51.真実の檻
ピリリリッ――と。
耳障りな電子音が周囲に満ちる。
夢の中で鳴り響いた音の正体を探ろうとしているうちに、ゆっくりと意識が浮上していく。
一瞬ばかり、何の音だかわからなかったけれど、ほどなく目覚ましのアラームだと気が付いた。
手を伸ばして、ごそごそと枕元を探ると指先に硬いものが当たる。
手探りにスマートフォンを操作して音を消した。
スヌーズ機能を設定していたっけか。そんなことを気にしながら顔を上げたものの、目はまだ開かない。
カーテン越しに差し込む光は、それほど強くもない。ただ寝起きには、ちょっと眩しい。
無意識のうちに二度寝を求めて、枕に押し付けたところでハッとした。
そして、うつ伏せの状態から一気に身体を起こして窓を見る。
「――……え」
ベランダへと繋がる窓が開いていた。
カーテンはきちんと掛かっているけど、風が薄く入り込んでいる。
ベッドから飛び降りて、すぐさまベランダへと近付いた。
カーテンを開いてベランダを覗いてみたけど、誰の姿もない。
よく笑う青年とか、小さな女の子とか。不機嫌そうな青年とか、仮面をつけている人だとか。
とにかく、人の姿はなかった。
ついでに外にも視線を向けてみる。やっぱり、これといって変化はなさそうだ。
空は、ただの空。澄んだ青色が広がっているだけで、穴が開いてなんていない。
当たり前といえば、当たり前だ。
「……はぁ」
一瞬ひやっとしたけど、杞憂だったらしい。
溜め込んでいた息を逃して、ゆっくりと肩を竦める。
窓を閉じながら室内を見渡してみたけど、やっぱり何の変哲もない。間違いなく私の部屋だ。
何となく、パソコンデスクに視線を転じてみる。
パソコンは沈黙したまま、モニターだって何も映してはいない。
どうしようかと迷った挙句、ひとまず洗面所に向かうことにした。
途中でキッチンを覗いてみたけど、やっぱり異変はない。
洗面台の前に立って鏡に映る私は、当然ながら見慣れた姿だ。
まあ、寝起きでちょっと髪が乱れているけど。こんなのは、許容範囲だろう。
水で顔を洗って、新しいタオルを取る。
顔を拭きながら歯ブラシを手にして、タオルを置いた手で歯磨き粉のチューブを捕まえた。
歯磨きをしつつ、後ろを振り返る。
何だったのだろう。
もしかして、夢だったのだろうか。
そんなはずはないと思う自分と、あんなの現実なはずがないと考えている自分がいる。
寝起きだから、だろうか。
ちょっとしたパニック状態に近い。
「……」
じっと耳を澄ませてみたものの、音はなかった。
そして、当然ながら人の気配なんてものも感じられない。
まあ、いたらいたで怖いんだけど。
歯磨きを終えて部屋に戻ると、カーテンが揺れていた。
「……は?」
思わず、声を出してしまった。
忍び足で窓に寄り、勢いよくカーテンを開く。
窓は閉じたままだ。いや、私さっきカーテンを開けなかっただろうか。
それはいいとしても、どうして揺れていたのだろう。
クーラーだって、今はつけてない。ここに動物がいるはずもないし、何だったのか。
考えてみたけど、意味はわからない。
何だろうか。見間違えかな。何があるはずだと、そう思いすぎたのかもしれない。
握っていたカーテンから手を離して、室内を眺めていく。
やっぱり、これといって何もない。
いや、ベッド横に普段なら片付けてある折り畳み式のテーブルが広がっている。
その上には、数枚のルーブリーフが広がっていて、カラーペンも置かれたままだ。
「……」
こんなの使ったかな――思い出そうとしたところで、欠伸が出た。
せっかくベッドから起き上がったけど、二度寝したい気分だ。
ベッド近くまで寄ってから、ふとパソコンが気になった。
電源が入っていないのだから、何ともない。
