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傍観者 < プレイヤー >  作者: YoShiKa
■ふたつめ 始動■
9/77

09.せんたくのさいこう

――戦って!











 "戦う"か。それとも、"戦わない"か。

 選択肢は、ふたつ。


 確かなことは、私が"戦わない"と選べば、ヒューノットは動けないということ。私の選択肢は、確かに彼を縛っていると気が付いたのは、今さらになってからだった。


 その他の選択肢は、本当になかったのだろうか。今となってしまっては、わからない。ただ、ヒューノットが私に差し出した選択肢は、たった二択だった。それだけは確かだ。


 戦うか、戦わないか。

 その選択肢しかないというのなら、どちらにしても誰かが傷付く結末しかないような気がする。もしそうなら、そもそもグラオさんからゲルブさんの件を引き受けた瞬間から、二択は始まっていたことになるのではないか。だとしたら、いや、そんな。




「……」


 シュリに連れられて赤茶けた扉の前に来た私は、もう五分、いや十分ほどは立ち尽くしている。時計を持っていないから、正確な時間は不明だ。

 傍らに控えるシュリは、相変わらず私を急かすこともなければ理由を問うようなこともしなかった。そうしない理由があるのかもしれないけど、何もせずにいてくれることは有り難くもあり、同時に辛くもある。

 更に五分ほど経過して、諦めがついたあたりでシュリを見た。そうすれば、待ってましたとばかりに、その口許に笑みが浮かぶ。


「最初はみんなそうだよ、ヤヨイ。驚き、戸惑い、傷付き、落ち込み、嫌悪して、そして逃げたくなる。私をそれを止めはしないし、その為の方法だって持ち合わせてはいないのさ。だから君は、君の思った通りに何でも出来る。彼は、君の手足であり、彼は盾でもあり剣でもある。そう言っただろう? 君を守る為の鎧にも成り得て、君の望みを叶える為の手段にも成り得る。そして同時に、君は彼にとって定めそのもの。君に選択肢を委ねる存在であり、君に運命を託している存在でもある。逆に君は、彼を守る事も救う事も出来るが、勿論見捨てる事だって可能だ――私は、確かにそう言ったね?」


 シュリの言葉は相変わらずの調子だ。

 一字一句間違いないのかどうかは自信がないけど、大体そういう感じのことを言われたとは記憶している。

 見捨てると言われて、少しだけ眉間に皺が寄った。何だか責められている気持ちになるのは、被害妄想だろうか。きっと、そうだろう。

 シュリは最初から、それも含めて自由だと確かに言っていたと思う。


「……でも、だったら、私はどうすればいいの?」


 問題は、これから先。

 私は途中でセーブなんてしていないのだから、再開するポイントがわからなかった。戸惑いがちに問い掛ける。すると、シュリは人差し指をぴんと立てた。

 また空かと思って見上げたけれど、当然ながら、特にこれといって何もない。

 シュリに視線を戻すと、軽く腕を広げられた。


「私は君の記録を、この世界に残し続ける。そしてここは、この世界の中心部。全ての場所を繋ぎ、全ての時間に通じる。引き留める事は出来ないが、引き戻す事は出来る。……選択の前まで、君を引き戻そう。言ったじゃないか、君は何度でもやり直す事が出来るとね」


 ゆっくりと腕を伸ばしたシュリは、少しばかり芝居がかった調子で扉を撫でた。途端にキィンと耳障りな、金属を引っ掻くような、そんな音がしたけれど、扉自体には何の変化もない。

 シュリを見ると、既に一歩下がって控えていた。この先に行く気はないのだろう。いや、行くことが出来ないのかもしれない。どちらにしても、同じだ。


 私とヒューノットと、ふたり。

 そして、シュリはここに残る。


「ヤヨイ。君は、何度でもやり直す事が出来る。その為に私がいるんだ。この世界において、君がどのように動いたのか。どのような事をしたのか。どのような物言いをしたのか。私は、全て知っている。君の存在を残す為に、私は在るのだから」


