冤罪で国外追放される(予想)なので自主的に国外で暮らします
冤罪をかけられそうになった令嬢が、精霊達の力を借りて自由を掴む話。
文字数約7400字
恋愛要素がないのは仕様です。
そうだ、旅に出よう。私の脳内で突如、そんな言葉が閃いた。
これは天啓だ。ありもしない罪をきせられそうになっている私への。
ありもしない罪――それは、学園で起こっているらしい平民特別生徒へのいじめ。
なぜかそれを私が主導していると思われている。
いや知らんがな。そもそも特別生徒とは学科が違うから、会ったこともないわ。
会ったこともない他人をいじめるって、どうすればいいのか教えてほしい。
ちなみに現在『特別生徒を守る会』なるものが発足し、王族や高位貴族の御子息らがその特別生徒の周りをガードしているそうだ。
守る会のメンバーには私の婚約者殿もいるらしいですよ。ははっ、ワロス。
そこまでやっても、いまだにいじめは続いているらしい。
守る会もそろそろ我慢の限界だろうというのが、生徒たちの共通認識になっている。
うん、そうだね。たまたま出会った婚約者殿がくれる視線が殺意にみちているところをみると、証拠を捏造してでも私を首謀者にするのは確定事項としてもいいだろう。
さてそうなると、まず始めに考えねばならないのは、どの程度の罪と罰になるのかということだ。
特別生徒は命に関わるいじめは受けていないだろうと推測する。学園側が動いていないのがその証拠。
ならば、そこまで厳しく罰せられることはない……はずだ。
しかし、証拠を捏造すると仮定した場合、ありもしない罪をでっち上げる可能性もあるのでは? という考えも捨てきれない。
ならば最悪を想定して行動を起こそうではないか。
最悪を想定した場合、かなり重い罪にされる可能性がある。そうなると、国外追放あたりが妥当な線だろうか。
さすがにいじめ程度で処刑はない……と思いたい。
希望的観測を語るのはやめにして現実をみよう。
私の処分を処刑も視野に入れつつ国外追放と仮定して、私がとれる手段を考えてみる。
処刑……国外追放……。何かいい案は……と考えていた瞬間閃いたのが、冒頭の天啓だ。
もうね、これしかないと思ったね。
無実の証明? 言葉をかわすことすらできませんでしたが、なにか?
無実を訴える書面を目の前で燃やされましたが、なにか!
おまけに私の両親も私を自分達の子ではないと言い、件の特別生徒を自分達の本当の子だと言い始めたとかふざけるのも大概にしろや! キサマらの子ではなかったら、私は誰の子だというんだ? ん?
……失礼。少々言葉が乱れました。
そんなことがあった結果、私は隣国まで届くよう全力で匙をぶん投げた。そして、この理不尽な断罪劇と両親から逃れるため旅に出る──自主的な国外追放をすると決めたのだ。
国外に出るとなればいろいろ入り用になってくる。そこで私は、この逃走劇に必要不可欠な協力者へコンタクトを取るため、胸元のペンダントにそっと手をかざした。
「で、ここにきたわけか」
「そうなんです」
紅茶の注がれたカップを傾けながら、私は目の前にいる男――精霊王に、私が巻きこまれた騒動について予想を交えて話をした。
私が今いる場所は精霊界といい、その言葉通り精霊たちの住む世界である。
本来であれば生身の人間がくることなど不可能。
しかし、どうやら私の魔力は精霊の魔力――精霊力に近い波動が出ているらしい。
おかげでこうして生身で精霊界に出入りしたうえ、精霊王とお茶会などという貴重な経験ができている。
ちなみに、精霊界に行く方法は二つあり、ひとつは精霊に連れてきてもらう方法。もうひとつは、精霊王から賜ることができる精霊石のペンダントを使う方法だ。
今回は後者で精霊界へ渡っている。
「なにかしら使えそうなアイテムなどあれば、お貸しいただければと思いまして」
「使えそうな物かぁ……あ、これはどうだ? 無限容量のストレージボックス。生き物以外はなんでも入れられるし、重さも感じない。入れたものの時間は止まるし便利だぞ」
