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幼馴染と7年ぶりに同じクラスになった  作者: とらとー
第4章:秋・冬イベント編
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第50話 年末の日々

 それからしばらくして、とある休日。

 俺と母さんは、二人で男物の和服店に来ていた。

 お店に来てわかったことは、一言に和服といっても、実は色々と種類があるということだった。

 お店に陳列された服の数に俺が驚いているうちに、

「……あっ、この色いいわねぇ。……あっ、これなんか悠珠のスタイルに合いそう!」

 なんて母さんは次々に服を手に取って、俺にあてがっていた。

 俺はすっかり、着せ替え人形状態だ。

 やがて、5点ほどに服を絞った母さんは、それぞれ試着して見せるよう俺に言ってきた。

 なんだか俺より気合が入ってるなあと感じつつ、一つずつ試着して、母さんに見せていく。

 やがて、5種類全部着終わった後に、母さんが聞いてきた。

「さて、悠珠はどれがいいと思う?」

 まさかここまで全部見せて、何も言わずに俺に尋ねてくるとは思わず、つい動揺してしまう。

「……これかな」

 答えは、意外とすぐに出た。

 俺が選んだのは、抹茶色の着物にネイビーブルーの羽織を着て、ベージュ色の帯でまとめたもの。

「へぇ、即答ね。どうして?」

「琴美と買い物に行って、俺の服を買うときに、琴美はだいたいインナーとアウターは色のコントラストのついたものをよく選ぶかな、と思って」

 だから、琴美はそういう組み合わせがいいかなと思ったのだ。

「じゃあ、それを買いましょう」

 母さんはあっさりと俺の提案に乗り、会計まで服を持っていった。

「えっと、母さんの意見とかはないの?」

「私の意見より琴美ちゃんの意見、でしょ?」

 それは、その通りだ。

 俺のファッションは、全て琴美のためにあるんだから。

 俺と母さんはそれ以上は何も言わず、会計を終えたのだった。


*******


 それから時はあっという間に進んで、琴美とクリスマスで温かな日を過ごし、それも終わって、大晦日。

 毎年恒例の歌番組が終わって、各地のお寺の中継をテレビが始めた頃、俺のスマホの着信音が鳴った。

 琴美からだ。

「もしもし」

「もしもし、ごめんね急に。寝る前とかだったりしない?」

「大丈夫、まだ起きてたよ」

「よかった。……年越しはね、悠珠の声を聞きながら過ごしたい、って思って」

「そう……。そう思ってもらえて、俺も嬉しいよ」

 やはり、琴美と話していると、心が温かな気持ちになる。

 思えば、今年は琴美との思い出ばかりだったなあ。

 次の年も、琴美といろんなことをして過ごせればいいなと、切に願う。

 そうこうしているうちに、午前0時を迎えたようだった。

「明けましておめでとう、悠珠」

「明けましておめでとう、琴美。今年もよろしく」

「こちらこそ!」

 琴美の明るい声で始まった新年は、きっと素敵なものになるだろう。

 そんな思いを、俺は感じていたのだった。


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