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現代 9


 それはさながら夜明けの空を切り取ったかのようだった。


 重ねられた薄い紗を感じさせない胸元の宵闇の藍が、裾にゆくにしたがって透き通るように薄くなっていく。そうしてあえて見えぬように控えめに作ったドレープから覗く、アンダースカートの朝日のような柔らかな橙と混ざり、絶妙な一体感を生み出している。

 それが優雅なワルツに合わせて舞い踊ると繊細なレースをあしらわれた裾がふわりと広がり、儚さの中にも、それを着た彼女の芯の強さがより一層引き立つ美しいドレスだった。


 そこかしこから聴こえる感嘆のため息を聴き取ったリグリラが己の作品が衆目をさらっていることに満足していると、傍らに立つ正装のラーワがほうとため息をついていた。


「リグリラらしい、とても素敵なドレスだね。これをじかに見られただけで、この一週間頑張ったかいがあるよ」

「それはよろしゅうございました」


 そう返したリグリラも、本日の作品の一人であるラーワの格別の装いを愛でていた。

 熾火のような深緋色のテールコートに一層深い色合いのズボン、それに合わせた柄物のベストにクラヴァットという組み合わせは、着るものを選ぶ色合いだったが、青年の妖しささえ漂う美貌にはしっくりと来ていた。

 流行に沿うように装飾は控えめに、だが個性を主張する装いには文句のつけようもあるはずがない。


 次期王妃として公に発表されたマール・コレットが主催したこの舞踏会に、今回ハンター二人が招かれたのは、被害を未然に防いだ糸繰り魔樹(マリオネットツリー)討伐に対する国からの褒賞の意味が込められているのは周知の事実だった。

 その情報はほかの列席者にも自然と知られ、ハンターなど教養など一切知らない粗野で野蛮な連中と頭から決めてかかり―—――実際9割はそうなのだが、こちらのルールにかなわぬふるまいをすれば即座にあげつらってやろうと貴族たちが手ぐすねを引いて待ち構えていた。


 だが、やって来たのは最高の衣装を身にまとった、会場にいる誰よりも美々しい青年二人だ。


 リグリラが一週間徹底的に仕込んだ堂々たる立ち振る舞いに唖然とし、平然とワルツをリードする姿に目を疑ったのは序の口だ。

 こちらの衣装を誰よりも形よく着こなす仙次郎の絵になる立ち姿に令嬢方はほうとため息をつき、ラーワに話しかけた紳士たちはその幅広い知識に気圧されるも吸い寄せられるように輪を作る。

 排他的な貴族たちの目からボロボロと鱗が落ちていくのを、してやったりと見物するのはなかなか面白かった。


 ラーワ自身は気づいていないようだったが、今もダンスに誘ってはくれないものかと貴族の令嬢たちが熱い視線を送っているほどだ。

 それらをひと睨みでけん制しながらラーワを連れ、贔屓にしてもらっている婦人方にあいさつ回りをし、控えめにドレスの宣伝に努める。


 本日のリグリラの装いは女主人であるマール・コレットに遠慮し、若干大人しいデザインを選んでいた。

 それでも光沢のある紫の布地を使い、随所にマール・コレットと同じ東国趣味を取り入れた新作である。

 広がりのあるスカートしか知らない婦人たちはあえてバッスルやクリノリンを使わないことで動くたびに揺らめくスカートの優雅さに目を見張り、店を訪れることを約束する貴婦人もいた。


 一通りめぐり終えた後リグリラは、ぎこちないながらも大きなミスなくマール・コレットのダンスパートナーを務め終えた仙次郎が若干疲れた様子で帰って来るのをみとめ、こわばる表情を叱咤して平静を装った。


「マダム、いかがでござっただろうか」

「動きが硬いことは大目に見て差し上げますが、きちんと女性の腰を引き寄せなさい。不恰好ですわ」

「その、国許ではこのように女性と触れ合うようなことなどなかったゆえ、勘弁していただきたい」

「でも背筋がピンと伸びていて、かっこよかったよ。とても一週間で覚えたようには見えないって」


 肩を落とす仙次郎をラーワが慰めるのを、リグリラは黙って眺めていた。

 仙次郎の衣装もラーワと同じ金モールで彩られたハンターギルドの肩章付のテールコートとズボンだったが、こちらは転じて黒と見まがうような深い紺で統一され、夏の海のような明るい青のべストがアクセントとなっている。

 さらに異国情緒漂う精悍な顔立ちに艶やかな灰髪を一つにまとめ、そして何よりコートの間から覗く灰色の尻尾と頭の上で主張する灰色の狼耳が、ラーワとは別の意味で衆目を集めていた。


