9、お茶会
ノアと別れた後ウニは午後の警備に当たっが、特に何もなかった。
次の日、ウニが西の塔に行くと、ミーア姫から今日の予定について告げられた。
「今日は、北の塔でお姉様とお兄様とのお茶会があります」
いつのまにか口調がハッキリしていて、雰囲気は幾分か柔らかくなったことにウニは驚いた。
「ミーア様、あの、すごく自然に喋れています」
「そうなの。あなたなら、わたくしちゃんと喋れる気がして、、、、、とても嬉しいですわ」
ミーアはにこりと笑う。
ウニはその笑顔に癒やされつつ、北の塔?と疑問に思った。
「北の塔って、、、、、確か、王子方が暮らしているところではないですか?」
「ええ。お兄様達が暮らしているのは4階から上で、3階から下は、会合のための部屋や、茶室があります。今回は、2階の茶室でお茶会をしますわ」
自分が勉強不足だったという事実からは目を離しつつ、ウニは、なるほど、と納得した。
「お茶会に来るのは、メアリー様と、、、、、」
「クリスお兄様ですわ」
第二王子と王女様が来るのだ。だんだんと緊張してきた。
「いつからですか?」
「十の鐘からです」
今は九の鐘がなった直後くらいの時間だ。準備は十分間に合う。
「あの、、、、、いままできになっていたんですが、侍女さんとかはいらっしゃらないんですか?」
「お姉様やお兄様達はいますが、、、、、その、わたくしはあまり人と会いたくないので、じぶんのことは、じ自分でやっています」
「そうなんですか、すごいです、、、、、」
少しウェーブがかった長い金髪も、服装も、全て自分でやっていると聞き、ウニは感心する。
「で、でも、そうですか、、、、、今回は別の王族の方とも、、、、、緊張します」
「そこまで緊張しなくてもよろしいですわ。それで逆に失敗することもありますもの」
そうですね、、、、、とウニは胃をおさえながら頷いた。
***
お茶室には、すでにクリス王子とメアリー姫が待っていた。
クリス王子は癖のある金髪に青い瞳の、いわゆるイケメンである。
対してメアリー姫は黒髪に菫色の瞳で、ミーアとはまた違うタイプの美人であった。
「お、お招きありがとうございます。クリスお兄様、め、メアリーお姉様」
「やぁ、ミーア。久しぶりだな」
「あなた、、、、、まだそんな挨拶しかできないの?このままじゃ、王家一族の恥だわ」
クリスはミーアに親しげだが、メアリーとはあまり仲が良くないらしい。
ミーアはもう慣れているのか、そのまま席へ座った。ウニは他の護衛がそうしているように壁に寄る。
それを見ていたメアリーが驚いた声を出した。
「あら、、、、、あの人嫌いなあなたが侍女をつけたのかしら?それにしては、貧相な格好だこと」
それに少しムッとしたが、ここで口出しするほどウニは馬鹿じゃない。
「お、お姉様、、、、、彼女は“無血の戦士”ウニ・シェルムですわ。こ、今回、わたくしの護衛任務を、して、おりますの」
「まぁ、あの“無血の戦士”、、、、、良かったじゃないの。同じ年頃の女で」
遠回しにガキだと言われ、ウニは頬を引きつらせる。
(わたし一応18歳なんですが?)
それまで黙っていたクリスが、会話に口を挟んだ。
「まぁまぁ、、、、、今日、俺が2人を誘ったんだからさ、仲良くお茶しようよ?」
「あら、お兄様。わたくしはただ、遅すぎる妹の成長を喜んだだけでしてよ」
絶対違いますよね?いびってますよね?――と思ったが、当然口にしない。
対してミーアは、澄ました顔をしている。さすが王女だ。絶対に顔に出さない。
そういえば、、、、、と紅茶のカップを揺らしながら、メアリーが口を開く。
「お父様がお体の調子がすぐれないとお聞きしましたが、、、、、大丈夫でしょうか」
メアリーの言うお父様とは、この国の国王陛下、ルミエール・ラスキル・シェラールのことだ。
その王が体の調子が悪いとは、結構大変なことではないだろうか。
「ああ、、、、、父上はもう60近い。体を壊すことも珍しくなくなるだろう」
「そうですわね、、、、、心配ですわ」
その後は、流行りのオペラや最近の出来事などを話し、お茶会はお開きとなった。
その間もずっと、メアリーからの嫌味は絶えなかった。




