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ボスを倒そう(出題4問)

「プロテクション!」

 俺はスキルを使った。


 プロテクションは持続型の防御力を上げるスキルだ。発動している間MPを消費する。とはいえ基本スキルなので消費量は低い。


 スキルや魔法にはレベルがあり、俺のプロテクションはLv8だった。

 技を覚えたてはLv1、熟練者はLv3、技を極めた達人はLv5。

 Lv6以上は存在がほとんど知られていないユニークスキルだった。


 俺は硬さが欲しかった。肉体的・精神的に硬さが欲しかった。

 せめてゲームの中だけは、どんなに叩かれても耐えられる鋼のような己の強さが欲しい。

 そんな願いから手に入れたスキルだった。


 俺がオーガに攻撃する。

 オーガは1のダメージを受けた。

 オーガは俺に攻撃した。

 俺は1のダメージを受けた。


「私も攻撃した方がいい?」

 アイカが聞いてきた?


 アイカは回復魔法に特化しているが、一つだけ攻撃魔法が使える。ライトアローという遠距離攻撃魔法だ。


「いや、ターゲットがアイカに移ったら困るし、MP切れを起こして回復できなくなる可能性があるから、アイカは回復に専念してくれ」


 女の子を待たせる男の子ってろくな人じゃないね。だが今の俺は時間をかければ倒せる勝算があった。


 突然オーガが咆哮した。

 オーガはユニークスキル【バーサーク】を発動した。

 詳細は分からないが、名前からすると攻撃力アップの効果だろう。


 血迷った目付きで殴りかかる。

 俺は1のダメージを受けた。


 バーサークで攻撃力を上げてもプロテクションLv8は破れないらしい。


 正直かなりびびった。だけど何ともなくてよかった。

 攻撃を再開した。


 ダメージ1。ダメージ1。ダメージ1。ヒール。ダメージ1。ダメージ1。

 1、1、1、1・・・・・・。

 ・・・・・・。




 俺がオーガを切りつけたとき、ついにオーガは倒れた。

 ドスンと大きな音をたててオーガは頭を地面につけた。


 大量の経験値が手に入って俺とアイカのレベルが上がった。


 オーガは消えてアイテムがドロップした。

 一つは討伐証明となる【ユニークオーガの耳】

 もう一つは【ファイアの指輪】で、ファイア系の魔法を使えるようになる装備品だった。

 職業に関係なく特定の魔法が使えるようになるアイテムというのは珍しい。


「やったね。だけど次はもっと早く倒してね」

 アイカが眠そうな顔で言ってきた。


「ああ、ごめんごめん」

 アイカを待たせすぎてしまったかもしれない。その点は反省。


 辺りを見るとそろそろ夕暮れになろうとしていた。

 森で薬草採取をしていた人も帰ったようだ。


 ギルドへのクエスト報告は明日にして、宿屋に行こうかな。


 この世界は現実時間とリンクしており、現実時間の6時間でゲーム内は一日を終える。

 現実で1日経過するとゲーム内では4日経過するのだった。



 俺とアイカは王都の宿屋に向かった。




              ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 辺りは暗くなり、そろそろ夕飯が食べたい時間になってきた。