そう言って空間から取り出されたのは、小さな肩掛けカバン。
ほほう、この大きさで容量無限。まさに、旅する令嬢にうってつけの品物だ。
「ありがとうございます。お借りします」
「おう、別に返さなくていいぞー。お前が死んだらこっちで回収するから」
「助かります。では、私は準備があるのでこれで」
笑顔で手を振る精霊王に頭を下げ、私はその場を後にした。
精霊界から戻ってきたら、すでに外は暗くなっていた。
時計の針は十二時半を示している。むこうに行く前は夕方頃だったと記憶しているのだが……少し長居しすぎたようだ。
私に専属の侍女はいない。
例の特別生徒を養子にしようと行動する両親を諫めた者が、軒並み解雇されてしまったからだ。おかげで長時間部屋を空けていても気づかれない。
はたしてこれは、いいことなのか悪いことなのか……悩ましい問題だ。
「まあ、考えてもしかたないか。今は自分のやるべきことをしよう」
「なになにー、なにするのー」
「おもしろそーだから手伝うー」
私の呟きを拾って言葉を返してきたのは、人間界に遊びにきた精霊達だ。
私という存在が精霊に人間界への興味を抱かせたと精霊王は言っていたが、断じて私のせいではない。なぜなら、
「わーい、ふかふかー」
「昔とは随分変わったよねー」
「ねー」
私が精霊界にくる前から、精霊は人間界に降りていたのだから。
「知らぬは精霊王ばかりなり、か」
「なにかいったー?」
「いいえ、なにも。ねえ、精霊さん達。今からやりたいことがあるのだけれど、手伝ってくれる?」
「オッケー」
唱和した声に私は頷き、彼らにこれからやることと手伝ってほしいことを伝えた。
まず始めにやるのは、父の執務室に忍び込み金庫を開け、中身を全部ストレージに移し替えること。
生活するうえで大切なのはお金である。住む場所が決まればきちんと働くが、それまで無一文では暮らしていけない。
なら金庫の中身全部はいらないだろうと言われたら、その通りだと首肯する。
だが私は、親だと思っていた人間に精神的苦痛を味わわされたのだ。慰謝料としてある程度のお金をもらってもいいのではないかと思う。
我ながら隙のない言い訳……もとい、理論展開だわと自画自賛しながら金庫を閉めて鍵をかけ自室に戻ると、とある人物に伝言を頼んでいた精霊も戻ってきていた。
「あ、戻ってきた。あのね、王様が「いいよー」って伝えてくれってー」
「ありがとう。助かるわ」
自主的国外追放をした後、終の住処となるであろう国の選定と言語の勉強をするため、精霊界に少しの間おいてほしいというお願いを精霊王に伝えてもらったのだが、無事許可をもらえてホッとした。
許可をもらえなくても押しかけていたのは内緒だ。
さて、これで準備は整った。私はこれで見納めになる自分の部屋をぐるっと見回す。
今まで暮らしてきた場所だが、不思議なほどなにも感じない。未練もない。
あるのは未知の世界に対する好奇心だけ。
「さあ行きましょう。明るい未来にむかって」
私はそう言って、精霊達の手に自分の手を重ねた。
──あれから三年。私が腰を落ち着けたのは、海を越えた先にある大陸の、とある小さな国の都市。
王都ほどではないが活気があり、わけありの私を暖かく迎え入れてくれたとても居心地のいい街だ。
わけあり元貴族令嬢を理由も聞かず雇ってくれたうえ、一人で住むには広い庭付き一軒家まで紹介してくれた町長夫婦には頭が上がらない。
仕事はまだ試用期間中だが、私ができる精一杯のことをして恩返ししようと思っている。
さて、そんな暮らしを送っている私だが、今日は一日暇をもらっている。要するに休み——休日だ。
本来なら休みなどもらえないのだが、町長夫婦からお許しが出た。
「結果、聞かせてね」
と言った奥様の笑顔がとてもキラキラしいものだったのは見なかったことにしたいと思う今日この頃。
などと若干遠い目をしていると、微かに物音が……いや、扉を叩く音が聞こえてきた。どうやら、きたらしい。
私は足早に玄関に行き、ゆっくりと扉を開ける。
