳴らしながら歩み寄る俺らにおびえ、悪党どもは後ずさる。


「これこれ、おびえていてはスキルの練習にならんではないか。壁も床も強化してやる、船が壊れる心配ないから、銃でもバズーカでも好きなように使うのじゃ。悪党の気概を見せい」


 ったくこの神様は…自分が強いからって人間もそうだと思ってんだから。


 俺は見かねてツッコんだ。


「あの弁天様、銃火器は自分も味方も危ないから、こんな乱戦じゃ無理なのでは…」


「そのぐらい気合いで耐えれんのか、か弱い悪じゃな。まあよい、奴らの武器は当たり判定の物理法則をいじってやる。ゲームと同じじゃ、敵にしか当たらんから思い切り撃ちまくれ。ほれお前、やってみるのじゃ!」


 弁天様に脅され、護衛が恐る恐る拳銃を撃つと、弾は隣のヤツの尻を通り抜けた。


 こうなると他の奴も調子に乗って、俺の尻も俺の尻もと差し出してくる。


 上からみれば、射手を中心に放射状に尻がつどい、大輪の尻の花が蚊取り線香の渦のように広がっていく。


「当たらない…痛くないぞ…!」


 ワッと盛り上がる悪党達。


「そういう事なら話は早い…」


 蛭間とかいうおっさんは、ニヤリと笑って立ち上がった。


 うん、このめげない感じいいな。実にシバキがいがあるぞ。


「気を取り直して…弁天様っ、お手向かいいたしますぞっ! ものども、出あえであえっ!」


「もう出とるが、そうこなくてはなのじゃ♪」


 弁天様は満足して頷くと、手にした扇子をかかげる。


「それでは皆のもの、たっぷり練習…もとい、懲らしめてやるのじゃ!」


 神使達の音楽は、(こう)●さま……もとい、水戸(みと)印籠(いんろう)じいさんの時代劇音楽に変わった。


 なるほど、たしかに集団対集団の戦闘なら、こっちの方がしっくりくるな。


 俺と宮島が弁天様の左右を守り、悪党の放つ弾丸を、剣と如意棒?でキンキン叩き落とした。


「ほんとは弁天様なら無傷だけど、こういうのはムードが大事だからな」


「そうだな隊長、てかなんか弾遅くねーか?」


 宮島の言うとおり、身体能力が上がったせいか全体的にすべての現象が遅く見える。


 とくに俺はスキルのせいで、集中すると相手の弾がスローに見えたし、相手の次の構えや動きさえ予測出来たので、もう絶対当たるわけがないのである。


 これが別世界の俺のスキル『超集中』と『行動予測』か。


 別世界の俺、よくわからんがありがとう…!


 あんまりにも弾が遅くてヒマなので、スキル『剛体術』を使い、洗顔のCMのように水滴(※弾)を顔ではじいてみる。


 うん、痛くもかゆくもない。


 このスキルをくれたナギっぺとかいう女神様の防御力、地味にやばそうだな。


 鶴がおびえるのも分かる気がする。


 あまりにも攻撃が通じず、腰が引けてくる悪党に、弁天様がメガホンで怒鳴った。


「こらー、そんなへっぴり腰でどうするのじゃ! もっと頑張らんと、地獄で1兆年ぐらい刑期を追加するぞ!」


「ひ、ひいいいっ!?」


 だがヤケクソで突進してくる連中を、壁を突き破って現れたカノンが通せんぼし、首根っこを掴んでポイポイ投げる。


 ちゃんとヘソ出し衣装で露出も多いし、これなら視聴率も伸びそうだ(意味深)

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