 王都に戻ってきた俺たちは宿屋を探す。


 王都は大きいので様々な宿がある。主に値段とサービスの質が違う。高いほど豪華な宿だ。

 最も安い宿だと大部屋で大勢が布団無しで勝手に寝るものだ。雨風を防げるので野宿よりはマシだけど、人が大勢いると落ち着かないし、盗難が心配だ。

 あとは現実世界でいう民泊や民宿や旅館やホテルといったランクの宿屋があった。


 個室でゆっくりと休もう。俺たちは旅館に向かった。


 旅館は木製だった。建物を作っている木材が壁の外に露出しており、壁は漆喰が塗られている。ヨーロッパにあるハーフティンバー様式と呼ばれる建物だ。


 このヨーロッパ風の世界観が好きだ。


 入り口を入るとちょうど夕食の時間らしくて、従業員は忙しそうに歩いていた。


 困っていると、おっさんの従業員が対応してくれた。

「へい、いらっしゃい。お泊まりですか?」


「そうです。二人で泊まれますか?」


「空いてるよ。二階にある一番奥の部屋だ。食事代は別な」

 おっさんは答えた。


 一泊分の料金を払って部屋の鍵を受け取った。


「食事は自分で持ち込むか、一階にある食堂を利用してくれ。食堂は朝と夜の時間に開いている。食堂は客がいなくなったら閉めるから早めに利用してくれよな。風呂は1階の廊下のつきあたりにある。いつでも入れが、追加の風呂炊きはしないから遅い時間に入るとヌルいぞ。チェックアウトは朝の10時だ。連泊するなら荷物を置きっぱなしにしたり部屋に居続けてもいいぞ。あとは、必要なら言えばいつでも携帯食料を作ってやる」

