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ファントムレイジ  作者: 高坂はしやん
深夜一時の奇奇怪怪
17/87

閑話

「わっ」


「きゃ! びっくりした!」


 私より前に戸破の家に来ていた鎖子ちゃんは、なにかと私に構ってくれた。


「あれ? あれあれ? 鎖子ちゃんあっちに居た筈なのに」


 縁側の戸を開けて、そこに腰かけた私は、庭先で遊ぶ鎖子ちゃんを見ていた。

 その筈なのに、背後からした鎖子ちゃんの声に驚いて振り向く。


「あはは、驚いた?」


「あ、またそれかー」


 庭先では、鎖子ちゃんがこちらを見ていた。


「鎖子ちゃん凄いよね。鎖子ちゃんが二人居るなんてさ」


「ん? 凄いかな?」


「凄いよ。私には、出来ないから」


 私には、才能がないから。


「私は、皆みたいに戦ったり出来ないから」


 投げ出した足をぶらつかせて、口を尖らせる。


「別にいいじゃん。真凛は、私が守ってあげるよ」


「え? 鎖子ちゃんが?」


「うん。私、桜も守ってあげるから、だから、真凛も守ってあげる」


「でも、桜ちゃんは鎖子ちゃんの妹だけど、私は——」


「私は、真凛のお姉ちゃんだから」


 家族に捨てられた私に、鎖子ちゃんは言った。


「私は桜のお姉ちゃんだから、お姉ちゃん得意なんだ。だから、真凛のお姉ちゃんにもなってあげるね」


 鎖子ちゃんは、笑って、私にそう言った。


「鎖子ちゃんと私、同い年だよ? 私の方が誕生日早いよ? でも、鎖子ちゃんがお姉ちゃんなの?」


「そうだよー! だって、私桜のお姉ちゃんだもん。だから、真凛のお姉ちゃんも出来るよ」


「そっかあ。じゃあ、私は、鎖子ちゃんの妹になろうかな」


「桜に許可取ってね」


「え!?」


 私は、ただただ、その言葉が、嬉しかった。

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