俺は、悪役。
2025年。3月19日。
いつもと変わりない日々を過ごす人々。そんな日常を壊すかの如く、突如様々な電子媒体を通し緊急放送が流れた。
曰く、隕石が降ってくる、と。
推測される落下地点は日本 埼玉の越谷市。
即時様々な対策が講じられたが、未だ画期的な対策は発明されておらず、現地人に対し避難勧告を出すことしかできなかった。
そして運命の2月23日、現地時間午後2時18分。
極寒の季節も少しずつ終わりを迎え、春へと移り行くあった越谷氏に隕石が落下した。
隕石は落下推測地点へと寸分違わず大気圏へ突入。煌々と空を明るく照らし、燃え盛りながら地上へ落下。
隕石は落下地点、そして日本への経済へ甚大な被害をもたらし、ネットを通じ世界は一時騒然とした。
ーーーーーーしかし、これはまだ序章に過ぎなかった。
この隕石は被害とはまた別に、ある「ウイルス」を地球へともたらすこととなった。
そのウイルスは隕石と同時に地球へ到達後、物凄い速度で地球全土へ広がり、全ての地球人に感染。
法則性は未だ見つかっていないが、約6%の人類の遺伝子を強制的に、そして不規則に変化させた。
ある者は、見るに耐えない醜い姿に。
ある者は、掌から火が出せるように。
ある者は、空が飛べるように。
ある意味人間という「種」への進化をもたらしたこのウイルスであったが、約6%のみの人類にしか恩恵がもたらされなかったため、大きな物議を醸し出した。
その力を与えられたものにより、今までの日常生活の均衡が崩れてしまうとして。
そのため人々は皮肉を込め、このウイルスを「アイロニー」と呼んだ。
翌年、2026年。
アイロニーにより変化した社会は根本から大きく覆され、能力を持つものを集めた国際治安組織「HERO’s」が結成された。
能力を違法に使用するものへの対応、また犯罪組織への抑止力として活動するために。
これは、そのアイロニーによって変化した社会と、アイロニーによって変化したある少年の物語である。