「そういえば、ご令嬢方がずいぶんそれがしに好意的なのだが、なぜだろうか」

「そうなのかい?」

「うむ、それがしいまだ西大陸に来て数か月ほどでござるが、これほどまで積極的に話しかけられることなどなかったゆえ驚いている」


 意外そうな中にも嬉しげな感情の混じった声音に、つい突っかかってしまった。


「それで、鼻の下を伸ばしておりますの。おめでたいですわね」

「いやそんなことは、―――マダム、焼いてくださるのか」

「まさか」


 表情を、さらりと扇子を広げて隠したリグリラは続けた。


「あなた、ギルドに出入しているのでしたら、黒髪に赤の混じった人物不定の指名手配書を見たことありまして」

「確か、食堂などでもよく見かけたような」


 そう言った仙次郎は、なぜかうえといやそうな顔をするラーワを不思議に思ったが、リグリラとの久々の会話の応酬に気をとられた。


「あれは、今から百数十年ほど前にこの国に現れたドラゴンの仮の姿ですの。

 その昔この国を襲った大災害を収め、その後しばらくこの国の守護者として活躍したドラゴンを、この王都の人々は今でも英雄視しておりますわ。

 要するに老若男女貴賤問わず、ドラゴン好きですのよ。ですから、ドラゴンではなくとも異種族に対して酷く寛容なのでしてよ」


 ただそのこの見目の良い端正な顔立ちと立ち振る舞いも令嬢の心をくすぐっているのだろうが、仙次郎にそれを言ってやる必要はない。


「そうであったか。ではそれがしもそのドラゴン殿に感謝しなければなるまい」

「……別にいらないから」

「? ノクト殿何がいらないのでござるか」

「なんでもない」


 つぶやきを拾った仙次郎が問い返したのをラーワが曖昧に笑ってごまかしていると、それぞれに趣向を凝らした衣装を身にまとった令嬢数人が意を決したように声をかけてきた。


「お話し中に申し訳ありません。あの、”黒突”のセンジロー様でいらっしゃいまして。よろしければわたくしたちとお話していただけませんか」

「それがしと、でござるか」


 突然の申し込みに仙次郎が困惑していた。

 だいぶ勇気を絞ったのだろう緊張に頬を高揚させる少女たちに、ラーワもどうしようかと思案していると、リグリラは有無を言わせぬ鉄壁の微笑を浮かべて先回りをした。


「ええ、よろしくてよ。わたくし、この方と一曲踊ろうと思っていたところですの。

 ではごめんあそばせ」

「え、ええ?」

「ちょっとリグリラ!?」


 戸惑う令嬢たちと仙次郎を置いて、リグリラはさっとラーワの腕を絡め大広間の中央へ進んでいった。

 次に始まったのが自身の踊れる曲であったためほっとしたラーワだったが、ステップを踏みながら強引過ぎるリグリラに控えめに抗議した。


「リグリラ、踊りたいなんて言ってなかったのに、どうしたんだよ。あーあ仙さんご令嬢たちに質問攻めにされて困ってるよ」

「急に踊りたくなったんですの。ちょうど曲の切れ目だったものですから、引っ張り込んでしまったのはあやまりますわ」


 素知らぬ顔のリグリラに、ラーワはこの一週間感じていた違和をぶつけた。


「どうしたの? なんか最近変だよ。仙さんも一緒にダンスの稽古はしたけれどよそよそしかったし。まあ出会って一ヶ月だけど、普通に話していただろう? いまだって仙さんを避けているみたいだ」


 図星を刺されたリグリラは衆目があることも忘れて顔をゆがめた。


「そんなの、あなたが変なことを言うからですわ」


 覚えているかもしれないと、いうから。


 仙次郎と顔を合わせると余計なことを考えてしまうのだ。

 せっかく折り合いをつけたのに溢れだしそうになる感情をどうしたらいいかまたわからなくなってしまった。

 弱弱しくなじるリグリラの姿に、ラーワは曲に合わせてターンをしながら、言った。


「ねえ君は、誰か一人に囚われることが弱い、と思っていないかい?」


 図星、だった。

 何も言わず唇をかみしめるリグリラにラーワはやっぱり、とでも言いたげに嘆息し、続けた。


「それは違うよ。

 私は君より強いけど、でもやっぱり一人は寂しい。それは強さとは別のところにあるんだよ。

人族も私たちに比べれば肉体的には遥かに弱いし、どうしようもなく愚かで醜いところがあるけれど、時々とんでもなく輝く魂を持った人たちがいる。

 少なくとも、そんな人を同列には扱わなくていいと思うんだ」


 言われなくとも、同列に扱う気などさらさらなかった。だってあの魂はリグリラにとって極上で特別で――それ以上に声も、姿かたちも、心も、形作っていたすべてが何物にも代えがたかったのだから。

