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本格的中二病集中治療室

作者: 中井 香

とある病院に、今日も患者が運び込まれる。

「先生、急患です。」

担架の上には、包帯で巻かれた上に鎖で拘束されている少年の姿があった。

「離せ!俺の封印された恨身(はんしん)暴葬(ぼうそう)する!粛罪(しゅくざい)!!霧想(むそう)!!魂櫂(こんかい)!!」

少年は包帯を解こうとした。が、それは失敗に終わった。どうやら包帯は少年自身が巻いたもののようであった。

「難解な漢字の乱用、特別という自己の歪み、自傷紛いの封印の作成…。明らかに中二病だね。すぐに治療を行う。」

今や、中二病は単なる若気の至りではなく、治療が必要な病気に認定されていた。『封印された力を用いて、嘘に塗れた世界に終焉を飾り、我々で新世界を作る。』と言い、世界の半数近くの子供を自殺させた少女をきっかけに、中二病を本格的に対策、治療するようになっていったのだ。

「それでは、記憶手術を開始する。」

中二病は、自身の妄想をあたかも実際に経験したかのように記憶を改変するという治療を行っていた。正しい自己評価を行えるようになったり、身体を傷つけることを体験せずに済んだりするため、大変な治療ではあるが、効果は大きかった。

ある医師の提案により、中二病に行っていた治療は日常的に行う習慣に変わっていった。家庭環境が原因のトラウマや、就職関係の憂鬱も、記憶そのものを改変することで、無かったことになる。反社会的な行動も抑制され、愛情不足が原因の非行も減り、ついに、事件による死者がいなくなった。ある意味、中二病によって世界が変わったのであった。

500年後、医学と機械の発達により、中二病を発症する人間はいなくなった。しかし、奇妙な病気が発症し出しているという。

「先生、書いた記憶も経験した記憶もないのですが、『×日までの記憶』から始まる日記があったんですよ…。」

「これは…自身の体験や現実が偽りと錯覚する症状…高二病ですね。」

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