まあ、全部が夢だったとすれば、平和で何よりだ。
ちょっと残念な気持ちがないわけでもなかったけど。
そういえばと思って、デスクの引き出しに手を掛けようとした時だ。
「――うおっ」
ドンドンドンッと、激しいノックが響き渡った。
いや、ノックなんて生易しいものじゃない。
玄関の扉を壊すつもりかと思うくらいの勢いだ。
まるであらん限りの力で叩いているような音。とにかく、尋常ではない。
しかし、急いで玄関に向かうと音はぴたりと止んだ。
イタズラ、だろうか。いやいや、ピンポンダッシュならまだしも、ノックダッシュって何だよ。
まあ、全く有り得ない話でもないけど。
そもそも、イタズラなんてそんなものだ。
息を潜めて待ってみるけど、人が立ち去るような足音もない。
そっと極力音を立てないように近付いて、ドアスコープから外を窺う。
けれど、人の姿は見えない。だからといって安心はできないだろう。死角に立たれていたら、お手上げだ。
更にしばらく待ってみたけど、やっぱり何の物音もしなかった。
とはいえ、これで外に出るほどバカではない。
数秒ほど待ってドアスコープから離れた瞬間、ドンッとまた扉が大きく叩かれた。
驚きすぎて声も出ない。
数歩ほどよろけて、壁に腰を打ってから廊下に尻餅をついてしまった。
扉を見上げると、更に続けてドンドンドンッと激しく叩かれる。何なんだ、一体何なの。
あまりに強く叩かれすぎて、扉が揺れている。
「……っ」
異常だ。
こんなの、おかしい。
激しい殴打音が響き続ける。ノックなんてものじゃない。蹴っているような音になって来た。
鍵は掛かっているけど、チェーンは掛かっていない。
慌ててその場から逃げ出すと、キッチンで何か音がしていた。
見れば、戸棚の中でグラスや皿が小刻みに揺れている。
床は揺れていない。それどころか、食器棚自体も揺れてはいない。
何なのこれ。どうなっているの。
キッチンを抜けて部屋に入れば、またカーテンが動いている。
しかし、まるで風に撫でられるかのように揺れ動くそれよりも、目に付いたものがあった。
「……どうして」
沈黙していたはずのパソコンに電源が入っている。
いや、それだけじゃない。
モニターに映し出されているのは――――
「――……」
遠くから鳥のさえずりが聞こえて来る。
目を開くと大きなベッドの上にいて、思わずガバッと勢いをつけて起き上がった。
「……ああー」
そうだった。
ゲルブさんのベッドを借りていたんだっけ。
夢の中で起きてしまったからか、変な感じだ。ちょっと損した気分。
それにしても、妙な夢を見たものだ。
よほど、疲れていたのかもしれない。
ベッドに乗ったときの姿勢のまま、うつ伏せで寝ていた。
顔に跡でもついていないかと、ちょっと気になるけど室内に鏡はない。
手櫛で髪を適当に整えながらベッドから降りて扉を開く。
フェルトのベッドに綿の布団。
そこで眠るシュリの姿が見えたあと、濃紫の髪が視界に入った。
「――……ヒューノット」
腕組みをして壁に凭れかかりながら目を閉じている。
驚きのあまり、口から名前がするりと出た。
ゆっくりと、瞼が持ち上がっていく。そして、隠れていた青い瞳が静かに私を見た。
「……戻った」
「え、あ、おはよう……」
不器用か。
互いに成り立っていない挨拶になってしまった。
ヒューノットの身体には傷がない。血塗れになっていた髪も身体も、今は何ともなかった。
でも、それで無事だったと安心する気にはなれない。だって、ヒューノットは覚えている。あのときのことも、その前のことも、すべて。
自ら脚を切り落としてでも彼が守りたかった――シュリに視線を落としたのは、ほとんど同時だった。
シュリは、一度も起きてはいないのだろうか。
私が見ている限りは、ずっと眠ったままだ。