 だが、それは前世(ハイド)だったころのことだ。

 何も覚えていない今世(仙次郎)に何を言おうと意味がないではないか。

 なのに、奴を見るたびに、己の芯がゆらゆらと揺らぐのだ。


「ですが……」


 赤く染めた唇を引き結んで言いよどむリグリラに、ドラゴンの青年はしょうがないなあとでもいうように苦笑した。


「――らしくないよリグリラ」


 柔らかい声音だった。


「わがままに自由で、情熱的で鮮やかな君が何をくよくよ悩んでいるんだい。

 いつもの君なら考えるより先に手が出てくるじゃないか。気になることがあるんなら悩む前に叩きのめして問いただせばいいんだよ」


 確かに、己が魔族の中でも特に武闘派だとは自覚していたが、その言い方はあんまりではないか。


「……わたくしを何だと思っているんです?」


リグリラは少々恨めしく怜悧な顔を睨み上げたのだが、当の青年は応えた様子もなく涼しい顔でぬけぬけと言ってのけた。


「んー戦闘狂だけどドレスが大好きで意地っ張りなところが可愛いくらげ」

「あなたはほんとうに正直ですわね」


 リグリラが思わず苦笑を浮かべたところでその曲は終わり、美男美女の素晴らしいステップにほうとため息が漏れていた。




 ラーワが食事を楽しんでくると離れた傍から他の貴族に囲まれているのを見送ったリグリラは、紳士貴婦人方につかまる前に、喧騒を離れた。

 舞踏会はまだ始まったばかりである。

 帰るわけにはいかないが、一人になりたかった。


 いくつか用意されている休憩室の並ぶ一角を歩き、空いている個室を探していると、ひそやかに二人きりになる場としても使われている個室の一つから切々と訴える娘の声が聞こえてきた。


「本当に、私の元に来てくださいませんか」


 すぐさま別の場所へ移動しようとしたが、その後に聞こえた仙次郎の声に完全に足を留められた。


「レディ、それがしは一介のハンター。風来坊にござるゆえ一所にとどまることは性に合わぬ。ゆえに、そなたの御父上の私設軍への士官など、宝の持ち腐れにござるよ」


 困っているのがありありとわかる仙次郎に、若草色のドレスに身を包んだ娘がすがるように訴えかけるのが、カーテンの陰から覗き見えた。


「私、センジロー様をお慕いしております。

 確かに初めてお会いした時には失礼な態度をとってしまいましたが、あの馬車の中で魔獣を一刀のうちに倒し、逃がしてくださったあなたに恋をしたのです。

 私はいずれ家の為に嫁ぐ身ですが、どうかそれまでお傍にいてくださいませんか」


 そこまで聞いてようやくその娘があの隊商に同行していた貴族の娘だと気づき、ついでその甘やかされた身勝手な思考に呆れた。

 なのに、仙次郎が気分を害した様子もなく娘を穏やかに見つめていることにむかむかと苛立った。


「あなたのお気持ちはよくわかった。だが、それではなおさら傍にいることはできぬ」

「私の心をお疑いですか、それともまだ子供だからとおっしゃる? 私は、きちんと社交界デビューをしましたからもう大人です」

「そういうことではござらぬよ。あなたが真剣なことはよくわかり申す。ゆえにそれがしもきちんとあなたに真心を返さねばならぬ」


 思い詰めていた娘は、仙次郎の口元にほのかに浮かぶ笑みに戸惑いの表情を浮かべた。


「実はそれがし、運命の女子(おなご)を探して、はるばる東国からやってまいったのだ」

「運命の女性、ですか」

「うむ、それがしの幼いころからずっと夢に現れる女子でな、顔かたちはいつもおぼろげなのだが金の髪と紫の瞳が美しくてなあ。だが、とても強いことはよく覚えている。

そしてその人と大事な、一生かけても守らねばならぬ誓いを立てたような気がするのだ。

何分夢の中でのことゆえ、内容まで思い出せぬのが歯がゆいが、以来ずっとその女子に恋をしている」

「そんな、現実に居るかもわからない方を探すために、海を越えたのですか」


 絶句する娘に仙次郎は気恥ずかしげに笑ったが、その灰の瞳だけはひどく真剣だった。


「恋をすると馬鹿になるとはよう言ったものだ。

 朋輩に笑われながら何度もあきらめようと思ったが、この身にくすぶる熱は一向に消える気配がない。それに手掛かりはなくともあの女子は必ずこの世にいる妙な確信があったゆえ、思い切って国を飛び出してきたのでござる。ゆえに、あなたの想いにこたえることはできないのだ」


