表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/55

ネームド・ボス

「んもうっ、鳴瀬くんっ、あなたって子は~~っ!!! ほんとにほんとに、どうしてこんなに最高なのかしらっ!!」


 一通りかせぎクエストを終えた頃、鶉谷(うずらたに)司令……つまりベッドに体を起こした雪菜さんは、病人とは思えないパワフルさで俺を抱きしめた。


 もちろんすさまじく柔らかく、かつ弾力がある司令の胸が俺の顔面をおそう。


 その感触たるや、このまま昇天してもいいぐらいの天国であり、俺の血圧は一気に500ぐらい跳ね上がる。


 全身の血管が破裂しそうだが……ちょっと待て、今死ねば死因は『むね死』とかになるのだろうか?


 ……いや、それでも構わないっ!


 メチャクチャ強い国の王だったのに、死因が新婚初夜の鼻血だったというフン族の王・アッティ●のように笑われてもいいさ。


 男には誰に後ろ指をさされても、耐えねばならない時があるのだ……!


「こんっっの腐れデカ乳がぁぁぁあっっ!!! よくも何度も何度も私の黒鷹を誘惑したわね!!! もぐわ、今日という今日は確実にその乳もいでくれるわあああっ!!!」


 鶴は憤怒(ふんぬ)形相(ぎょうそう)で太刀を抜き、何度もぶんぶん素振りしている。


「い、いやヒメ子、お前だって大きい方だろって……むぐっ!?」


 何とか止めようとする俺を、雪菜さんは喋らせてくれない。


「すばらしすぎるわ鳴瀬くんっ、どうやったのか知らないけど、おかげでとうぶん食料も物資も足りるし! これでこの避難区も安泰(あんたい)ね!」


 ムニムニ押し付けながら褒めてくれるので、言葉と感触の同時多重攻撃だ。


 もはや俺の理性は崩壊寸前だったが、そこで幼女女神がジト目で言う。


「まったく、この乳好きめが。それはそうと、仮契約はあと2日じゃからな。それが終わればどうするか、本当に考えておるのか?」


「そ、それは……(ムニムニ)」


「あれだけ派手に近場の敵を狩りまくったのじゃ。この後どうなるかぐらい、お前でも分かるじゃろう」


「こ、このあと……?(ムニムニムニのムニッ!)」


「今ごろ敵も大慌てじゃろう。そろそろ本腰入れて攻めて来るぞ」


「ほ、本腰を……?(ムニィッ! モニュウッ! ムニムギュモギュウウウウッッッッ……バインッ!?)」


 いや無理だ。まったく頭が働かない。


 こういう時の男はIQ2ぐらいになってるとよく言うが、今の俺にそれを否定する事はできない。


 まあそうでなけりゃ人類なんてとっくに絶滅してるだろうけど……と思ったその時だった。


 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 とんでもない地響きに、司令も俺も、太刀を振り回していた鶴も動きを止めた。


 グウウオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!


 続いてすさまじい雄たけびが聞こえる。


 はるか遠くで、とんでもない巨大なモンスターが怒り狂っているようだ。


 女神は急に静かな表情になって言う。


「ほれ、聞こえたか? 荒金丸(あらがねまる)だ」


「荒金丸……?」


「そう。世界を襲う邪神どものしもべのうち、すさまじい力を持つ霊魂。それが肉体を得たものじゃ」


 幼女女神は珍しく冷たいまなざしでこちらを見すえる。


「ありていに言えば、超絶レベルの名を持つ敵(ネームド・ボス)。魔王軍の幹部クラスじゃ。今の仮契約の力なぞで、あれを倒せると思うなよ?」


 ようやく胸から解放された俺は、なんとか頭が働き始めた。


 要するに、今まで雑魚狩りをしまくっていた俺たちの動きに、敵の幹部が気づいたのだ。


 自分達の天敵たる勇者がいると知って、本気になって攻めてきたのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