外傷は見られないのに、何が原因なのか。それがわからない。わからなくて、不安だ。
ちらりとヒューノットに視線を向けたけど、何を言うでもない。
何だろうか。変に気まずい感じがする。
「――あ、あのさ」
沈黙を破ると、ヒューノットは青い瞳を僅かに細めてから視線を向けてきた。
笑うような調子ではなくて、本当にただ細めただけだ。
少しだけ狭くなった目の中で、青色がじっと見つめて来る。
「……あの、その」
「何だ」
「あのときは、ありがとう」
バケモノから助けてくれたことだ。
それよりも、もっとたくさんあるけど。
思えば、態度は多少アレでも、ヒューノットは絶対に助けてくれている。
それが役目だからと言われたら、確かにそれまでだとは思うけど。
シュリを助けるためだったと言うのなら、確かにそうだと納得できるけど。
でも、何だろうか。
それだけではないような気がする。
「別に構わない」
素っ気ない。
けれど、こういう人なんだ。わざと冷たくしているわけではない。
いや、態度は悪くて基本的に無視ではあるんだけど、何というか。
あれ。優しいわけでもないか。基本的にスルーされるもんな。
じゃあ、何だろう。職務に忠実というべきなのか。
「……シュリュッセルは」
不意に言葉を向けられて理解が遅れた。
「え? あっ、シュリは……あれからずっと寝てる、かな……」
寝ているものと見なして良いのだろうか。
そこは、少し不安ではある。
「ずっと、か?」
「え?」
「一度も目を覚ましていないのか?」
「え、あ、うん。そうだと思うけど……」
私が寝ている間に起きたというのなら、話は別だけど。
今こうして、無防備に眠っている様子を思えば、それはないだろう。
もし起きたら、さすがに知らせてくれそうな気がする。
誰がって、そりゃ、グラオさんとゲルブさんだ。って、あれ。
「……ふたりは?」
部屋の主たる兄弟の姿がない。
周囲を見回してみるけど、そもそもあんな大きな身体があったら気付かないはずもない。
リビングに通じる扉へと近寄ると、「出掛けた」というシンプルな答えが返された。
そっと扉を開いて、リビングらしき場所を見る。確かに、誰の姿もない。
「――芳しくない」
ヒューノットの声に意識も視線も引き戻された。
振り返ると、ヒューノットは窓の人へと視線を投げている。
手をゆっくりと引いて扉を閉じ直すと、目が合った。
「……シュリのこと?」
少しの気まずさを感じて、問いを返した。
しかし、ヒューノットは緩やかに首を振る。
「シュリュッセルの事を差し引いたとしても、あまりにも劣勢だ。後手に回り過ぎている」
「それは……」
仕方がない、とは言えなかった。
でも、無理もない話ではないかとは思ってしまう。
だって、レーツェルさんは、それこそ前々から準備していたはずだ。
いきなりのラッキー話に乗っかったわけではないだろう。
ツェーレくんを"理想の王様"にするために、自分の思惑通りに動く"素敵な弟"にするために。
あらゆる好機や機会を狙っていたはずだ。
王様になれない、あるいは、"ならない"彼を、レーツェルさんは必要としていない。
目的のためには弟さえも手に掛けるような人だ。どう動くのかなんて、想像もつかない。
「――しかし、妙なのはお前だ」
「え?」
急に矛先を変えられて、少し戸惑ってしまう。
ヒューノットは、その青い瞳をじっと向けて来ていた。
見つめられているというよりは、何だろう。そうだ、睨まれている感覚に近い。
「この期に及んで、よくそうも落ち着いていられるものだな」
「お、落ち着いてる、わけじゃ、ない、けど……」
「事実として、こちら側だけの話ではないんだぞ」
「い、いや、その、だから別に、こう、落ち着き払ってるとかじゃなくて……」