 放心しながらも、この男の心が自分に向かないことだけは思い知った娘はぽつりと聞いた。


「こちらに来て、その方は見つかりましたか」

「こちらでは金髪が珍しくなく、無謀だったかと思ったものだが、奇跡のようなめぐり合わせでな。恐らく、そうではないかという人には出会えた。

 だがそれがし彼女を怒らせてばかりでな、この話をして信じていただけるとも思えぬゆえなかなか道のりは遠い」

「そう、ですか」


 仙次郎はふと気配が動いた気がしてドアの無い個室の入口のほうを見たが、そこには誰も居ない。


「どうか、なさいましたか」

「いや……男子たる者、かようなことで悩んでおるのは気恥ずかしいでな、二人だけの秘密にして下され」

「はい、センジロー様ありがとうございました」


 誠実に向き合ってくれた狼の青年に、娘は今にも涙をこぼしそうにしながらも精一杯笑みを浮かべた。






















 足早にその場から立ち去ったリグリラは、一直線にバルコニーに出て設けられた階段から庭へ下りると、ひたすら人気のない闇の濃い方向へ走った。


 覚えていた、忘れていても覚えていた。


 リグリラが、かたくなに呼ばない男の名を取るに足らない娘が呼んでいることに嫉妬し、男が自分を探しに来たと知り震えるような喜びを感じている己に惑乱し、ぐちゃぐちゃにかき乱された胸中をもうどうしたらいいかわからなかった。


 やみくもに走っていたリグリラだったが、不意に足を止めくるりと振り返る。

 こんな時でも察知できる馴染み深い殺伐とした空気をまとう人間の気配だった。


「……いいか。手筈通り、盛り上がりが最高潮になったところで突入し、あの薄汚い娼婦を血祭りにあげるのだ」

「今日この舞踏会に呼ばれているのはあの女の知り合いか、すり寄ろうとしている貴族の名を辱める馬鹿どもだ。身分も低いものばかり。たとえ剣を誤ったとしても問題はない」

「だが今日の招待客にはあの一級危険種の魔物を討伐したというハンターがいるというぞ、大丈夫か」

「ふん、所詮まともな職に就けぬならず者どもだ。金にならぬことに手を出すとも思えぬ。それに会場には攻撃魔術阻害術式が張り巡らされている上、奴らは丸腰。だがこちらには魔術行使許可証がある。いくらハンターだろうと手も足も出まい」

「あの王妃の称号を穢す女を殺せば、平民をいたずらにのさばらせる王も、少しは従順になるはずだ」

「我ら建国時より続く名門貴族をないがしろにしたこと、後悔させてくれよう」


 緊張とこれから訪れる殺戮に興奮しながら言葉を交わす暗殺者の標的が、自身の客である次期王妃であることも耳に入らなかった。

 ラーワと己が侮辱されていることも思考の外だ。

 何より、この愚劣な輩が無遠慮に静寂を破ったことに、理性の限界が訪れた。


 リグリラは表情をすべて落として、隠れている気になっている暗殺者たちの密談の場に、無造作に踏み込んだ。

 当然気づいた男たちは殺気立ち、だがそれが屋敷からわずかに届く明かりでもわかるほど(あで)やかなドレスをまとった美女だということに、肩透かしを食らわされたような顔をした。


「ここは立ち入り禁止区域だ。早く引き返すんだな」


 一人が面倒そうな表情を隠そうともせず、強引にでも追い払おうとリグリラに近づいたのだが。


「……さきほどからぎゃあぎゃあうるさいですわ。がちょうでももう少し静かでしてよ。それに、大した実力もない癖に気配をまき散らさないでくださいます? 目障りですの」

「は……?」


 朱唇からこぼれた嘲弄を含んだ言葉にあっけにとられた男達だったが、その中の一人が気付いたように声を上げた。


「待て、お前、もしやハンターの一人か!?」

「ちぃっ気付かれたのなら仕方がない、口を封じる。人が集まってくると面倒だ剣のみで仕留めるぞ!」


 相手は丸腰の、しかも動きにくそうなドレスを身にまとった華奢な女だ。

 全員剣を抜きはしたが、暗殺者の誰もが自分たちの優位を確信していた。

 リグリラに無造作に近づいた男が、抜身の剣を脳天に叩き付けようと振りかぶる。

 だが、その剣が女をとらえることはついぞなく、男は何が何だかわからないままがら空きの腹に凄まじい衝撃受け、意識が途切れた。


 その光景を回りから見ていた暗殺者たちは女の姿が消えたように見えた。

 正確には目にもとまらぬ速さで体を沈ませ、みぞおちに見舞ったたった一撃の拳で行動不能に陥らせたリグリラは、男が地に倒れ伏した拍子に転がった剣を拾うこともなく、ただ状況が飲み込めない男達を逃がさぬように順繰りに見渡す。


「わたくし、今虫の居所がとても悪いんですの。生き残りたかったら、死ぬ気で踊ってくださいな?」


 その唇に浮かんだ惨忍な笑みは、恐ろしいまでに、美しかった。


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