 おっさんが一通りの説明をしてくれた。


「ありがとう」

 俺らは受付を済ませた。


 一階が食堂になっていて、食堂は宿に泊まっていない人も利用できるようだ。飲んでいる人が多いのか、若干酒臭かった。

 二階が宿になっているようだ。

 階段を上って部屋に向かった。


「疲れたー」

 部屋に入るとアイカが言いながらベッドにボフンと倒れ込んだ。


 俺も荷物を床に置いてベッドに座った。

 夕食の時間だが、少し休んでから行ってもいいだろう。


 部屋にはベッドが二つあり、他にはクローゼットとベッド前にちょっとしたスペースがあるだけの簡素なものだった。

 壁にはランプのようなものが取り付けられてあって明かりがついているが、これは電球ではなくて魔法を利用したものだ。

 【ライト】という生活魔法で、発動すると光源が出現して一定時間明るく照らすことができる。

 このような生活魔法はNPCを含めてほとんどの人が使えた。


 生活魔法には他には水を生み出す【ウォータ】や、火種を生み出す【ファイア】がある。攻撃魔法のファイアとは別のものだ。


 俺は手が空いたので【インベントリ】から【ニーニーニーニーパズル初心者用問題集】を取り出した。

 インベントリは亜空間にアイテムを収納しておける生活魔法で、この魔法のおかげで軽装で旅をすることができた。生物は収納することはできない。



 ニーニーニーニーパズルの初心者用問題集を開くと、次のような問題があった。


第1問【123123123123123123】


第2問【123412344123454545】


第3問【123456166123451234】


第4問【123456456123456456】


 俺はしばらく問題を解いていたのだった。


 休んだので俺たちは食堂に向かった。


 食堂に着くと、席に座ってウェイトレスを呼んだ。

 今日の日替わりメニューは、パンと、野菜のクリームシチューだった。それを注文する。


 ほとんど待たずに食事が運ばれてきた。個別に作らずにまとめて作ってあるのだろう。

 シチューは白色で、ニンジンやジャガイモ、ほうれん草など具が入っていた。

 食事は二品なので、パンもシチューもそれなりの量があった。


「おいしそう」

 アイカが呟いた。


「おいしそうだねえ」

 俺も素直に答えた。


「「いただきます」」


 シチューをスプーンですくって一口飲むと、シチューの濃厚な味が口の中に広がった。

 これなら毎日食べたいぐらい。いや毎日だとさすがに飽きるから、3日に1回ぐらい食べたい料理だ。


 俺らは初めはパンとシチューを別々に食べていたのだが、途中からはパンをシチューにつけて食べた。


 食事を終えて部屋に戻る。


 次は風呂に入ろう。

 風呂は一階に浴場があり、男女別になっているのでここでお別れだ。

 もし混浴があって一緒に入れたら嬉しいけどね。


 脱衣所で服を脱いで浴場に行った。

 何人かの男の人が浴場を利用していた。


 体を洗って風呂に入る。


「ああー」

 お湯の温かさが体の隅々まで染み渡る。

 疲れが蒸気と一緒なって抜けていくようだ。


 しばらく暖まってから風呂を出た。


 部屋に戻る。

 ベッドで寝てダラダラとしていた。


「ただいまー」

 アイカが風呂から戻ってきた。


 アイカは寝間着に着替えていた。生地が厚いTシャツと短ズボンの格好だ。

 アイカの体から湯気が出ていて、エロい。


「マッサージしてあげようか?」

 アイカから提案が出た。


「じゃあお願いしようかな」

 アイカがマッサージしてくれるなんて、むしろこちらからお願いしたいぐらいの出来事だ。



 アイカはうつ伏せになった俺に馬乗りになると、背中に体重をかけた。

 アイカの暖かくて柔らかい肌が背中に伝わる。女の子の肌ってこんなに柔らかいのか。

 アイカは肩や腕や足を揉みほぐした。

 そしてアイカの肌と手がグググッと俺の背中を押した。


「ああああー、いいー、そこいいー」

 声を出しているのは俺である。


 背中に体重が加わると重さが快感に変わった。なんというか、押されるのが気持ちいいのだ。

 俺を肌で触ってくれているというのもなんだか気持ちよかった。

 素晴らしきマッサージの世界。素晴らしき肉体コミュニケーション。


「じゃあ次は俺の番ね」

 マッサージを交代する。


「うん」

 アイカは少し恥ずかしそうにベッドの上でうつ伏せになった。


 さーてアイカの体を揉もう。

 ……どこをマッサージしていいのだろう?

 どこを触ってもアウトな気がする。


 とりあえず腕の手から肩までマッサージする。

 肩を揉んでみたが、アイカは若いので肩はこっていないらしい。


 次に足を両手で揉みほぐし、足や太ももを揉んでいく。

 太ももを揉む?どこまで揉んでいいの? 付け根までいっちゃってOK?

 ……いやダメだろ。


 その後はアイカの腰やワキをくすぐったりして遊んだのだった。


 マッサージを終えると俺らはベッドで寝た。


「おやすみアイカ。また明日」


「おやすみケンジ君」


 ゲーム内の時間は現実時間とは速度が違う。現実の1時間でゲーム内は6時間進む。

 だから寝ている時間は現実時間で1時間ほどだ。

 俺はリアルでMMORPGを起動しているパソコンの前を離れると、簡易的な食事をとった。

 ゲーム内で朝になるまで、リアルでも休むことにした。


 明日はギルドに行こうかな。

 それともっと難易度の高いクエストも受け・・・・・・グー。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




パズルの答え

(これは答えの一例なので、他にも正解の形は多くあります)



第1問から第4問の答えの例

【123123123123123123】



第1問

組み合わせの例


■■■□□□

■■■□□□

■■■□□□

◆◆◆◇◇◇

◆◆◆◇◇◇

◆◆◆◇◇◇


(■と◆は出題者のブロック。□と◇は回答者のブロック)




第2問

組み合わせの例


■■■□□□

◆■■□□□

◆■■□□□

◆■■◇◇◇

◆◆◆◇◇◇

◆◆◆◇◇◇


(■と◆は出題者のブロック。□と◇は回答者のブロック)




第3問

組み合わせの例


■■◆□□□

■◆◆□□□

■◆◆□□□

■◆◆◇◇◇

■◆◆◇◇◇

■■■◇◇◇


(■と◆は出題者のブロック。□と◇は回答者のブロック)




第4問

組み合わせの例


■◆◆□□□

■◆◆□□□

■◆◆□□□

■■◆◇◇◇

■■◆◇◇◇

■■◆◇◇◇


(■と◆は出題者のブロック。□と◇は回答者のブロック)

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