そこにいたのは、私の知る容姿とは違い、随分やつれた元婚約者殿だった。
「レヴィア」
彼が嬉しそうにかつての私──貴族令嬢だった頃の名前で呼ぶ。しかし私は即座にそれを切り捨てる。
「私の名前はリリーですが。誰かとお間違いでは?」
「いいや、君はレヴィアだ。婚約者の顔を見間違えるはずがない」
「他人の空似では?」
「ならば、私の持つ魔力判定水晶に手をかざしてみてくれ。彼女の魔力は特徴的だから、君がレヴィアでなければすぐにわかる」
そう言って彼はカバンから手のひらサイズの水晶を私にさし出した。
チッ。魔力判定水晶持ってくるなんて、必死すぎて笑えない。
それに婚約者って、もしかしてまだ婚約解消されていないの? 私が姿を消してもう三年になるのに。
確かあの国の法では、失踪人は三年見つからなければ死亡認定がされ、婚約者がいた場合は婚約解消されるはずなのに。
これはなにかあるな……とは思うものの、私には判断材料である情報がない。ならば、目の前にいる男から情報を引き出せばいいだけだ。
「ここで立ち話もなんですから、どうぞ」
私は扉を大きく開け放ち、婚約者を家へと招き入れた。さてさて、いったいどんな情報が得られるのやら。
我が家には客間などという気の利いたものはないので居間に案内したのだが、部屋に入ると目を見開き、驚いた様子であたりを見回していた。
私はそんな彼を放置。厨房に行き、湯を沸かして茶葉を取り出す。
平然としている私に戸惑いながらも、彼は食卓用の小さなテーブルに備え付けられた椅子へゆっくりと腰を下ろした。
この家は、居間と厨房がひとつの部屋の中にある。
一般的な間取りと聞いて最初は私も驚いたが、実際使ってみるととても便利だった。
もうここだけでいいんじゃないかな? と思えるくらいに。
「どうぞ」
「ありがとう」
ポットに入れた茶葉にお湯を注ぎ待つこと数分。
美しい琥珀色の紅茶を淹れて彼に出し、私は向かいの席に座った。
さあここからが本番だと意気込む私に気づかず、彼は頭を下げ、
「本当にすまなかった。私は、私達は取り返しのつかないあやまちを犯し、君にしなくてもいい苦労をかけてしまった。謝ってすむ問題ではないと分かっているが、謝罪させてほしい」
「謝罪するのはいいですけど、許されるとは思わないことです。許すつもりもありませんけどね」
「ああ、それも分かっている。これはただの自己満足だということも。それでも一言、謝りたかった」
そして彼は私が逃げた後のことを、神に懺悔するように語りだした。
私が国外逃亡した翌日『守る会』のメンバーは、私の断罪と国外追放処分を言い渡すため私を探したが、学園にも家にもいないと知って憤慨。
王城の騎士を使って王都中を探させたものの、結局見つけることはできなかった。
その報告を聞いた特別生徒は「王都からあの人がいなくなったのならいいよ。これでいじめがなくなる」と嬉しそうにしていたが、世の中そんなに甘くなかった。
いじめを主導していたとされる私が学園から去ったはずなのに、いじめはなくならなかったからだ。
ではいったい誰がいじめを主導しているのか。
それを知る前に特別生徒と『守る会』のメンバーは、王城から派遣された近衛騎士によって拘束された。
ほぼ同時に私の両親も拘束されたらしい。
『守る会』メンバーと両親の罪状は、禁止薬物に指定されているスズラン──依存性のある媚薬の使用。
特別生徒の罪状は、禁止薬物スズランの製造。そして、それを王族や高位貴族の子息らに使ったこと。
王家は他国の工作を疑ったが、そういった形跡は見つからず、特別生徒の「王族や高位貴族に嫁げば楽して贅沢な暮らしができると思った。子供さえできれば相手は誰でもよかった」という供述を真とした。
私の両親をターゲットにした理由については「あの女のことが気に食わなかったから、立場を奪ってやろうと思った。平民の身分では王族や貴族に嫁げないから、それを防ぐためにもちょうどよかった」と宣ったらしい。何とも自分勝手な理由である。
