第39話 恋占い
ご飯を食べ終えた俺たちは、校内の出し物を見て回っていた。
……食べさせ合いとかしたのかって? ……いや、まあ、したけどさあ。
そ、それはともかく! ここからは食べ物以外の出し物を回っていく。
なんとなくうろうろしていると、占いのコーナーがあったため、せっかくなので二人で入ってみることにした。
さほど待機列も長くなく、スムーズに中に入る。
各机の間に仕切りが置かれ、それに紫色のシートがかけられることで、占いブースはそこそこ本格的に見える感じになっていた。
自分たちの呼ばれたブースに入ると、制服に軽くケープをかけた長い黒髪にウェーブをかけた女性が、
「ああ、あなたたちね。うんうん、ウチなら見なくてもわかる。恋愛運は最高潮でしょう!」
なんて親指を立てながら言ってきた。
「い、いや、それは俺たちのこと知ってるだけで、占いでも何でもないですよね!?」
琴美が俺と付き合っているのは学校単位で有名なので、そうからかわれることも時々ある。
でも、逆に「今すぐ別れるとよいでしょう」なんて言われることは今のところないので、その点は今までの学校より治安がいいと言えるのだろうなと感じていた。
「冗談冗談。ほら、これからやるから、ね」
そう言って占い担当の人がタロットカードを取り出す。
グルグルと特徴的な感じにカードが混ぜられて、最後にカードをまとめて「どっちが上の方がいいですか」と聞かれたので、なんとなくで答える。
そしてカードをその向きにして、占い担当の人が一番上から一枚カードをめくった。
それは、男女が両サイドに描かれていて、その間に天使の姿があるカードで、占い担当の人から見て正面の向きのカードだった。
「……マジ?」
占い担当の人が目を丸くしている。何か変なカードだったのだろうか?
「えっと、これは、どういうカードなんでしょう?」
俺が尋ねてみると、
「大アルカナ、6番、The Lovers、正位置……。最初に言った通り、恋愛運は最高潮でしょう……。」
「……マジですか」
「……マジです」
思わず、琴美と目を見合わせる。
とてもいいことなのだけれど、やっぱり、ちょっと恥ずかしくなってしまう。
「ほら、見合ってないで、行った、行った! 次のお客さんもいるからね!」
そう促され、押し出されるように教室から出ていく。
「……えっ、これはつまり、ウチも本当に占いの才能に目覚めちゃった、ってコト!?」
なんだか、占いをしてくれた人もテンションが上がっているような姿を横目に、俺たちはブースを去るのだった。




