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幼馴染と7年ぶりに同じクラスになった  作者: とらとー
第4章:秋・冬イベント編
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第53話 バレンタイン①

 年が明けて、あっという間に月まで変わって、2月に入ったころ。

 俺と琴美と江藤さんは、いつものように昼食を囲んでいた。


「今年のバレンタインは、琴美は手作りするの?」


 その時、そんな問いかけを、江藤さんが琴美に発した。

 突然の問いに琴美はほんのり顔を赤らめながらも、

「う、うん。その、つもり、だけど……」

 どうやら、手作りチョコを俺にプレゼントしてくれるつもりらしい。

「やっぱり! 最近琴美、お料理頑張ってるもんね!」

 江藤さんは琴美に明るくそう返す。

 確かに、琴美は去年から、時々母さんに料理を教わりに来る日があった。

 それに、段々と琴美のお弁当のおかずが手作りのものが増えてきた。

 ……それと、実は最近琴美のお弁当の中身交換をするときに、最近琴美の手作りのものをもらうことも増えてきた。

 その時の琴美の手料理は毎回美味しくて、「美味しいよ、ありがとう」とこの1年だけで何回言ったかわからない。

 つまり、琴美の料理の腕は着実に成長してきているということだ。

 それは、琴美のこれまでの努力の成果だ。


「でも、あんまり頑張りすぎて、無理しちゃ駄目だよ?」


 だからこそあえて、俺はそういう言葉を告げる。

 努力の継続力と集中力の高さは、琴美の大きな長所だ。

 だけど、それ故に時に琴美は無理をしてしまうこともある。

 もちろん琴美の手作り料理は嬉しいけど、そのために琴美が無理をして体調が悪くなってしまっては、俺としては悲しい。

 ましてやお菓子作りというのは、レシピに忠実に作業しないと失敗しやすく、大変なものだ。

 決して「溶かして固めるだけ」なんて簡単そうに言われる内容ではないのだ。


「琴美からもらえる、そのことだけで、俺は嬉しいんだから」

「うん、わかってる」

 どうやらそのことは、琴美にもちゃんと伝わっているようだ。


「俺にとっては、琴美の身体が一番だから」


 俺がそう一言添えると、琴美がビクンと反応して、目を合わせてくれなくなった。

 バツが悪いと思ったのだろうか?

 そう思った俺は、別に怒ってるわけじゃないと伝えるために、琴美の頭をそっと撫でた。

 相変わらず目は合わせてくれなかったが、嫌がっている風には見えなかったので、しばらく撫でるのを続けていた。

 そうこうしているうちに、昼休み終了のチャイムがなって、俺たちは自分の席に戻っていくことになったのだった。


「琴美、あげちゃうの? プレゼントはア・タ・シ、しちゃうの?」

「す、するわけないでしょ! バカ!」


 そんなひそひそ話が琴美と江藤さんの間でされていたことには、俺は全く気付かなかった。


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