その一週間後、特別生徒は『王族をたぶらかし、国を手中に収めようとした稀代の悪女』として大々的に喧伝されたのち、王都の大広場で公開処刑されたそうだ。
あれ? もしかして私、逃げなくてもよかったのでは? と思ったが、
「私達『守る会』のメンバーと君の両親は、一年かけて薬を抜き、さらに一年かけてリハビリをした。おかげで今はこうして普通に生活できるまで回復した。『守る会』は解散し、メンバーは全員、各々の領地で生涯幽閉されることが決まった。君の両親も生涯幽閉が決まっている。だからどうか、戻ってきてくれないだろうか」
やっぱり逃げて良かったと思わざるをえない内容に全力で首を振る。
だって、親だった人達の幽閉が決まったってことはよ? その監視をするのって私の役目なわけよ。
なにが悲しくて私を捨てようとした彼らの面倒を見なければならんのだ。冗談じゃない。
「絶対イヤ」
「なぜ……」
「なぜって、私はここでの生活が気に入ってるし、今更貴族の生活に戻るなんてまっぴらごめんよ。あなたとの婚約も解消されてないようだし、戻ったらお荷物押し付けられる未来しか見えないの」
「私と君との婚約解消は、君が国に戻ってからと」
「じゃあ私は死んだことにしてくれる? それならすぐにでも婚約解消できるでしょ」
「そんな……そんなことできるわけがない! 頼むレヴィア、私と一緒に国に帰ろう!」
「だから、それは嫌だって言ってるでしょ。何度も言わせないで。あなたのことだもの。私を連れて帰れば幽閉はなかったことにする、くらいの約束はしてるでしょうし」
私の予想に、返ってきたのは沈黙だった。
ああやっぱり……としか感じないが、彼のために私は自分の人生を無駄に消費したくない。
「わかりました。そういうことでしたら、即刻お引き取りを」
「…………しかたない。力づくでも連れて帰る!」
テーブル越しに伸ばされた手が私の腕を掴む。
「なにするの! 離し、てっ!」
意外と強い力に顔をしかめながら、私はなんとかその手を振りほどく。
そして逃げるように厨房に行き、目についたナイフを手に取った。
「これ以上近づかないで」
「そんな危ない物は捨ててこっちへくるんだ」
ジリジリと距離をつめる男。
「あなたが大人しく一人で帰るって言うなら捨てるけど?」
その距離をさらに広げようと動く私。
舞台は厨房から居間へ。そして──
「……っこの!」
力強く一歩を踏み出した彼が一気に距離をつめ、私の手首を掴みナイフを落とそうとする。
私は必死に抵抗し、右へ左へ腕を振りながら部屋の中を動き回る。
だがそれも、体格と力の差で抑えられ、とうとうナイフが奪われるという刹那。
ずぶり、と。肉に沈む刃の感触。
銀色から溢れる赤が私の服を汚す。
「はっ……あ、う」
私は、私の胸には──銀の刃が突き刺さっていた。
前に傾ぐ体。目に映るのは、元婚約者の驚愕に見開かれた目と青ざめた顔。
板張りの床に打ち付けられ弛緩した私の姿を、彼はただ──ただ見ていた。
「あ…………違う。違うんだ。僕は……私は……違う。私じゃない! 僕じゃない! 僕のせいじゃない! 僕は悪くない!」
床に広がる赤い海にようやく意識が戻ってきた彼が、最初は呟くように、次第に声を上げながら首を振る。
そして弾かれたように走り出し、乱暴に扉を開けると、逃げるようにこの家を後にした。
「ふー、やっと帰ったかー」
足音が聞こえなくなったのを確認した私は、そう言いながらゆっくりと体を起こした。
「おつかれー。演技凄かったよー」
パチパチーと拍手をしながら現れた精霊たちに微笑んで胸のナイフを抜く。
「この服はもう着れないわね」
しかたなかったとはいえ、もったいないことをしたと少し後悔してもいる。
さて、私がなぜこのようなことをしたのか。その説明をしなければならないだろう。
この地で平穏な日々を過ごしていた私にある日、精霊たちが精霊王からの言伝を携えやってきた。
曰く、元婚約者が私を探して海を渡り、この国にやってくる──と。
チッ、海は越えてこないと思ってたのに。どんだけ必死なんだか。
