その心意気、ロックである!!!
驚く俺たちをよそに、破邪の鎧は勝手にどんどんしゃべり続けている。
『勇者の試練を完了、全ての能力制限を解除します』
『クラスアップボーナスのため、獲得経験値が100倍となって加算されます』
『聖者・鶴姫の全能力も解放されました』
「えっ……えええっ……?」
表示されるメッセージをただ見つめる俺たちだったが、そこで画面に幼女女神が映った。
「でかしたぞ2人とも! 命を賭した最後の試練、よくぞ耐えた! 絶体絶命の状況で、あのバケモノ相手に啖呵をきったその心意気。心の底からロックであるっ!!!」
女神は手にした琵琶をジャーンとかき鳴らし、その撥を前に差し出す。
するとバチは日の丸じるしの扇子に変わり、神使のキツネたちが嬉しそうに紙ふぶきをまいている。
そういえば確かに琵琶のバチって、開いた扇子みたいな形してたな。
女神はそこでニヤリと笑い、ちょっとえげつない事を言う。
「これで正式に勇者の契約じゃが……ま、お前が仲間や恩人を捨てて、自分だけ助かろうとしておったら、すぐさま力は没収しておったがな」
「き、きったねえ……っ!」
「汚くない、チョー可愛い女神なのじゃ」
女神は得意げにふんぞり返る。
「さあ、無駄話はここまでじゃ。さっきまでわらわの事をあれこれ言っておったのは後でおしおきするとして、ひとまずこやつらを片付けてしまえ」
「か、片付けるって言われても……」
「出来る! さあ行け破邪の鎧よ、偉大なる道主の神であり、弁財天こと市杵島姫命が命ずる、お前の力を見せてやれ! 破邪の鎧……真の名を『心神』よ!」
『了解、自動操縦モード始動、ただちに荒金丸以下、邪神のしもべを一掃します』
「い、いや、一掃って、相手がどんだけ強いと思って……」
勝手にやる気になって答える機体に、俺がツッコミを入れた時。
機体は今までにないぐらい強い光に包まれた。