表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/89

魔族とは


 さて、キミーの話を聞く前に、そもそも魔族とはなにか?

 この星(ここ)の住人がその問いに答えるとしたら……


 人間とよく似た姿をしているが、まがまがしい角や翼を生やし、地球の伝承の悪魔のような姿をしたものたち——となるだろう。

 人間と魔族は、互いに、相手を異形と感じ、恐れ、禁忌の存在として認識しているのだった。


 全く違う生き物。

 別質の存在とおもっているのだった。


 しかし、実は、魔族と人間は、この星では、それほど離れた種族な訳では無い。

 生物的にはまだ互いに子をなせるほどに遺伝的には近い。

 見た目とは裏腹に、同じように子をなせるエルフやドワーフよりも、人間と一番近い種族であった。


 精霊力を中心に文明を発展した人間と、魔力を中心に文明を発展した魔族。

 同じ祖先を持ちながら、この違いが2つの種族の姿を大きく分離させた。


 人間が異形と感じるその姿は、魔力が効率良く媒介できるように最適化される中で生じた。

 ヤギのような角やコウモリのような羽根は、媒介する体が大量の魔力を集めるのに適応して進化したものなのだった。 


 外見だけでなく、体内の臓器や肉の構造も魔力を扱うために最適化して、歩いたり、叫んだりするかの如くに魔力を扱えるようになったのが魔族である。いわば、魔力世界のアスリートが魔族であった。


 他方、人間は、体の変化でなく術式や魔具などを用いて魔力を取り扱うようになった。この星では精霊が魔力を集積した実態の無い概念的な存在であったため、精霊力を通して魔力を効率的に使うようになった。概念を通じて世界を操作する、魔力世界の科学者が人間であった。


 この、どちらが良いということではなく……正解はいくらでもある。


 それは、時と場合によるのだ。


 体の制約を超えて魔力を扱える人間のほうがより強い魔力を扱えることもあるが、そんな人間の想像力の限界をあっさり超える化け物のような魔族もいる。


 宇宙は広く果てしない。多元宇宙となればそれは無限と等しい。

 

 生きるもの、在るものも無限。


 イクスたちのパーティが、その中で探し求めるものは……


「なるほど、この世界(ほし)の魔族はこんな感じなんですね」

「人間からまだ大きく離れてなくて、魔導回路は土地の魔力に最適化されてるね」


「?」


 どうやら、サクアとフェムは魔族の形態に興味があるようだが、ヴィンにしてみればなんのことやらである。


「いや、仲間の根暗男がですがね……」

「魔族に悪縁があってね。調べてるんだよね」


「?」


「いや、こっちの話……ヴィンくんは気にしなくてよいですよ」

「それより……聞かせてほしいな……」


 魔族の女キミーを見ながらフェムが言うのであった。


「魔族に起きたことを」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