現実味がないというか。何というか。
しどろもどろに答える私に対して、ヒューノットは何処か不満げだ。
じゃあ、何だ。焦って泣いて喚けばいいのか。
やけくそになって来ると、ちょっとムカついて来た。
「――おやおや、おふたりとも。けがにんのそばで、けんかとは。おだやかではないね?」
言い返そうとしたところで、扉が開かれた。
顔を出したのは、グラオさんだ。その後ろから、ゲルブさんも続く。
ふたりが入ってくると、やっぱり圧迫感がすごい。
いや、元々この人たちの部屋ではあるんだけど。
「ケンカってほどでは、ないんですけどね……」
ちらりとヒューノットを見る。
しかし、もう私の方には顔も向けてはいなかった。既に興味を失ったかのようだ。
うう、何だよ。この扱い。
とはいえ、確かに眠っているシュリの傍で口論もよろしくない。
ふたりが入ってきてくれて、タイミング的には助かったというべきか。
ヒューノットが何を言いたかったのかは、わからなくなってしまうけど。
「けんかではなかったのかな? それはまた、しっけいしっけい。ふふ、ぼくとしたことが」
「まったく、はやとちりだ」
「そう、それだとも。げるぶのいうとおりだ」
グラオさんとゲルブさんが、普段通りで助かる。
確かにさっきは、一触即発な感じだった。
もし、ふたりが入って来なかったら、ケンカとは言わずとも言い合いくらいにはなっていたはずだ。
しかし、ヒューノットがああいうことを意味もなく言い出すとは思えない。
でも、真相は闇の中だ。たぶん、後から聞いても答えてはくれないだろう。なんて難しい男なんだ。思春期男子か。
「ときに、ひゅーのっとくん。げんじょうはどうだい?」
グラオさんが問いかけると、ヒューノットは静かに顔を上げた。
そして、緩やかに首を横へと振る。
「――"鍵"は、この様だ。解決策が見出せない」
淡々と落とされた言葉には、違和感があった。
それはちょっとした引っ掛かりで、大したことではない。
ただ、前に感じた引っ掛かりと同じものだ。
――奴らは、"鍵"を持ってはいない
戻って来て早々に言い放った言葉と、ほとんど同じだ。
シュリのことを"鍵"と呼ぶヒューノットの表情からは、いまいち感情が読み取れない。
あの時は問い掛けを、どこかはぐらかされた感じだった。
完全に無意識だというのなら、そこに悪意はないのだろうけど。
ヒューノットはシュリを大切にしていると思っていたけど、もしかして大切なのは"鍵"の方なのだろうか。
「災厄の居場所も未だ不明だ。手の打ちようがない」
言葉を紡ぎ落とす声は、やっぱり淡々としている。
グラオさんとゲルブさんは、それぞれに顔を見合わせた。
「われわれも、げんだんかいでは、なんらてだしができないとはんだんしていてね」
「だから、ころあいをみてむかえにいった」
「迎え?」
グラオさんたちの言葉に、つい疑問を返してしまう。
すると、ゲルブさんがゆっくりと深い頷きを返してくれた。
「ああ、そうだ。もうじきくる」
「え、来るって――」
――誰が。
そう問いかけるよりも先に、ノックの音が届いた。
開いたままの扉をくぐったグラオさんが、玄関へと向かう。
「――ルーフさん!」
グラオさんに連れられて入って来たのは、ルーフさんだ。
思わず、声を上げてしまうと、穏やかな笑みを向けてくれた。良かった、無事だった。
もしも何かあったら、本当にプッペお嬢様に何と言えばいいのか。
ゲルブさんの大きな身体を何とか越えて、扉のもとへと寄っていく。
「すみません、あの時はありがとうございました」
「いいえ、とんでもありません。私は私の出来得る事をしただけに過ぎませんので……ヤヨイさん達がご無事で何よりです」
いい人だ。
ものすごくいい人すぎて、私はこの人を置き去りにしたのかと変な罪悪感が出て来る。
