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幼馴染と7年ぶりに同じクラスになった  作者: とらとー
第4章:秋・冬イベント編
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第44話 悠珠の誕生日③

 そうして、ご飯も終わって、片付けも手伝ってくれたから(悠珠が自分もやる、と言って聞かなかった)早く終わって、いよいよプレゼントを残すのみとなった。


 改めていざ渡すときとなると、なんだか緊張する。

 悠珠も、アタシの誕生日の時はこんな感じだったのだろうか?

 そんなことを考えながら、アタシはラッピングされたプレゼントを取り出し、悠珠の前に差し出す。

「改めて、悠珠、誕生日おめでとう」

「……ありがとう!」

 悠珠は素敵な笑顔を浮かべてくれて、なんだかアタシも嬉しくなる。


 悠珠がラッピングを開けると、中には羽根の形をしたアクセサリーがついたネックレスが「二つ」、入っていた。


「こっちは、アタシの」


 アタシはそう言って、羽根の色がシルバーから淡いピンクにグラデーションされた方のネックレスを、悠珠の手から取る。


 悠珠の手の中には、羽根の色がシルバーから淡い青色にグラデーションされたネックレスが残された。


「ネックレス……」

「そう、ペアネックレス。悠珠がもらったら嬉しいものって何だろう、って、アタシ考えたの。そしたら、アタシとのつながりが感じられるようなプレゼントがいいかなって思って。ほら、見て?」


 そう言って、悠珠と肩を寄せ合う位置まで近づいて、悠珠のネックレスの羽根と、アタシのネックレスの羽根を、重ね合わせる。


「こうしたら、なんだか比翼の鳥、って感じでしょ? それで、こうしたら……」


 今度は、先程とは羽根の向きが逆になるように、ネックレスを重ねる。


「こっちは、ちょっとハートみたいに見えるの。……どうかな?」


 なんだか、自分ばっかりが盛り上がっちゃったみたいになっちゃった気がして、悠珠の方に話を振る。


 そうしたら、悠珠はとても温かな笑みを浮かべてくれていた。


「ありがとう。本当に、最高のプレゼントだと思う。本当に嬉しい」


 悠珠は本当に、一言一言に心からの想いを込めてくれる。


 その笑顔が、その言葉が、アタシには一番のプレゼントで、アタシも、心からの笑顔を送ったのだった。






 どれぐらい、そうしていただろうか。

 ふと気がつくと、悠珠の温かな笑みに、少しの緊張が見えるようになっていた。


 そして、悠珠はアタシの両肩を、そっと触れるように手で包み、言った。


「琴美……。キス、していいかな?」


「えっ……?」


 前にキスしたときはアタシからだったから、悠珠のほうから求められたことはこれまでなかった。

 だから、その言葉は驚きの内容であるはずなのに、悠珠の声色の優しさからなのか、アタシの口から出た驚きの言葉は、想像以上に小さなものだった。


 悠珠は、アタシの目を、はっきりと見つめて、続ける。


「琴美が俺とのつながりを大切にしてくれてるのが、本当に嬉しくて。だから、そのつながりを、もっと感じたいって、思って。欲を満たすとか、そういうのじゃなくて、好きだから、したい。……いいかな?」


 優しい口調に乗った、その熱量に、アタシは、思わず、頷いていた。


「……ありがとう」


 悠珠の顔がゆっくりと近づいてきて、アタシは思わず、目をつぶる。


 そこから優しく、本当に優しく、そっと触れるように、二人の唇が重なるのを感じた。


 その時、アタシの胸には、温かなものが静かに、でもはっきりと、広がっていくのを感じた。


 どれぐらい、そうしていただろうか。多分、それほど長い間ではなかっただろう。


 悠珠がそっと唇を離し、アタシが目を開けると、今度はそっとアタシを腕で包み込み、ハグの体勢になった。


「ありがとう……。愛してる……。心から……」


 そう、耳元でささやかれた。


 ああ、アタシはなんでこんなにも幸せなのに、なんだか涙が出そうになっちゃってるんだろう?


「……アタシも、愛してるよ」


 そう伝えて、アタシも悠珠に倣って、腕を悠珠の背中に回した。


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