 再開するポイントは、必ずセーブしたタイミングからでなければならない、という訳ではないらしい。任意でもないようだけど、選択肢の分岐点にまで戻るというのなら、何となくゲームのシステムとしては理解できた。

 ただ私は、あれをイベント戦のような気分で眺めるつもりにはなれない。


「……さあ、行っておいで。怖くなったら、私を呼ぶといい。もし迷ったら、彼に聞いてもいい。しかし、正解も不正解もないのだよ。この世界にとって、君こそが選択の指針なのだから」


 私の背を押したシュリの声は、とても穏やかで優しい。

 ただ、私がここでやめてしまえば、ヒューノットはあれで終わりだろう。

 所詮はゲームなのだから、ここで終わってしまっても私にマイナスはない。それはわかっている。だけど、どうにも気持ちが悪いのだ。

 少なくとも、ヒューノットは私と会話をしていた。たとえ、ゲームキャラとしてプログラムされていた会話だったとしても、これがゲームへの単なる感情移入だったとしても、それでも気持ち悪さが残っている。

 この世界がどうの、というよりは、私は私の気持ちを晴らす為に行く。つもり。


 誰に言い訳をしているのか、わからないけど。



「シュリを呼んだら……」

「いつでも呼ぶといいよ」

「呼んだら、シュリは助けてくれるの?」

「さあ。それはどうだろう。答えてあげられないな」

「じゃあ……星を吐き出させる方法とかは? 知ってる?」

「それも、答えてあげられないな」


 やっぱり、そのあたりは曖昧だ。

 そういうシステムなのかもしれないけど、それならちょっと不親切な気もしてしまう。でも、シュリはあくまでセーブとサポートを担うのなら、別の役割がないとしても仕方がないのかもしれない。

 私は、とても不満な顔をしていたのだろう。

 シュリは少し困ったように口許を歪めた。困ったように、と思ったのは、何となくそう感じただけだ。もしかすると、シュリは仮面がなければ、存外表情が豊かなのかもしれない。


「しかし、これは答えられるよ。――我々にとって空を飾る星は、希望と願いの象徴だ。夢を叶えてくれる愛おしい光の子さ。光の子を空から奪い取れば、その逆になる事なんて誰もが知っている。況してや、空から隠してしまうなんて、とてもひどい行いだ。子を奪われた母の嘆きを我々は聞いている。悲しみに暮れる母が大地を引き裂いたとしても、我々にはそれを非難するだけの資格すらないのさ」


 何だか詩的なことを言われた。

 けれど、やっぱりいまいちよく分からない。

 とにかく、ゲルブさんが星を飲み込んだのは、それが事故であれ意図的なものであれ、星の側から見れば許されない行為なのだろうという想像はついた。ただ、だからとって、その腹を裂いても良いなんて思えないけど。

 結局のところ、どうすればいいのかはわからないままだ。



 いってきます、と小さく残して扉を開く。


 開いた瞬間、広がる景色は街だった。たくさんのフェルト人形たちがうろうろしている街。ニードルと羊毛フェルトと根気さえあれば、再現できるだろうと思わせる例の街。

 足を踏み入れた瞬間に景色が歪み、じわりとにじんで切り替わった。一瞬怯んだけど、戻る方が怖い気がして踏み込んだ。


 ぐらりと地面が揺れ動く感覚。

 続いて、霧が掛かったように白くなった視界が、光と共に晴れ渡っていく。


 眼前には、立ち上がった巨大な山――こと、ゲルブさんが左右にぐらぐらと揺れていた。ヒューノットよりも、ずっと大きい巨体が揺れる度に周りの木々が押し遣られている。



 同じだ。



「――戦うか、戦わないか」


 ヒューノットが問い掛けてきた。

 相変わらずのぶっきらぼうな調子で、さっきのことなんてまるでなかったかのようだ。その為に戻って来たのだと分かってはいても、やはりどうにも調子が狂う。


「たたかうだって?」


 さっきと同じく、私よりも先に反応を示したのはグラオさんだった。

 きっと、やっぱり少し困惑したような様子でこちらを見ているのだろう。だから、わざと視線は向けなかった。あの表情を見てしまったら、あの目に気付いてしまったら、次の選択ができなくなる気がした。

