第5話 誰にだって人に言えない恥ずかしい話の1つや2つはある
すいません!第4話を大幅に加筆して改稿しました。
こんな拙い小説を読んでくださっている方々には本当に申し訳ないですが、4話から読み直していただけたら嬉しいです。
ご迷惑をお掛けしましたーヾ(´Д`;●)
「会議が執務室と聞いて、もしやと思いましたが、皇帝陛下が出席されるとは珍しいですね?なにかありましたか?」
「「「「・・・・・・、はぁ・・・」」」」
皇帝陛下は、強張っていた体の力を抜くようにソファーに沈み込むと、呆れの混じった顔をしながらアル・リーンを見て呟いた。
「お前は・・・、遅れてきての第一声がそれなのか?」
アル・リーンは仮面の下で小さく笑うと、やや大袈裟な仕草で礼をした。
「これは失礼致しました。シオン・ガル・ランドフレイム陛下、魔法戦術部隊将軍アル・リーン只今参上致しました。・・・遅刻は大目に見ていただけると嬉しいです。」
張り詰めていた執務室の空気が緩んだことにより、他の将軍達や宰相も緩く息を吐き出し、体の力を抜いた。
「まったく、アル・リーン将軍はいつもマイペースだな(呆)。今回の議題は、例の魔物の被害状況の報告と、魔族の目撃情報の話だ。」
騎馬戦術部隊サス・イズモ将軍が、アル・リーンに資料を手渡しながら言った。
「・・・・・・なるほど。確かに、ここ最近そんな報告や噂を耳にすることが多いですね。」
同じように、近衛騎士隊メイ・サイカ将軍が、自分の資料をアル・リーンに手渡した。
「あぁ、これは酷いですね。この被害状況からすると魔物単体ではないですね。何者かが魔物を統率し、都市や村を襲わせているのではないでしょうか?それが魔族だとすると、厄介ですね。」
それまで黙っていた歩兵騎士戦術部隊サズ・バーン将軍がソファーから立ち上り、アル・リーンに向き合った。
「どうしました?サズ・バーン将軍?」
アル・リーンは、深刻な顔をして自分を見つめるサズ・バーンの視線を正面から受け止めた。
「・・・・・・それは、また災厄の2年戦争のようなことが起こる前触れか?」
「・・・今は分かりません。一魔族の戯れならいいです。その魔族を討伐すればいいのですから。しかし、組織的に計画し行われているのならば・・・。それに、ここ30年魔族を見たという報告は一度もありませんでした。今になっての目撃情報は気になりますね・・・」
黙って聞き役に徹していたシオン・ガル・ランドフレイム陛下は、ソファーから立ち上がると、アル・リーンの横に移動してきた。
アル・リーンの白い仮面からは表情が伺えない為、仮面に開いている2つの穴から瞳をジっと覗き込んだ。
突然の皇帝の子供のような行動に、アル・リーンは若干うろたえてしまい、ついいつも通りに呼びかけてしまった。
「・・・なんでしょうか?シオン」
「ふっ。いや、お前が陛下などと言うからむず痒くてな。」
「2人きりのときならまだしも、会議中なのですから当然です」
「まぁいい。ところで、本音はどうなんだ?30年前の災厄の2年戦争を前線で指揮し勝利に導いたアル・リーン将軍?先代皇帝・・・父の片腕としてその隣に立ち、今もランドフレイム皇国の将軍として立ち続けている『お前』の意見を聞きたい」
「・・・・・・・・・・、そうですね。あなたが生まれた日のことが今も目を瞑れば鮮明に思い出せます。あれはよく晴れた日でした。后妃様が・・・」
「(怒)お前が何も話す気がないのは、よく分かった」
シオンはアル・リーンが何も話したくないのだと気付いたが、あえて深刻にならないようにした。
そんなシオンの様子を見ながら、アル・リーンは僅かに顔を俯け、仮面の下で切なそうに目を細める。
「すみません。本当に憶測でしかないのです。今はこれ以上は・・・・・・ところで!話は変わりますが、ついに后妃選定が始まったんですね!相性の良い方がいるといいですねー!あぁ、今も目を瞑れば鮮明に思い出すシオン3歳の夏。ほっぺたを真っ赤にしながら『おおきくなったら、リーンとけっこんしゅりゅの!』と言っていたあなたが結婚・・・そんな歳になったんですねー」
「うるさい!そんなのは時効だ!いい加減忘れろ!大体お前は何歳なんだ?ってゆうか何年生きているんだ?」
「ダメですよ?陛下。乙女に年齢を聞くのはマナーに反します。私はそんな子に育てた覚えはありません!」
「育てられた覚えもないわ!そして乙女じゃないだろ!そもそも本当に女なのか?」
「失礼な!って、アレ?他の将軍達は?」
アル・リーンが部屋を見渡すと、将軍達は早々に引き上げたようだった。
さすがにナギ・シンハ宰相は、皇帝がいるのに先に辞することはできなかったのか、呆れ返った顔してこちらを見ていた。
「陛下、久しぶりにアル・リーン将軍に会えて嬉しいのは分かりますが、そろそろ明日の・・・失礼、今日の朝議の為に御休みなられてはどうですか?」
「!嬉しくなんかないぞ。・・・・・・はぁ、もういい。なんかどっと疲れがきた。もう休む。リーン、この件は早めに報告しろ!」
「御意」
アル・リーンは静かに礼をすると、その場から音も無く消えた。
沢山の登場人物が出てきて、自分でも大変なので、人物紹介でも作ろうかな・・・。