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第4話 空気読めない人って知り合いに必ず1人はいるよね

 

「・・・、あのっ、魔法で転移しちゃ駄目ですか?」


「・・・直接学園に行くということですか?」


 なんか、まだ白い目で見られてるけど、気にしない!

 快適な朝を手に入れるには、負けてはいけないのだ!


「はい。魔法で跳べば一瞬ですし、道中の護衛も必要ありませんし・・・、ダメですか?」


「魔法転移は魔力調整が非常に難しいと聞きますが、大丈夫なのですか?魔法学園の生徒とはいえ上級の魔法は、2年では扱える生徒自体少ないはずです。」


 あぁ、心配しているのはそういうことか、フム、どう説明しようか?転移は上級魔法だったっけ。


「ご心配なく、私は転移は得意魔法なんです。とても朝が弱くて、よく寮から学園に転移してましたし」


 この方法なら、毎朝サカキに迎えに来てもらわなくて済むし、ギリギリまで寝れるよ!


「・・・、はぁ、分かりました。明日は8時半には学園で待機していますので、到着の際には、『必ず』声をおかけ下さい。では、失礼致します」


 パタン


 うん、仕方ないし(少し怖かったけど)。でも、溜息吐かれちゃった。呆れてるんだろうな。

 まぁ、いいや!とりあえずご飯食べよう!

 ご飯のあまりの美味さについ食べ過ぎてしまい、腹痛に苦しむのはこれから1時間半後でした。



 ***



「さて、行きますか!」


 時刻は0時。みなさん寝静まっています!

 さっきまで腹痛に苦しんでたけど、めんどくさいんで治癒の魔法使っちゃいましたよ。

 副業とはいえ、お仕事はお仕事ですので、真面目に頑張らなくてはいけません!

 念のために、部屋に幻術を仕掛けておくかな。もし夜中に部屋に入られても、私が居るように見せれば問題ないし。

 仕事用の衣装に着替えて、いざ出発!



 ***



 深夜---------

 皇帝陛下の執務室には5人の人間が集まっていた。

 1週間に1度、幹部達が集まって会議をするのだが、全員を集めようとすると深夜しか時間が取れず、今では週頭の0時が会議の時間に定まっている。

 場所は会議室で行われるが、まれに皇帝陛下が参加される場合、執務室で行われる事もある。


 漆黒の髪と瞳をもつ、歳は35、6といったところだろう、やけに体格のいい男が、壁にかかっている時計に目をやり小さく嘆息した。

 かつては整った顔をしていたのだろう事が伺えるが、残念なことに男の左顔面は見るのが痛々しい程の大きな傷で覆われていた。

 本人は傷があることをさして気にしていない様子だが、時折傷が引きつるのか、無意識に撫でる癖がついてしまったようだ。

 今も傷を撫でながら、自分の向かいに座っている男に話しかけた。


「魔法戦術部隊将軍アル・リーンはまだ来ないのか?」


 話しかけられた男は、青いガラス玉のような鋭く冷たい目が印象に残る青年だが、全体的に華奢な為か、それほど他人に冷たい印象を与えないようだ。

 よく後姿で女性に間違われる為、背中まである長い金髪は常に後でひとつに結んでいる。

(女性は、髪を後ろに流すのが普通の為。また夜会などの公式な集まりには結うのが常識)

 顔に傷のある男と同じように時計に目をやったが、すぐに視線を戻した。


「まぁ、あの方が遅れてくるのはよくあること。サズ・バーン将軍も気にしてはいけませんよ?」


「分かってはいるがな・・・、ナギ・シンハ宰相はアル・リーン将軍には甘いと思うぞ?」


 その時、執務室の奥でゆったりと座っていた銀髪碧眼の高貴な印象を纏う20代前半程の青年が、部屋にいる全員に聞こえるように口を開いた。


「アル・リーンを待たなくてもいいから、会議を始めるぞ。」


「「「「はい、皇帝陛下。」」」」


 一瞬で緊張感に包まれた執務室で、皇帝と呼ばれた青年は、最初の議題についての報告を、恐ろしげな風貌を持つ壮年の男に向かって求めた。


「サス・イズモ将軍、例の調査の報告から始めてくれ。」


 サス・イズモ将軍と呼ばれた壮年の男は、暗く底光りするような深い藍の瞳を、手元にある何枚かの資料に送りながら、瞳と同じ色を持つ頭をガシガシと掻きつつ報告を始めた。


「ギルドの調査結果では、やはり魔物の出現率、高ランクの魔物とのエンカウント率が以上に急上昇しています。しかも、魔族を見たとの証言もありました。」


 すると、、硬質で切れ長な茶色の目を細めながら資料を眺め、今まで言葉を発することも無く会議に参加していた男が、自ら発言する為に口を開いた。


「私からもいいですか?」


 男が口を開く為に身じろぎした為、無造作に後に流していた、限りなく赤に近い茶色の髪が一房、ハラリと額から滑り落ちた。


「あぁ、メイ・サイカ将軍は調査に参加していたんだったな。自分の目で見てきてどうだったか?」


「はい、10の都市と、8の村を回りました。結果としてはサズ・イズモ将軍の報告と似たようなものばかりです。そして同じように、魔族を見たという証言も取れました。ですが、3つの都市ではすでに魔物に襲われ、被害は甚大。その為、現在皇国に救難要請がきています。また5つの村はすでに壊滅状態で・・・生存者はいませんでした。」


『コンコンコン』


 重苦しい雰囲気の中、執務室に軽やかなノックの音が響き、その後に執事が部屋に入ってきた。


「会議中に失礼致します。魔法戦術部隊将軍アル・リーン様が到着致しました」


 執事の後から入ってきたのは、漆黒のローブとトレードマークの真っ白い仮面をつけた、アル・リーン将軍だった。

 アル・リーンが部屋を見渡せば、皆揃っていて、すでに会議は始まっているようだった。


「今夜の会議が執務室と聞いて、もしやと思いましたが、皇帝陛下が出席されるとは珍しいですね?なにかありましたか?」


「「「「・・・・・・・、はぁ・・・」」」」

 

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