 ほとんど球体に近いほどに膨れ上がっている弟の姿に、グラオさんは何を思ったのだろう。


「……」


 ふるりと、頭を振る。

 想像するのはやめておこう。だめだ。だって、グラオさんの弟は、彼を、ヒューノットを死なせてしまう。


 別にヒューノットには、確かにこれといっては何の恩義もないけど――そんなことを言い出せば、この世界に関わってあげるだけの理由も特にないけど――だからといって、目の前であんなことになったら、私の夢見が悪い。いや、目覚めが悪い。ううん、どっちでもいいか。とにかく、私の問題だ。


「オイ。とっとと――」

「――戦って!」


 ヒューノットを怒らせる前に声を上げる。

 すると、彼は少しだけ意外そうに眉を上げて私を振り返った。目が合ったのは、一秒にも満たない。彼はすぐに前を向いて、ゆっくりと腕を上げて構え始める。


 次に声を上げたのは、グラオさんだった。


「たたかうだって!?」


 先ほどとは違って、今度は悲鳴のような声だ。

 慌ててヒューノットとゲルブさんの間に割って入る。そんなことをしたって、グラオさんは弾き飛ばされるだけだ。

 山のように大きく、そして球体のように膨れ上がってしまった弟に理性なんてものはない。言葉に耳を貸すだけの余裕なんて、持ち合わせていないというのに、それでもグラオさんは話しかけ始めた。


「ああ、かわいそうなげるぶ。ぼくが、たすけてあげられないばかりに。ああ、なんてかわいそうなんだ。すまない、げるぶ。ほんとうに、すまない。ぼくは、きみを、たすけてあげられないばかりか、きみをくるしめてしまうんだ。なんてことだ。どうして、こんな!」


 グラオさんの嘆きの声だけが、周囲に響く。

 やっぱり、ゲルブさんからの返事はない。


「ああっ、かみさま。げるぶは、あんなにいいこだったのに。いまでは、みんなにこわがられてしまっているではないか。こんなはずでは、こんなはずではなかった。ああ、かみさま。かみさま。どうか、どうか。ぼくのおとうとを、たすけてほしい。どうか、どうか。ああ、だいじんたちよ。どうしても、そのせんたくをするというのなら――――」


 嘆きながら謝るグラオさんは、正直見ていられなかった。

 短い腕を大きく広げて、自分より何倍も大きな弟を抱き締めようとしている。

 どんな姿になったとしても、兄にとって弟は弟なのだろう。話が通じなくても、きっと姿も変わってしまっているだろうに、それでも弟なのだと訴えられているようで正直なところ胸が痛い。

 私は全くの善人ではないけど、だからといって悪に徹したことなんてない。どちらも助けられるのなら、全員が助かる方が良いには決まってる。でも、それが難しいのなら、全員が助かる方法を必死で模索するほど良い人ではなかった。

