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幼馴染と7年ぶりに同じクラスになった  作者: とらとー
第4章:秋・冬イベント編
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第59話 花見①

 ホワイトデーも終わり、そこから1週間経って。

 俺たち(なり)(ひら)高校の1年生、2年生は、全員講堂に集まり、パイプ椅子に座っていた。

 こうしていると、同じように講堂に集まっていた入学式の頃を思い出す。


 あれから、もう1年経ったんだな。


 そんな思いにふける今日は、高校1年生の修了式。


 琴美と同じクラスで過ごした高校1年生生活の、最後の日だった。


*******


 式の校長挨拶や生徒会挨拶などが終わり、自分のクラスの教室に戻る。

 修了式の日の、学校で過ごす時間は短い。

 担任の先生の言葉もすぐ終わり、午前中にはもう帰宅時間となっていた。


「悠珠、どうかした?」


 俺が机でぼんやりとしていると、机の後ろからひょっこりと顔を出すようにしゃがんでこちらを見る琴美が、そう訊ねてきた。

 俺が何やら物思いにふけっているのを感じ取ったのだろう。


「いや、このクラスで過ごす日々も、これで最後なんだな、と思って」


 この1年、7年ぶりに琴美と同じクラスになって過ごす1年は、本当に色々なことがあった。

 琴美と再び話すようになって、琴美を中心に交友関係が広がっていって。

 琴美と恋人同士になって、沢山のクラスメイトがそのことを認めてくれて。


 琴美と一緒にいられたのが一番だけど、総合しても、俺にとって、良いクラスだったな、と思って。


 そんなことを、しみじみと感じていたのだった。


 そんな様子の俺を眺めていた琴美は、ふと何かを思いついたように笑って、


「最後になんかしようか、思い出作り!」


 明るい声で、そう言った。


()()、なんかやれること、ない?」

 側にいた江藤さんに、琴美がそう話を振ると、

「ふふっ、そうだねぇ、この時期だと、やっぱりお花見とか?」

 江藤さんは微笑みながら、そうスッと返す。

「いいね、みんなで行こう、ね、悠珠!」

 そう弾むように話す琴美の笑顔は、やっぱり俺が大好きな笑顔で。

「そうだね、行こうか」

 そう返す俺の表情も、自然と緩んでいくのを感じるのだった。


*******


 数日後、学校の最寄り駅から数駅離れた、近くに大きな自然公園がある駅に、俺は立っていた。

 どうやら待ち合わせ場所には、俺が一番乗りだったらしい。

 しばらくぼんやりと辺りを見回したり、スマホを眺めたりしているうちに。


「あ、悠珠!」


 そう呼ぶ声がして、俺は顔を上げる。


 琴美と目が合うと、琴美はにっこりと笑顔を見せてくれた。

 今日の琴美は、桜に合わせたような淡いピンク基調のワンピースに、白のアウターを合わせた、華やかな服装だ。

「今日の琴美、華やかで素敵だね、よく似合ってる」

「ふふっ、ありがとっ!」

 1年前には照れて上手くできなかったこんなやり取りも、少しずつ自然にできるようになった気がする。

 もちろん、本当にいつも琴美が素敵だから、自然に言えているってのが一番大きいけど。


「ふふふ、緒方くんってば、花より女子(おなご)だねぇ」

 そう言って現れたのは、琴美のすぐ後に来た江藤さんだった。

 さらりと長い脚を生かしたスキニーのパンツ姿で、とてもよく似合っている。

女子(おなご)というか、琴美だね。俺には琴美だけだから」

「あら、今日も見せつけてくれるね」

 そう言いつつも、江藤さんはいつも3人でお弁当を食べるときのように、優しい笑顔をくれていた。


「ふむふむ、これが都由がいつも眺めている、イチャイチャ光景ね」

 そう言って江藤さんの後ろからひょっこりと現れたのは、同じクラスの東出(ひがしで)柑愛(かな)さん。

 小柄な身長で、愛嬌のある笑顔が特徴的な女性だ。

「ほらほら、あんまり茶化さないの」

 そう落ち着いた口調で話しながら到着したのは、()()()(ゆい)さん。

 こちらももちろんクラスメイトで、クール目の淡い青を中心としたコーディネートが似合う女性だ。

「こういう2人は、そっと眺めているのが一番楽しいんだから」

「それは確かに」

「私もお弁当食べるときとかは、そうしてるしね」

 ……こういうジョーク(……だよね?)にも、乗っていける人らしい。


 とにかく、今日はこの5人、昔、琴美の誕生日をお祝いしたときに江藤さんと同じグループという形で集まったメンバーだった。

 みんな同じクラス、なんだかこのクラスで過ごす時間の延長戦のような感覚だった。


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