私は早速、町長夫婦の元に行き、隠していた事情を全て話した。
彼らは私に同情し、元婚約者と元両親に激怒し、それならとひとつの案──相手に私が死んだと思わせよう作戦を提示した。
かなり殺る気……いや、やる気にみちたその案に賛成する精霊と精霊王。なぜいる。
しかし私は、それはあくまで最終手段にすると明言。
不満に口を尖らせる精霊王とそのお供を無視して、基本的には穏便にことをすませるよう作戦を練った。
まあ、町長夫婦も首をかき切るしぐさをしながら「ヤッチマイナー」と言っていたので、穏便に終われないなら遠慮なくやるつもりではあった。
結果は見ての通り。
結局穏便に終わらせることはできなかったけれど、それはあちらの自業自得というものだ。
穏便に終わらせる気は最初かなかった──なんて言ってはいけない。
「ありがとう。でも片付けが大変ね」
真っ赤な血糊が床を汚し、テーブルと椅子は倒れ、ティーカップは割れて破片が散乱している。
「いいもの見せてもらったから、片付けくらい俺がやるよ」
「あら、精霊王。見てたんですか?」
「ああ。最初から全部、な」
心底楽しそうな顔の精霊王が手を一振りすると、瞬く間に床の汚れも壊れたティーカップも元通り。
テーブルと椅子はふわりと浮き上がり、いつもの位置に戻された。
まるでなにもなかったかのような部屋の様子に私は笑みを浮かべ、
「ありがとうございます」
「ま、今日はゆっくり休め」
「そうします。これでようやく、しがらみから解放されました」
「よかったな、リリー。じゃ、俺帰るわ。またこっちに遊びにこいよ」
「はい」
背を向け手を振る精霊王を見送った私は、窓越しに見える青空に目を細めた。
これでやっと──私は自由だ。
冤罪で国外追放されると予想し、精霊王の手を借りて国外逃亡を図って三年。私はようやく完全無欠のハッピーエンドを迎えることができた。
過去を全て捨て去った私は、明日からはリリーという名の平民でしかなくなる。それがどうにも嬉しくて、なかなか眠気はやってこない。
明日からまた仕事が始まるから、早く寝ないといけないのに。
ああ、そうか。これが、幸せな悩みというやつか。
うん、悪くない。
そんなことを思いながら、私は静かにまぶたを閉じた。
ハッピーエンドとは、主人公自らが望む物、場所を得ることだと定義しているので、この話はこれがハッピーエンドなのです。
元鞘に収まるだけが幸せではないということですね。
おまけ〜登場人物のその後〜
リリー
なぜか町長夫婦の子や孫の教育係を任せられる。さらに自分の住まいが、庭付き一戸建てから、町長の屋敷にある部屋(リリー専用畑付き)に変わって「あれー?」と首をひねる事態に。
実は正式に雇用契約を結んだときに、町長夫婦の養女になる書類にもサインしていたのだが、リリーは気づいていない。
町長夫婦「計 画 通 り」
天寿を全うし穏やかな最期を迎えたはずが、気がつけば精霊界にいるという現実。パニックに陥るなか、精霊王にプロポーズされるも全力拒否。彼から逃げ回る日々が始まる。
精霊王
リリーが人としての生を終えた瞬間、輪廻の輪に落ちる前に魂を回収、精霊界に連れてくる。
混乱するリリーにプロポーズして速攻フラれるも、長期戦覚悟で口説き落とすと宣言。
しかし、待つのは十年と自分の中で決めており、その間にオチなければ身体でわからせる気でいる。もちろんリリーには内緒。
精霊ズ
リリーがオチるのが先か、精霊王が無理矢理手篭めにするのが先か賭けをしながら、二人の様子を眺めている。
リリーの元婚約者
リリーを殺した(実際は死んでない)罪に苛まれながら帰国。半年後、自身の罪に耐えかねて自殺した。
登場人物の中で一番不幸になった人。
リリーの両親
リリーが元婚約者に殺されたと聞かされ、激怒。死ぬまで元婚約者への呪詛を吐き続けた。彼が早死にしたのはこの呪詛のせいではないかと一時期噂になったが、真相は闇の中である。
守る会のメンバー(リリーの元婚約者以外)
特に何事もなく天寿を全うした。