 そして、その方法を思いつけるほどの頭も持ち合わせてはいない。


 懸命に言葉を繰り出していたグラオさんが、すさまじい音と共に弾き飛ばされる。ヒューノットの後ろにいたから、決定的な瞬間は見ずに済んだことは幸いだった。

 弾かれたグラオさんの身体に薙ぎ倒された木々が倒れている様子だけは見たけれど、それ以上は無理だ。


 ヒューノットとゲルブさんが対峙する。

 ここから、選択肢の分かれ目だ。さっきは、何も出来なかった。でも、戦うことを選択した今だったら、ヒューノットはきっと反撃できる。


「……」


 そう、だろうか。

 果たして、本当にこの選択肢で良かったのか。何だか、急に不安が込み上げて来た。対峙しているゲルブさんを見ると、頭突きの姿勢から頭を持ち上げている。

 ここからだ。もう左右に揺れてはいない。あの、じっと睨みつける黄色い目は忘れられそうにない。


 獣の咆哮じみた絶叫のような声が周囲一面に響き渡る。

 それは威嚇のようでいて、悲鳴のようにも聞こえた。

 木々を押し倒してしまいそうな程に激しい風が吹き荒れて、私の身体もヒューノットがいなければ、どうなっていたか。彼を盾にしていることは、ちょっと申し訳ないけれど。


 ゲルブさんの口を縫い止めていた黒い毛糸が限界まで引き伸ばされ、数本は外れてぶら下がっている状態だ。それほどまでに、口を大きく開いている。というよりは、裂けているようにしか見えない。

 シュリはゲルブさんを"化け物"だと言い切ったけれど、こうやって見ると確かにそうとしか思えなかった。


 左右に大きく裂けて広がった口の中、その奥に銀色のようにも白色のようにも見える光がある。あれが、星だという確信はない。でも、私はあれこそが、星なのではないかと感じた。それは、さっきと同じだ。


 どうしてそう思ったのかなんて、説明は出来そうになかった。


 ゲルブさんの口に隙間なく不揃いの牙が生えてしまえば、始まってしまう。あの時、ヒューノットは私を逃がしてくれたみたいだけど、どちらにしても私が出来ることはなさそうだ。

 彼のように俊敏には動けないし、力だってあるはずもない。足手まといにはなりたくないし、どうすれば――



「あっ」

「あ?」



 ハッとして思わず声を出すと、ヒューノットがガラの悪い声を返してきた。



 ――君は、君の思った通りに何でも出来る。



 シュリは、確かにそう言っていた。


 大半は何を言っているのか意味不明だけど、とにかくシュリは現時点で嘘はついていない。呼べば確かに来るみたいで、できないことはできない、答えられないとは答えられないと答えている。と思う。思いたい。

