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幼馴染と7年ぶりに同じクラスになった  作者: とらとー
第4章:秋・冬イベント編
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第52話 初詣とおみくじ

 服装が歩きにくいものということもあって、行き先は遠くの有名な神社などではなく、近所の、去年夏祭りで行った神社にした。

 一度行った場所ということもあり、今回はエスコートとして手を取る方を左右間違えたりはしない。

 二人ゆっくりと歩いて行くうちに、神社まではすぐに着いた。

 ここまでは夏の時と一緒だが、今回は拝殿まで向かわないといけない関係上、結構長い石段を登らなければならない。

「足元、気を付けてね」

 当然、エスコートも慎重になる。

 絶えず琴美が歩きづらくしていないか確認しながら、上手く歩幅を合わせて、参拝列まで到着した後は息を合わせて歩みを進める。

「大丈夫?」

 度々そう聞くと、琴美は軽く微笑みながら頷いているので、本当に大丈夫なようだ。


 ちなみに、俺は慣れない足元で結構長い石段を登って実はけっこう疲れていたのは、琴美には内緒だ。


*******


 やがて、俺たちの参拝の順番が回ってくる。

 俺と琴美は二人並んで、五円玉を投げ入れ、鐘を鳴らし、祈る。

(どうか今年も一年、琴美と一緒に、健やかに暮らせますように)

 お祈りを終えると、琴美もちょうど同じタイミングで終わったようで、二人揃ってその場から離れていった。


 さて、拝殿から離れていくと、おみくじを引ける場所があった。

「せっかくだし、やっていこうか」

「うん!」

 琴美も乗ってくれて、二人でそれぞれおみくじを引く。

 そして、せーの! で二人揃ってそれを開く。


 なんと、二人とも大吉だった。


「おお、すごいじゃん、アタシたち!」

 そう言って笑顔を向けてくれる琴美。

 俺一人だったら、「ひょっとして、大吉しか入っていないんじゃ……?」なんて邪推してしまうところだが、琴美のこの笑顔を見れただけでも、俺にとっては大吉だろう。


 そこで、俺はふと思い出す。

 おみくじは、本来運勢よりも、それに付随した和歌の意味が大事だと聞いたことがある。

 そこで、俺の引いたおみくじの和歌欄を見てみると、


「君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひぬるかな」


 こんな和歌が書かれていた。

 俺は古文の成績はすごい悪いわけではないけど、31文字で意味を読み取れるほどの学力ではなかったようだ。

 でも、なんとなく悪い意味ではないし、自分に合致している気がした。

 「君」が琴美なら、俺に惜しいものなんて何もないから。


「それじゃ、行こっか!」

 そういう琴美に俺も頷き、二人手を取り合ったまま、神社を後にするのだった。


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