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幼馴染と7年ぶりに同じクラスになった  作者: とらとー
第4章:秋・冬イベント編
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第46話 クリスマス②

 家デートとはいえ、恋人としてのクリスマスプレゼントは、やはり重要だ。

 ということで、俺は以前、琴美の誕生日プレゼントを買ったデパートに、再び足を踏み入れた。

 前回はハンドクリームとブレスレットだったから、今度はまた違ったものをプレゼントしたい。

 ……そうしていくと、そのうちあげる物のジャンルがなくなってしまうかもしれないけれど。

 世の中の恋人たちはそういう努力をし続けながら関係を続けていっているんだなあ、と感心すると同時に、誕生日プレゼントをあげたときのことを思い出す。


「喜んで、くれるかな?」


「……うん、うん!」


 あの時の、琴美の喜んでくれた表情。

 あんな顔が見られるなら、これからもずっと、頑張っていきたいなと、そう思うのだった。


 現在俺がうろうろしているのは、レディースファッションのコーナー。

 これまでは、売り場近くを通ってもなんとも思わなかった(なんなら、若干気まずそうに通り抜けていた)のだが、今見てみると、

「これ、琴美に似合いそうだな」

 とか、

「これを身に着けた琴美、可愛い気がするな」

 とか、そういうことを思うようになった。

 これが、いわゆる「解像度が上がる」ということなのかもしれない。

 といっても、まだ服をプレゼントできるくらいには、俺のファッションセンスは高くなっていない。

 買うなら、もう少し、小物で……。


 そう考えているとき、ある商品が俺の目に留まったのだった。


*******


 そうしているうちに、期末テストの時期も、終業式の時期も、あっという間に過ぎ去って。

 瞬く間に、クリスマスイブの日を迎えた。

 ピンポーン。

 冬の短い日が、若干陰り始めた、17時ごろ。

 俺の家に、聞きなれたチャイムが響いた。

 ガチャッ。

「いらっしゃい、琴美」

「お邪魔します、悠珠」

 そんなやり取りに、思わずお互い笑顔になる。

 琴美の今日の姿は、明るいグレーのもこもことしたコートを羽織っており、それもやはり琴美自慢の亜麻色の髪にとてもフィットしていた。

「やっぱり、そのコート、琴美に似合ってるよね」

「ふふ、ありがとう」

 思ったことを伝えると、微笑みを返してくれた。

 いったん上がってもらって、俺も防寒着を準備したのち、俺たちは二人でクリスマスパーティーの買い出しに出掛けた。

 あらかじめ予約しておいたピザとケーキを各店舗で受け取り、ついでにスーパーでノンアルコールのシャンメリーを買って、二人並んで帰る。

 俺はピザとシャンメリーを、琴美はケーキを持って歩いていると、不意に琴美が「はあ~っ」と手に向けて息を吐いた。

 その姿を見た俺は、持っていた二つの荷物を左手にまとめて持つように変えて、右手で琴美の手を取った。

「……いや、寒そうだったからさ」

 寒さのせいだけではないであろう、自分の顔が赤くなっていることを自覚しながら、琴美の方を見ると、一瞬驚いた後に、とても優しい目になって、手のつなぎ方を恋人繋ぎに変えてきた。

 それから家に着くまでの間、俺は一度も寒さを感じなかった。


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