 前提として、シュリの言葉を正しいと思うしかないだろう。選択肢を変えたところで、さっきの状態に持ち込まれたら何にしても不利だ。

 いくらヒューノットが素早くても、相手の重みに潰されてしまったら、どうしようもない。たぶん。さっきは、それで抵抗できなくなっていたように見えた。だから。



「ヒューノット、走って!」


 気がついたら、そんなことを言いながら駆け出していた。

 木々が倒されて走りやすいから、グラオさんが弾き飛ばされた方へと向かう。

 我ながら考えなしだとは思うけど、とにかく何か動きを入れたかった。さっきと同じ展開にしたくなかった。


 肩越しに振り返ろうとしたら、すぐに何かが通り過ぎた。


 私の前を走るのは、当然ながらヒューノットだ。

 そして、どすんどすんと背後からすごい音が迫って来る。

 やばい、あいつ絶対にフェルトじゃないもので出来てる。グラオさんでも、あんな音はしていなかった。


「何処へ行くつもりだ」


 ヒューノットから、ごもっともすぎる問いが向けられた。


「え、ええと」


 考えてませんとは言えない。

 ああ、でも、シュリは聞いてもいいと言っていた。

 彼と示された人物がヒューノットではなかった場合は、もう完全にお手上げだけど。


「ヒ、ヒューノット!」

「なんだ」

「どこか、大きな穴とかっ!」

「あぁ?」

「湖とかさ! 池でもいいけど!」

「はぁ?」


 全然、何も思いつかない。

 駆け回っていると、途中で倒れたままのグラオさんを見つけた。

 申し訳ないけど、構っている場合じゃない。

 少しだけ方向を変えてずんぐりむっくりな身体を回避したヒューノットを、今度は私が追いかけている状態だ。


「星を追い出す方法とかないかな!?」


 声を上げると、その質問にだけ無視を決め込まれた。ひどい。


「いや、だから! とにかく! ゲルブさんを動けないようにしたいっ!」


 必死になって叫ぶと、振り返られた。

 明らかな呆れ顔で、ちょっと辛い。


「星を出すのは、そのあとで! とにかく、そのあとでッ! 先に身動き取れなくしたいからっ!」


 池とか湖とか、水があれば沈められるのではないかと思ったけど、そしてうまく水を吸って動けなくなって欲しいけど、木がフェルトで出来ていることを考えると水もフェルト製なのだろうか。

 だとしたら、全然意味がない。

 そんな賭けに出るくらいなら、どこかに閉じ込めたり何かで挟み込んだりした方が早いかもしれない。


 後ろから追いかけてくる音が、どんどん近付いている。


 やばい、何これ心臓に悪い。真剣に怖くなってきた。


 息も切れてきたけど、スピードを落としたら、それこそ取って喰われそうだ。



「トリモチでもゴッキーホイホイでも何でもいいよっ、何か知らないっ!?」


 上げる声も必死さが増し始めたその時、少しスピードを落としたヒューノットが手を伸ばして来た。何をするのかと思う間に手首を掴まれて、強引に引っ張られる。

 挙句に走る速度を上げてきたものだから、脚が絡まりそうになった。

 ちょ、無理無理無理。ヒューノットと同じように走るとか無理。死ぬ。


「動きを止める」

「そっ、そうっ、そうです、そうっ! ていうか、走れない、手、離してっ」

「穴か湖か」

「えぇーっ、あー、えっと、穴でっ! 穴でいいよっ、だから、手、離してってば!」


 そろそろ本気で脚がもつれて来た。

 転びそうだし、引っ張られている手が痛い。でも、後ろは怖い。止まれない。


「なかったらっ、何かこうっ、とにかく挟むとかでもいいから――ッ!」

「……ならば、作ればいい」


 何か言った。

 必死な私をよそに、ヒューノットは一気に大きく半円を描くようにして方向を変える。というか、これは完全にUターンだ。ひいひい言っている私のことは、もうどうか放っておいて欲しい。手を離してくれ。

 全く息切れもなく、それどころか呼吸を乱してもいないヒューノットの方がバケモノだ。


 元の位置へと戻るつもりなのか。

 ヒューノットに連れ回されるがままに迂回して戻る途中、全力疾走中のゲルブさんとすれ違った。

 どうやら、速度を緩めたり急に曲がったりは出来ないらしい。走っているというより、転がっているに等しい。ちらりと見たけど、すぐにやめた。別の意味でトラウマになりそうだ。

 すると、途中でヒューノットが何かを掴み上げた。

 更に走って行く間、それを見ると、


「えぇ……」


 ヒューノットが小脇に抱えているのは、ずんぐりむっくり君ことグラオさんだった。私だったら持ち上げられなさそうだけど、ヒューノットはそうでもないらしい。

 グラオさんが何事なのかと頭を動かしたり、手を動かしたりはしているけど、短い四肢では抵抗もままなってない。

 ヒューノットが助けた、とは思えない。さっきは無視していたし。

 まさか、グラオさんを使うのだろうか。でも、どうやって?


 戻って来た場所にあったのは、さっきまでゲルブさんがいたせいで大きく陥没している。でも、穴というほどではない。

 そこにグラオさんを放り出して、ヒューノットは言い放った。




「掘れ」




 いや、そんな。

 まさか。



 それだけ言い放ったヒューノットは、また駆け出して行く。

 もちろん、私は引っ張られるがままだ。


 そろそろしんどいし、喉が渇いて呼吸もしにくいし、走りすぎて足がだるいけど、それ以前に絶句した。





 ヒューノットは、たぶん馬鹿だ。

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