心の支え
### 心の支え
「カズ君って、音楽とかも聴くんですか?」
三人で話している時に、ふとマサシが聞いてきた。
「うん、聴くよ。特に『ON@獅子丸』が好きかな? 彼の音楽にオレは支えられてると言っても過言では無い。でも、ネットでしか配信してないから、そこが残念なんだけど」
「ON@獅子丸ですか。俺も聴いてみたいです」
マサシがそう言うと、カズは意気込んで言った。
「彼の音楽はすごくいいんだ! けっこうな固定ファンがいるみたいで、今人気急上昇中なんだよ! オレ、『君が好きシリーズ』の三本とか、『夢の残響』とかがものすごく好きだな!」
興奮するように話すカズに、ハヤトが言った。
「初めて『ON@獅子丸』を知った時のカズの反応はものすごかったな。それこそ、興奮冷めやらぬといった感じだったよ」
「そうなんだよ! 一発で心を貫かれたというか、心に響いたというか、もう何とも表現しようがない感じ! TikTokとかLemon8とかで検索すると出て来るぞ。YouTubeにもあったかな?」
「SNS限定なんですか?」
「そう。彼の曲はSNSでしか聴けないんだよな。でも、TikTokとかLemon8だとダウンロードも出来るし、保存しておいて後でも聴けるしな」
ハヤトがそう教えてくれる。
「『夢の残響』の歌詞の『君は僕の前を通り過ぎ、影だけを残して去って行った』とかって泣けるよな! 『ねえ、神様』とか『ねえ、神様2』とかも歌詞がすっげーいいんだよ。ほんと心に響くからマサシも検索して聴いてみろよ!」
マサシは少し照れくさそうに笑いながら頷いた。
「分かりました。今夜、帰ってから早速聴いてみます。でも、そんなに感動する曲なんですか?」
「マジで泣けるから。特に『ねえ、神様』の『生きてるだけで幸せって言うけど、僕はそうは思えないよ神様!』という歌詞は、人生を経験した人には刺さる曲だよ。オレ、これ聴いた時、本気で泣いたもん」
カズはそう言って、少し恥ずかしそうに目をそらした。
「へえ、カズ君でも泣くんだ。意外です」
「馬鹿言うなよ。音楽ってそういうもんだろ。人の心を揺さぶる力があるんだよ」
ハヤトが静かに微笑みながら口を開いた。
「カズが初めて『夢の残響』を聴いた日のこと、覚えてる? あの日、カズ、ずっとヘッドホンつけて、部屋の隅っこでうずくまってたよな」
「覚えてるよ。もう、心が全部持ってかれた感じだったんだよ。まるで、誰かがオレの心の中を覗いて、それを音にしてくれたみたいだった」
カズの目は、まるで今もその音楽に浸っているような、夢中な光を放っていた。
「『君は僕の前を通り過ぎ、影だけを残して去って行った』って歌詞、もう、一発でやられたよ。オレ、その時、本当に誰かに影だけ残して行かれた人を思い出しちゃってさ⋯⋯」
マサシは少し真面目な顔つきになった。
「失恋の曲なんですか?」
「うん。ていうか、彼の曲は別れの曲が多いんだ。でも、ただの別れの歌じゃないんだ。別れた後の、心の隙間を埋めるような、でも、その隙間を慈しむような、そんな曲なんだよ」
「慈しむ?」
「そう。悲しみを否定しないで、抱きしめるような感じ。だから、聴いてると、なんか心が温かくなるんだよ。寂しいけど、でも、それも悪くないなって思えるようになる」
ハヤトが静かに言った。
「音楽って、そういう力があるよね。悲しみを共有してくれるような、そんな存在」
「そうそう。だから、オレは彼の音楽を、ただの娯楽じゃなくて、心の支えにしてるんだ」
マサシは少し考え込むように目を伏せた。
「俺も、そんな音楽に出会いたいな⋯⋯」
「きっと、出会えるさ。音楽って、タイミングなんだよ。その時その時に、必要な曲が現れる」
カズはそう言って、マサシの肩を軽く叩いた。
「だから、今夜、『ON@獅子丸』を検索して、一度聴いてみろよ。もし、心に刺さる曲があれば、それがおまえの『ON@獅子丸』だ」
マサシは微笑みながら頷いた。
「分かりました。今夜、聴いてみます。でも、泣いたらどうしよう」
「泣いても良いんだよ。泣ける曲って、それだけ人の心に届いてるってことだから」
カズはそう言って、少し照れくさそうに笑った。
「それに、泣いた後には、新しい自分に出会えるかもしれない」
ハヤトが静かにそう言うと、三人の間に、穏やかな沈黙が落ちた。
そして、その沈黙は、まるで『夢の残響』の余韻のように、心の奥深くに静かに広がっていった。
――音楽とは、人の心に寄り添う存在。
そして、『ON@獅子丸』という音楽家は、今、また一人の少年の心に、静かに降り立とうとしていた。
現在、ON@獅子丸の楽曲はTikTok、YouTube、standFMで聴くことが出来ます。
その他、SpotifyやAppleMusic、iTune、AmazonMusic、LINEMusicなど150を超える配信サイトから世界中に配信もされています。
あなたのお気に入りの曲が見付かると良いですね。




