閑話
「わっ」
「きゃ! びっくりした!」
私より前に戸破の家に来ていた鎖子ちゃんは、なにかと私に構ってくれた。
「あれ? あれあれ? 鎖子ちゃんあっちに居た筈なのに」
縁側の戸を開けて、そこに腰かけた私は、庭先で遊ぶ鎖子ちゃんを見ていた。
その筈なのに、背後からした鎖子ちゃんの声に驚いて振り向く。
「あはは、驚いた?」
「あ、またそれかー」
庭先では、鎖子ちゃんがこちらを見ていた。
「鎖子ちゃん凄いよね。鎖子ちゃんが二人居るなんてさ」
「ん? 凄いかな?」
「凄いよ。私には、出来ないから」
私には、才能がないから。
「私は、皆みたいに戦ったり出来ないから」
投げ出した足をぶらつかせて、口を尖らせる。
「別にいいじゃん。真凛は、私が守ってあげるよ」
「え? 鎖子ちゃんが?」
「うん。私、桜も守ってあげるから、だから、真凛も守ってあげる」
「でも、桜ちゃんは鎖子ちゃんの妹だけど、私は——」
「私は、真凛のお姉ちゃんだから」
家族に捨てられた私に、鎖子ちゃんは言った。
「私は桜のお姉ちゃんだから、お姉ちゃん得意なんだ。だから、真凛のお姉ちゃんにもなってあげるね」
鎖子ちゃんは、笑って、私にそう言った。
「鎖子ちゃんと私、同い年だよ? 私の方が誕生日早いよ? でも、鎖子ちゃんがお姉ちゃんなの?」
「そうだよー! だって、私桜のお姉ちゃんだもん。だから、真凛のお姉ちゃんも出来るよ」
「そっかあ。じゃあ、私は、鎖子ちゃんの妹になろうかな」
「桜に許可取ってね」
「え!?」
私は、ただただ、その言葉が、嬉しかった。




