第13話 琴美の反応
アタシ、甲斐琴美は、悠珠から送られてきた写真を見て、ベッドの上で脚をバタバタさせていた。
写真の悠珠は、いつもの雰囲気と違うのがカッコよくて、それでいて悠珠がカッコいい写真を撮ろうとしている姿を想像すると可愛くて、とにかくアタシを悶えさせるには十分なシロモノだったのだ。
「どうしよう、悠珠がカッコよくなっちゃったんだけど」
思わずアタシの親友の都由、江藤都由にそんなラインを送る。
「えっと……ノロケ?」
いや、そりゃ聞いてる方からしたらそうか。
そう思ってさっき送られてきた写真と、「今これ送られてきて」ってメッセージを送る。
「いや、『どうぞ、これがアタシ色に染まった彼氏です』って言われても……」
「か、彼氏じゃない!」
「告白したらすぐなれるよ」
「それができれば苦労しないよ!」
「初対面の人を、好きな男と話す口実にはできるのに?」
……それを言われると、申し訳なくなる。
そう、今でこそ親友だけど、最初に都由と仲良くなろうと思った理由は、悠珠と席が近くて、一緒にご飯を食べる口実になると思ったからだった。
もちろん、今は人間として、都由が好きだ。
ちなみに、この企みは、都由には秒でバレた。
「その節は申し訳ありませんでした」
謝罪スタンプとともに送る。
「いや私は私で、私の意志で琴美と親友になったんだから、いいんだけどね」
ズルいアタシを許してくれる、都由はやっぱりいい娘だ。
……悠珠も優しいから、ズルいアタシも許してくれるんじゃないか。
そんなことを考えてる、アタシのことが、アタシは嫌いだ。