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第二聖女

「あ……え……?」


 突然現れたロータスとイクスに、びっくりして言葉をつまらせてしまった勇者アウラだった。


 邪竜との戦いの後、転移の魔法を使ったのか、現れたときと同様に、瞬きする間に目の前から消えてしまった二人が、


「なぜこんな場所に? 他の人たちは?」

 

 あわてて、挨拶も無しのまま、思わず質問をしてしまうアウラだった。


「……ここには、私たち二人で参りました。他の人たちも元気にしておりますが、今は別のところに行っておりまして」


 礼をかいた勇者の唐突な発言にも、真っ白な聖衣らしき服装に身を包んだロータスは、まるで気にしない様子で答える。


「あ……はい……皆様ご健勝とのこちょ……こと……でそれはなによりです……ございます」


 あんな化け物みたいな連中の健康のことなどこれっぽっちも心配していなかったアウラであるので、とっさにひねり出したかえしの言葉もかみ気味である。

 でも、そんなことよりも、


「みなさまはどこへ……それよりもなぜここに」


 結局、アウラの言うみなさま(・・・・)の正体は不明のままであった。おまけに勇者が歯が立たない邪竜に軽々と勝ったということは、この国の誰よりも少なくともイクスは強いということだし、一緒にいた連中もどうみても只者ではなかった。

 アウラたちに対して敵意はないようだったが、この地に害をなすようなことを考えているのならば、アウラが身を挺してでも止めるしか無い。

 もっとも、目の前の男が本気で暴れ出したならば一瞬でも止める自信は全く無いのだが、


「安心しろ。俺たちはこの星には基本的に不介入と言ったはずだ。探しものをしているだけだ。この国にも、他の国にも、必要以外の過度な干渉する気はない。俺たちの邪魔をしない限りだがな……」


 アウラの思っていることなどお見通しとばかりにイクスが言う。


「……はい」


 正直なところ、そんな話は信用できるかと思っているアウラであったが、ここで疑って問い詰めたところで何か白状するようにも見えないし、不審者として拘束しようにも、


「なぜ、ここに私たちがまいったか? でしたね」


 今日の晩餐会は、あの(・・)勇者の活躍をねぎらう会を開くことができた公爵の地位をひろく知らしめす目的で、貴族や高位の聖職者だけでなく、有力な商人や街の顔役まで、比較的広く参加者を集めていた。

 とはいえ、正体不明の二人が勝手にすんなりと入ってこれるようなところではない。

 押し入ろうとしたら、少なくとも警備の者たちと大騒ぎになってしまっているはずなのであるが、


「私がご案内いたしましたわ」


 とアウラに話しかけたのは、


「ウネルマ様」


 宝石で飾り立てた派手な修道服に身を包んだ女性。

 今日の晩餐会の主催をするタイバス公爵家の次女にして、聖教会の序列2位となる次期聖女候補の一人ウネルマであった。


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