色づく金曜日
「なんのビールを飲もうか。」
一週間の仕事の疲れを感じながら開放感を感じる金曜日の帰り道。
お酒を毎日飲む習慣はないが、金曜日の独特な開放感から、いつしかお酒を飲むことが多くなった。
特段、お酒が好きというわけではないが、雰囲気を楽しみたいのか、はたまた楽しんでいるように自分を装いたいのは分からない。
まあ、悩む問題でもなければ、解決する必要もなかった。
思考が行動を支配することは多々あるが、逆もあるのだなと思った程度である。
帰路につく電車の出発時刻は20時過ぎ。
(家に着くのは、21時になっちゃうかなぁ。)
そう心の中で思いながらも、嫌な気持ちはあまりなかった。
電車の移動時間を使い読書をしている。
読書は、知らない世界に触れることが出来き新しい気づきを提供してくれる。
最近は、電子書籍を使い、前評判など見ず、ぱっと目についた作品を良く読む事が多い。
今読んでいる作品も同じような経緯で読み始めたものである。
主人公は、本を書くことを通じて、自分の気持ちにまったく嘘をつかず、本当に真っ直ぐ生きている。
周りから見ると、怪奇にな目で見られるほど徹底しているほどである。
しかし、その中でやりたいことを探し、そして行動していくことは、憧れすら感じる。
そういえば、自分はいつから挑戦をしなくなったのだろうか。
確かに、今の仕事は、様々な改善や工夫を凝らしているし、精一杯のことをしていると思っていた。
しかし、以前であれば、仕事の枠を超えた挑戦をもっとしていたように感じる。
これも、結婚し、子供が生まれ、守るものが増えたからなのだろうか。
それとも、今生きる中で、特段不自由することなく生きることができているから、わざわざリスクを冒してまで変える必要はないと考えていたのだろうか。
自分のことであるが、だからこそ、自分のことが分からない。
いつしか心の奥にしまって忘れさられていた”本を書きたい”という夢が浮かび上がってきた。
いつのことだっただろうか。大学生時代に、様々なプロットを作っていたことを。
プロットが固まる前に、新しいアイデアが浮かび、作品にする前に次々と作りたまっていた。
その資料が残っているか怪しいところであるが、久しぶりに見たくなってきた。
寝室にしまっていたから、子供たちを起こしてしまっては、妻に申し訳ないので、明日出そうかなどと算段しつつ、心が色づくことを感じた。
日々、同じことの繰り返しで、気づけば単調な色になっていた心に、やりたい事。いうなれば目標が生まれたのだ。
この色が、明日まで続くか怪しいものであるが、今日はビールを買わずに原稿用紙を買ってみることにした。