「――さてさて、われわれはもりをみてこよう。げるぶ」
「わかっている」
「やよいちゃん、ひゅーのっとくん、すこしだけでてくるからね。かぎのひとを、よろしくたのんだよ」
「あっ、はい、分かりました」
名指しを受けたけど、ヒューノットは何も言わなかった。
代わりのように返事をしてみるけど、お留守番でも任された気分だ。
眠るシュリを見ていたゲルブさんは特に何も言わないまま、グラオさんの後ろについていった。
人口密度の高い室内から大きな兄弟が出て行くと、部屋には唐突に余白がたっぷりと出来上がる。
「……」
「……」
「……」
取り残された三人が、全員沈黙した。
何だろうか。この空気。
もちろん、眠っているシュリはカウントしない。起きていたら、場を取り持ってくれる人だけど。
ちらりとヒューノットを見ると、その青い瞳はルーフさんに向けられていた。
視線に気が付いたルーフさんが顔を向ける。
しかし、双方とも特に何も言わないままだ。
え、だから、何なの。この空気。
「……」
「……」
「――わ、私、ちょっと出てきますね、ちょっとだけねっ」
変な気遣いをしてしまった。
そもそも、ふたりは友達で、私は全くの第三者だ。
私がいると話しにくい内容とかあるかもしれない。
いや、なさそうだけど。
全然全くちっとも、なさそうだけど。
そもそも、ふたりが友達というのが、未だに信じにくいレベル。
でも、私が耐えられそうになかった。
いそいそとルーフさんの傍を通り抜けて、扉を閉じる。
シュリのことを任されたけど、ふたりがいれば大丈夫だろう。ルーフさんはまだ少し心配ではあるけれど、ヒューノットがいれば、ある程度は平気に違いない。
大きな家から外に出ると、もう兄弟の姿はなかった。森に行ってしまったのだろう。意外と脚が速い。
代わりに、というべきか。フェルトの人形たちが、せかせかと動き回っている。
どうしたのだろうと思って眺めてみると、何やら木の棒で地面に何かを書き込んでいた。
書き込んではどこかへと向かい、また誰かが来ては書き込んで、と、その繰り返しだ。
握る木の棒もフェルト生地らしくて、ちょっと、いや、かなり書きにくそうだ。
近付いて地面を覗いてみたけど、何を書いているのかはさっぱりわからない。
「だいじんがきた!」
「おんなのこだ!」
「だいじん!」
「やよいちゃん!」
「これみていいよ!」
「みんなでしらべてるんだよ!」
眺めている間にわらわらと取り囲まれてしまった。
ちょっとデジャブ。
あのときとは違って、敵意も悪意もなさそうなのが救いだ。
「調べてるって、何を?」
その場に屈み込んでみると、更にわらわらと集まって来た。
どんどん、すごいことになっている。
完全に包囲網だ。
近い位置にいた頭を撫でると、完全にフェルトの感触がする。当たり前だけど。
「かみさまのさいご!」
「そらのじゅみょう!」
「うそつきのおほし!」
「ないてるおほしも!」
「かえりたいんだよ!」
「かえれないんだよ!」
「かわいそうだから!」
「みんなたすけるよ!」
フェルト人形たちが、次々と言葉を放つ。
一斉に喋るものだから、どうにも聞き取りにくいけど、不穏なワードがいくつか届いた。
「……空の寿命って?」
神様のさいご。嘘つきのお星。泣いている、帰りたい、帰れないお星。
そっと小声で問いかけると、人形たちはざわざわと顔を見合わせた。
かと思えば、一斉にこちらを見た。
ちょっとビビる。
「おほしがいなくなって!」
「おひさまがはじいてさ!」
「まっしろになるんだよ!」
「おほしさまがいないよ!」
「だれもなかないんだよ!」
「じゅみょうがくるんだ!」
それは、確かに聞いたことのあるワードばかりだった。




