第1話 『死亡』
俺の名前は上月光。
大学を出て早一年。
アルバイト生活を送っている23歳。
「はぁ」
22時過ぎの暗闇の中一人の男がため息を漏らす。
俺にはこの世界が向いていないのかもしれない。
彼女いない歴=年齢。
せっかく頭のいい大学を出て「高学歴」という称号を手に入れたのにも関わらず、就活に失敗し、アルバイトという、まるで「低学歴」のような生活をしている自分に飽き飽きしていた。
そんなことを思っていた時だ。
タタタッと後ろからものすごい勢いで、誰かが走ってくる音に気がついた。
その音に驚いた俺は何故か固まり、後ろを見ることが出来なかった。
――グサッ
背中に大きな衝撃が走った。
恐らく刺されたのだろう。
何故か痛みというものをパニックのせいか感じず、余裕があった。
「おい、大丈夫かよ!すんげぇ血だぞ。」
声を聞く限り30〜50代の男の声が寄ってきた。
何故だろう。
意識はあるし、聴覚もある。
なのに全く体が動かない。
なので目も見えないのだ。
そんな時思ったのだ。
これは来たぞ。
俺はこの自分に飽き飽きしていたのだ。
今ここで死んで、来世では、超イケてるフェイスに生まれ変わろう。
死ぬ?
たしかに上月光としての人生を終えることになるが、好都合なのではないだろうか。
これが上月光のこの世での最後の意識となった。