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聖女の命令

 聖女は、ロータスの話を聞いて、しばらく沈黙した後、


「……なるほど」


 とだけ言った。


 今までの報告からも、ロータスと名乗る女性がとてつもない能力を持っていることは聞かされていたが、互いに忙しい聖女と勇者。直接詳細を伝えることは今までなかったのだが、


「自分が全く披露していないのを、取り繕う振りさえしませんでした」


 アウラの言葉に無言で頷く聖女。

 霊力がまだまだ果てしないことをロータスは隠しもしなかった。

 圧倒的な力を持つことを誇示したいのか。

 それとも、


「……われわれのことなど赤子同然と思って、何も気にしていないのか」


 聖女は眉間にシワを寄せながら言う。


「それでしょうね、正解は……というよりも、そもそも我らにどう思われるか気にしていない……あまり関わるつもりもないということなのだと思います」


「ならばなぜウネルマに……」


 第二聖女——に接触したのだが、


「あの人たちには何か目的があるようです。そのために接触したのでしょう。邪魔しない限りは何もしないと言ってました……」

「目的とは」


 アウラは首を横に振る。


「全くわかりません。でも……」

「でも?」


「あの邪神と竜のキメラを期待はずれとイクスという男は言っていました」

「期待はずれとは……どういう意味で」


「足りなかったんだと思います」

「何がですか」


「強さが」

「……! 邪竜(キメラ)でもですか」


 常に冷静な聖女の顔にも、流石に、少々焦りの表情が浮かぶ。


「ええ、我々の文明が滅ぶかと言うような敵を相手に足らぬと言うのです」

「……わかりました、ならば……あれなのかもしれない……」


 しかし、一瞬、聖女は何か合点(がてん)がいったような目つきになり、


「急がねば……」


 というとしばらく黙り込むのだった。


 そして、


「聖女様」

「……」


「聖女様」

「……」


「聖女様」

「……」


 アウラの呼びかけにも無言が続くか、


「聖女様」

「……ん、あ、アウラ……そうか」


「……?」

「あなたに、お願いがあるのですが」


「はい?」

「……今、ウネルマの所にいると言う男……」


「イクスと名乗っている男ですね」

「そう、その男と……」


「はい?」

「勇者アウラは……」


「はい……」

「子をなすのです」


 なんで、またそうなると言う顔になるアウラだった。


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