古城の魔物
とりあえず、察しのセラフィーナの疑問は放って置いて、古城の中に入るローゼとヘンリ。
不服そうな顔つきであるが、一人で残されるのも怖いのでついていく、
「うぎゃあ!」
「なんじゃセラフィーナ。大げさな声を上おって」
「だって、だって!」
「いきなりでましたね」
「魔物か……なのじゃ」
城内に入るなり、3人の前に突然現れたのは、顔まで甲冑を身にまとった騎士。
2メートル近い身の丈と同じほどの巨大な剣を持ち、月明かりに照らされた甲の奥に見えるのは骸骨。
生前はさぞ高名であっただろうと思わせる、ボス感をただよわせていた。
「あれはたぶん、この城での戦いで死んで朽ち果てた者であると思いますが、グリュ王への反乱軍側の紋章を付けています……それが今わが家の紋章となっているのですが」
「というか、大丈夫なんですか。襲ってきたりしないですか?」
「は? そんなの言うまでも無いことじゃろ」
「セラフィーナさん。危ない!」
フラフラと歩いていた魔物は、突如まるで早回しになったかのようにスピードを上げて切りかかってくる。
とっさにヘンリがセラフィーナの盾となるべく前に出るが、
「消えるのじゃ」
ローゼがそう呟くと、彼女の手から出た真っ赤な炎が魔物に纏わりつく。
あっという間に全身に燃え広がった炎。
一瞬、ジュッと言う音がして魔物は焼けていなくなると、
「……なんだ、噂の魔物たいしたことないんですね」
セラフィーナは安心した顔で言うが、
「ん? 大したことないのなら、お主があれを倒してみるか?」
「え?」
ローゼが指指す方向を見ると、
「ぎゃああああ!」
何十体の動く鎧が闇のなかから現れたのであった。